更新滞っていて申し訳ないです。

December 20, 2011

もうずいぶん前になりますが、こみっくトレジャーお疲れ様でした。
初の遠征イベントでしたが、ノリの違いや会場の違いなど色々と楽しめました。
単独参加の際、出来る限りスケブや色紙をお引き受けさせて貰っておりますが、
最近はじゃんけん選抜式で申し訳ないです…
何度も来ていただいて負け続けた人への救済なども、すこし考えたいところです(人´∀`).☆.。.:*・゚

さて、もう今年もあと少し。
恒例のコミケ、当選させて頂いております。

■コミックマーケット81三日目[12/31/2011] シ-79ab ロイヤルマウンテン/MinusArtWorks
上記の配置になっております。詳細は後ほど書いておきますが、いつも通り合同参加です。
レジも一緒ですので、販売リストは相方の珈琲貴族くんの分も含めておきます。
当日のご連絡や注意事項なども近日中にアップいたします。
大晦日はビッグサイトで、ボクと握手!((o(´∀`)o))

その他に次のこみトレもスペースとっております。

■こみっくトレジャー19[01/15/2012] D-20a MinusArtWorks
こちらは単独参加になります。普段東京まで来れない関西の方など、お会いできたら嬉しいです!


イベント更新情報ばかりのブログになってしまっているので、たまにはお仕事情報なども。

【セイクリッドシュヴァリエ | gamania】
ブラウザシミュレーション・「英雄」キャラ数体描いております。広報メインビジュアルなども描いております。

【SoulMaster | arario】
戦略MO型A-RPG・日本展開用広報絵描いております。キャライラストやポスターなど

【ヴィーナス†ブレイド | エディア】
ソーシャルアプリ・キャライラスト描いております

【三国志キングダム | GREE】
ソーシャルアプリ・キャライラスト【呉夫人】 【孫尚香 X'mas仕様】描いております

【アクエリアンエイジ・アース | ブロッコリー】
TCG・【ブレイカー】描いております。

【電撃萌王 | AMW】
10周年記念おまけ本に一点リボン娘イラスト描いております。

夏からの間でざるっとした仕事内容でした。
もう少し細かくやっておりますが、発表出来ない段階のものなどもありますのでご了承下さい。

そんな感じで、ゆるっと仕事もしておりますので宜しくお願いします。
近況、一番わかり易いのはtwitterになっております。
やっている方はフォローして戴けますと、珍獣の生態がわかって面白いかと思いますので宜しくお願いします(人´∀`).☆.。.:*・゚

投稿者 緋色雪 : 10:12

夏コミお疲れ様でした!次はコミティアで!!

August 17, 2011

夏コミは大変暑い中多数の参加者に来て頂きまして、
両サークル主及び販売・列整理スタッフ一同感謝観劇雨霰です!

合同のロイヤルマウンテンは完売・自分のMinusArtWorksもまぁ8割近くは頒布いたしました。
残りました新刊は暑さでダウン気味のところでメロンブックスさん預かってもらうことになりました。
いつもいつも感謝しておりますw
早速委託販売スタートしております。
特集ページも作っていただけていますのでよければ覗いて下さい。

http://shop.melonbooks.co.jp/shop/sp_212001044174_maw_joblist.php

基本的には会場+100円です。消費税分はご勘弁@
会場にて直接買っていただいた方との差がコレくらいなのは少々申し訳ありません。
でも、高すぎるのもアコギですし…差別化はムズかしいです。
もともと委託は残ったらってスタンスですしね。会場限定物が基本ですし(;´Д`)


■8/21COMITIA97(ビッグサイト東5・6) A28ab|MinusArtWorks/I.S.W


と、次はコミティア単独参加…と見せかけて『I.S.W』デザイナーの柊椋くんと合同です。
脅して合同になってます?(笑…まぁ、面白そうだったから前回のティア会場でそんなお話に~)
新刊は無理です。ペーパー的なものは余裕ありましたら作るかも。
基本は単独参加の時と同じく在庫一掃祭とスケブ・サイン祭です@
コミケでは珈琲貴族くんの横で普通に撤収作業していたので、あまりサイン頼みやすい状況でもなかったので、
ティアではもうどんと来いってね!
夏頒布のタペストリーだろうが、コミックだろうがなんでもサイン書きますので、興味あったら是非どうぞ!
スケブ・色紙も15点くらいは受けれるかな?
朝から各一時間に4件ずつ位受ける予定です。条件は…その日の状況で。
自分も結構イベント会場での一発書きは好きですので、こちらも是非に!

あ、普段着ですよwww夏の格好は並んでいた方から結構心配されましたのでw
持っていけるものは

・PHANTASYJOBLIST(C80)
・aureus+cuspis(comic1★5)
・POSTCARD(LastStage2)
・SDW4(C77)

これらです。全部そこまで多くありませんが、宜しくお願いします!

投稿者 緋色雪 : 15:08

11月同人イベント参加予定~

November 01, 2010

ほとんどtwitterでつぶやいているだけの人間になってましたが、
長文は書きにくいので、日記@

11月のサークル側として参加予定の同人イベントなど告知ッス。


・11/14 コミティア94

Z41b「たたらば」

お世話になってる蔓木鋼音センセのスペースで、
手伝いついでに委託させてもらえることになってます。
fablarisia(画集)とSDW4(ラフ+漫画)を持っていきます。
夏の本はほぼ完売状態ですし・・・ティアでは頒布できない感じです@
それなりに大人しくスペース内にはいると思うので、
お時間ある方・用向きやら物見遊山な方などいましたら

「緋色、どこでダレヨ?」

と聴いて頂ければ、大体ウザイ感じのが僕ですw
コスではないですよwww


・11/21 コミッククリエイション21

Dホール/C02a「MinusArtWorks」

こちらは自サークルでの参加です。
おそらくあってペーパーとかになるかもしれません。
基本的には限界までスケブとか色紙に対応したいと思っての参加になります。
普段はお断りするしかないのですが、
この規模のイベントで単独参加でしたら、結構自由な時間できそうですので…
遊んでいただければ幸いッス


こんな感じで、今月は二回参加予定です。
基本的に皆様方と交流するの大好きなので、
気構えずにお声かけて頂けますと嬉しいです~!!
(ぱっと見は邪悪なオーラまとっているかもしれませんがwww)


あ、冬コミも当選させていただきました。
三日目A-53ab「MinusArtWorks/ロイヤルマウンテン」です。
一応見ごたえのあるイラスト集目指してやっていますので、
こちらもよろしくお願いします~

投稿者 緋色雪 : 0:11

Twitterはじめました。

March 28, 2010

右サイドバーにもウィジェット追加してありますが、Twitterはじめてみました。
こんな感じならページの更新?ってほどではない内容でも、ちょこちょこ出していけるかなぁ~と。

…むしろ、アホな生態をさらすことになるのかも……へけ@

minuskun

ってIDです。
昔なつかしなハンドルですね~まぁ、なんともヨロっす!

投稿者 緋色雪 : 11:03

更新ごたごた。

March 06, 2010

昨日くらいからページを消しては直し、消しては直し…
ブログのシステム更新しようと思ってたんですが、
新型は化物過ぎて扱い辛いので、調子の悪かった箇所の修正をしたつもり。

流石に、HP開始したての知識しかないので最近のはよくわかりません@
とりあえずは復旧したので、お詫び代わりに記載しておきます。

あ、あとCOMIC1☆4当選しました。

■あ85b MinusArtWorks

久しぶりの単独参加になります。
コミイチ自体は初参加。一般参加は毎年行ってたんですが~
基本的には何とか何かを出せるかも!?位のスケジュールになってますので、
…冬の本置いてあるはずなので、冬の行列見て回避してしまった方も、
お気軽に購入できると思いますww
(あの行列は珈琲貴族くんのサークル目当ての方が大半でしたので~)

えと、うみねこEp.Xの一巻発売しました。
描いている方からすると、あの作品は不条理ギャグ系だと思っています。
だから…金蔵はあんな感じのままですよ@

あと、↓の記事で書いてるクイーンズブレイドリベリオンの本ですが、
4月30日発売だそうです。
まだ作業中ですので、現実感が~あうぅ~@

といった感じ。あとはKONAMIさんの新しいTCGでも一枚描いています。
発表されたかわかりませんが、魔法少女は大好きだ!!

といった感じ。
では、もう少し日記でもいいから更新頻度上げるようにがんばりヤス!

投稿者 緋色雪 : 19:03

流石に完全放置一ヶ月はまずいですね~

February 07, 2010

お久しぶりでごきげんよう。緋色です。
新年入ってからは平日仕事、休日飲みを繰り返しながら、
意外と修羅場だよね!?とか実感している今日この頃です。

えと、折角なので最近面白かったこと。
知り合いと鶴岡八幡に参拝行ったんですが、おみくじひいてみたら

『凶』

……思わずガッツポーズ!!
いやー、おもしろの神は降りてきていたようです。そんな一年の予感…是非もなし!!


あと、ここ最近の仕事報告とか。

・「うみねこのなく頃に episodeX 1巻」
今月末の電撃コミックスの新刊として出ます。とらのあなさんにはペーパーつくはずですよ@
(まだ手元で作業中ですがw)

・「クイーンズブレイドリベりオン 宝石姫エイリン&鋼鉄参謀ユーミル」
http://queensblade.net/staffblog/?p=691
4月発売予定。描いてますよパンツ!実に3年ぶりくらいにww
直接的な性描写以外は意外と楽しい子を再確認。まぁロリキャラですww

とりあえず、ゲーマガの連載も続いてますので、そちらもヨロシクッス!!
あと、次回参加のイベントはCOMIC1☆4の予定です。
ひとまず、ゲームよろず本の予定ですので、こちらもヨロシクお願いします。
(上記参加予定のため、冬コミ委託は無しです。持って行きますので、
 上記イベントなどで求めていただければ幸いです)

投稿者 緋色雪 : 23:02

あけおめことよろ2010

January 02, 2010

あけてましておめでとうございました。
新年早々、銀歯が外れた緋色でございます…
昔、マックフライポテトで砕いた歯なんですが、10年の月日でゆるくなったのでしょう。
まぁ、今回はどら焼き喰ってたら外れたので、もうなんやら@

ということで、年末のコミケお疲れ様でした。
品出しと列整理の関係上、スタートから当面の間は2レジで対応していましたが、
流石に列が長くなりすぎたのは反省しております。
無理してでも3レジ対応にするべきでしたね~
行列見て回避した方も多かったようですし~無念。
そんなこんなで、実は大量にとは言いませんが在庫残っています。
委託は基本的に無しという事にしました。
ただ、普段よりもイベント参加する予定でいますので、
その辺りで手にとってもらえれば幸いです。

頂いたお土産などは現在帰省中ですので、帰ってから仕事の友として楽しませて頂きます♪
ありがとうございました~@

今回売り子のご協力頂いたレイヤーさんのお名前も掲載しておきます。

・山吉ののさん(販売レジ左側担当・とある科学の超電磁砲:白井黒子)
・天翔らぐなさん(販売レジ右側担当・うみねこのなく頃:縁寿)

とてもスペースが華やかになって、内側からも楽しめました♪
(目の前の連絡通路からガシガシ盗撮されてしまっていたのが申し訳なかったのですが…
みんな参加者って気持ちが薄くなっているのが残念ですね)

投稿者 緋色雪 : 10:01

自分でも知らなかったんですが~

October 24, 2009

久しぶりの更新ですが、仕事情報のみになります。
まぁ…パッケージ画像見て初めて気付くって言うボケっぷりなんですが、
「うみねこのなく頃に」1巻BD限定版に付いてくるタロット描きました。
一応真里亞とさくたろ(アニメ版デザ)…ですが、服装違うので判断しづらいですね~w

出来ましたら購入してみて頂けると嬉しいです。
って言うより、一巻の特典だとは流石に思ってなかったので、確認して吹きました。
あとムービックさんのひぐらしのなく頃に礼カレンダー2010にも一枚描いています。
こちらも双方に関わってる人間らしく、梨花とベルンを中心にキャラいっぱいで描いてます。
タロット、あと一枚描くので、その際にはまた報告しますが、
G'sfestivalCOMICのうみねこEP.X共々よろしくお願います~
(予定通りだとコミック一巻は来年2月くらいです)

と、E☆2の新刊にイラスト描きました。
色をテーマに描く企画で、「緋色」で描かせて頂きました。
まぁ~名前に色付いていれば、選択しますよねw

あとはいつも通りゲーマガのクラウストルム、連載続いています。
月刊連載ですがイラスト点数多いので、結構書いてますね~ファンタジーらヴ@


月末には冬コミの当落も出ると思いますが、受かっていましたら、
最初の委託参加から数えてサークル設立10周年ということになります。
今回は記念本ということで無駄に豪華な仕様の本を作りたいなぁ~とたくらんでます@
こちらも含め、あんまり更新出来ていませんが、気長にお付き合いくださいませませ~

投稿者 緋色雪 : 0:10

本気で遅ればせながら…

September 03, 2009

夏コミお疲れ様でした~(半月ほど遅い)

おかげさまで用意した新刊・既刊違わず全部完売しました。
もうすっきり。おうちで転がっていた在庫も含めて全部皆様方の手元にあると信じております。
(書店等で見かけるのはきっと偽モノでしょうw)


で、ちょろちょろと希望が来ているのですが…
再販って必要でしょうか?
新刊が結構時期モノなので、もともと考えていなかったんですが…
冬コミに持っていく限定だったら少し考えようかなぁ~と。
これに関しては、手に入れられなかった方々の厚い声が結構な数届けば実行したいかと。

あまり返答しませんが、WEB拍手のコメントはありがた~く拝見しています。
そこめがけて投げてみてください。
実施するかどうかは皆様のプッシュ次第でございます。
(…流石に今回の会場の混雑具合とか考えますと…13時完売は到達出来なかった方も結構いるのかなぁ~と。)

本の感想などもお待ちしております。
意外といってみたらその通り動くかもw

ちなみに、冬コミは応募はしております。
次回はサークル10周年記念本を予定しております。おそらく二冊。ガンバルッス@
(10年カタログみたいになるかも~)

*あと地味にアシスタント募集再開です。9月末くらいからで入りたい方など、
詳細はWORKSを熟読の上ご応募ください。

投稿者 緋色雪 : 16:09

幻想綺譚クラウストルム 夕闇の血族

March 13, 2009

01.jpg


ということで、挿絵担当している「幻想綺譚クラウストルム」文庫シリーズの表紙。
GA文庫から今週末発売だった気がしますので、宣伝です。

ゲーマガで連載しているほうと世界・時間軸ともに同じ学校を舞台にした偶像劇っていう感じです。
まぁ、文庫版は主人公イケメンです。イケメン描きなれてないけど嫌いってわけではないです…
仕事で出来るんだったらありがたいですよ。
本誌連載版と同様のスタッフで動いている企画です。興味がありましたらどうぞ~

*ちなみに画像はGAページから拝借しています~

投稿者 緋色雪 : 15:03

コミックマーケット75のしおり

December 27, 2008

20081227.jpg

■コミックマーケット75 30日東シ80ab|MinusArtWorks/たたらば
明日から開催の冬コミの連絡事項などになります。
興味のある方などは一読していただけますと幸いです。


今回もたたらばとの合体サークルになっております。
もちろんレジは合同になりますので、よろしくおねがいします。
上記のポスターが目印。結構大きいですよ~(B1)

■販売リスト
・新刊
SnowDrawingWorks3(MinusArtWorks|フルカラーイラスト集…仕事まとめ本2008) ¥500
クラヤミ文庫(たたらば|フルカラーイラスト集…好き好きライトノベル本) ¥500
MILDBLEND(ロイヤルマウンテン|フルカラーイラスト集…委託) ¥500

・既刊
もはいろ(MinusArtWorks|モノクロマンガ…MHP2G本) ¥500
SnowDrawingWorks2(MinusArtWorks|イラスト集…「C4」「M1」2冊セット) ¥1000

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

□当日のご案内
■緋色雪がスペースにいる予定時間
9:30~14:00(トイレなどでない限り、基本スペースで売り子しています)
緋色雪本人は話し掛けられたりするのは好きなので、お気軽に声かけちゃって下さい。
ただ、今回は「たたらば」蔓木鋼音センセとの合体スペースになっていますので、
その辺りの事情で混雑が予想されますので、暇そうな時以外は長時間お話し出来ないかもです。
関係者はスペースに入ってもらったほうが良いかもしれませんね~
あと、名刺交換などは商業系の方とのみになります。あんまり数無いですし~
コミケは出会いの場だったりもしますので、手持ちの弾などと考えて頂けているのでしたら、
お声を頂戴したいと思っています。

■スケッチブック等について
申し訳無いのですが、スケブは基本的にお断りさせて頂きます。
コミックなどへのサインは喜んでお引き受けいたします。
基本的には13:00以降でお願いします。
(スペースが混雑していなければ、そういった場合も対応いたします。)

■お土産などについて
いつもありがたく頂戴してます~@
基本いただけるものはありがたくいただきます。石とか以外ならぶつけちゃって下さいな~

■当日のポスターなどについて
販売終了の時点で必要が無くなってしまう巨大ポスター(B1)等に関しまして、
もし欲しい方がいる場合は全員で拳による決闘をして頂きます@
(まぁ所謂じゃんけんですけどね~)
一応これらにはサインっぽいものは入れさせて頂きますので、ワンオフの記念品になるかも!?
(…ゴミにするのがかなしいって訳じゃ、ないんだからね!)

…と、以上のような感じです。
では、当日は一緒にわくわくきらきらに楽しみましょ~♪

投稿者 緋色雪 : 16:12

冬コミ受かりました2008

November 02, 2008

20081102.png

■コミックマーケット75 30日東シ80ab|MinusArtWorks/たたらば
受かりました~今回も蔓木センセとの合体サークルになります。
とりあえず、前回は告知活動不足の為、合体だってことが認知されていなかったので、
強力にアピールしておきます。レジは一つッス!

で、頒布物ですが冬コミいつもの感じのイラスト集です。フルカラー@
もはいろとかの在庫もあるので、その辺りも手に入れたい方はどうぞ~
…まぁ、連載関係でスケジュールぐだぐだになってますが、なんとか完成させますので、ヨロです!

投稿者 緋色雪 : 16:11

委託情報追加

September 02, 2008

モンハン本ですが、結構問い合わせ来てるのですが…メロンブックスのみでの委託になってます。
とらのあなは超フライング販売などで、委託に関してあまり良い印象ではないので…
(あと、今回のメロン委託はプレビュー本の際にすでにお願いされていたのが嬉しかったので、
本編委託をお願いしたといった理由があります。)

とりあえず、まだ在庫はあるはずなのでご購入予定の方はメロンブックスまでお願いします。
(通販ページでも扱われていますよ~)

投稿者 緋色雪 : 0:09

コミケ74お疲れ様なのです。

August 18, 2008

昨日のコミケお疲れ様でした。
ご挨拶に来て頂いた方、ご足労ありがとうございます。
今回は通常に比べて応対時間が巻き気味…
同時にお客さんに来て頂いていた状況もチラホラ。
あ~申し訳ないッス@
でも、会場内での交流は直接的にやる気ゲージ上昇させてくれます。
うれしい限りですね~

おかげさまな感じで、想定していた数以上の売り上げでした。
完売は無理って数字で作りましたので(去年夏コミの2倍…暴挙)
会場で求めて頂いたお客さんには、満遍なく行き届いたはずです。
まぁ~それなりの数がまだ手元にありますので、
メロンブックス様での委託販売を手配しておきました。
販売開始予定は8/22(金)になっております。イベントにお越しになれなかった方で「欲しい」って方がいましたら是非ご利用下さい。
(一応、基本的には当サークルは委託販売に関しては消極的な姿勢で考えてるんですが、今回はイロイロと特別ってことで@)


…で、ですね。忙しさに忙殺されてコミケ参加以来はじめて、
他のスペースへの挨拶回り出来ませんでした~@
元同僚さまやマイミクの皆様などなど、マジで申し訳無いです。
同僚な皆様は別の日程でお会いしたいと思っておりますのでヨロッス!
他の皆様方、冬コミこそご挨拶行きます~あうぅ~


…ちょっと別口。
月曜にとらのあな池袋店に行ってみる…店舗の中で行列最後尾札がw
結局、今日はう○ねこ買えず。
仕事の大プロット届く前にEp3終わらせたかったなぁ~きししししw

投稿者 緋色雪 : 22:08

夏コミ当落…遅いなぁ~

June 18, 2008

20080618.png

■三日目 シ-76b|MinusArtWorks
というわけで、夏コミ当選しております。
というか…壁みたいです。一般向けでの壁到達なんで、普通にうれしいですね~
(同人といえば成年向けって世界ですしね)

今回はモンハン本の「本編」(サンクリで予告本出してます)と、間にあえばヘッドホンイラスト本。
あとは再販持っていくかどうかってところですが…この辺りは要検討といったところです。

何はともあれ、新刊出せるように頑張ってますので、興味がある方はヨロシクお願いします。

投稿者 緋色雪 : 0:06

最近のお仕事とか

May 24, 2008

20080524a.png

20080524b.png

というわけで、音沙汰ほぼ無い状態で申し訳無いです。
細々といろいろな計画走らせてたりするような感じ…まだ表に出せるような段階でもないのですが。

…で、最近のお仕事とか。
上段・メガミマガジンのガールズアベニューってコーナー用に1点。
A3イラストとインタビューとか載ってます…普段のおバカなノリが赤裸々にw
これは5月末売りの物に載ります。

下段・初音ミクCG集に1点。
「VOCALOID CG集 electrosphere」ってのです。
もう書店委託はじまってるので、その辺りの店で購入できます。
その他にもカード系の仕事とかも頂いてますので、詳細出せるようになったら書きたいかと。

…6月頭にはコミケ当落が発表されます。おそらく次の更新はそのあたり~

投稿者 緋色雪 : 18:05

拍手レス

December 02, 2007

■web拍手コメントへの返事です。
毎回ありがとうございます。(…気づいた時の)拍手レスです。


1202/02|夏コミ行けなくてHEAD+GLASSPHON買えなかったから次こそは!
冬コミに持っていきますので、その際にでも良かったら手にとって下さいな~

1202/02|とっても素敵なイラストですね。絵のタッチとか、キャラの表情とか本当に...
タッチとか最近言われることが多い気がしてきました。まぁ、好き勝手塗ってるだけなんですが、
気に入っていただけたら幸いです。

1201/15|かわいい
どストレートな感想ありがとうございます~まぁ、基本それ言われないと何やってるんだってところです@

1119/20|絵を次々に観られるギャラリーも造って貰えるとうれしいなあ
昔はあったんですけどね~ギャラリー。
ブログ形式にも飽きてきてますし、色々としてみたいんで、
時間出来次第調整方向で動いてみますね。

1118/18|キャラの衣装がキレイでかっちょぉぉぇぇぇぇえええい!!
そこにシビれるぅあこがれるぅぅぅ!!…失礼。赤さん衣装でしたら、原案のつくしセンセの賜物ですよ。
他のオリジナルでしたら…ありがとうございます~

1115/16|コミケ出ますか?
というわけで、情報追加しておきました。出れます。ちと怪しいですが~頑張ります@

614/23|絵がちょぉ~うまいので、漫画に期待しています~w 頑張ってください(^^♪
マンガ、自分のモノクロ技術を精一杯駆使してますので、少しでも期待にこたえられたら嬉しいです。
心折れるまでは、頑張りますよ~!

611/23|絵も上手いですが 書く文章も気品があっていいですね
えっと…そんなことないデスよ?気品とは真逆の方向性の文章のような気も…
もしかしたら小説の事かも知れませんが、著者は「葉隠シノブ」って人でして…
まぁ、ここの文章はそのまんま「素の自分の喋り方」で書いてますので、良くも悪くもこういう奴ですよ♪

0501/21|連載楽しみにしてます!
他にもたくさんの方の応援コメントいただきました。ありがとうございます。
精一杯頑張りますので、コミック買ってくださるともっと嬉しいですよw
(出るように連載続けますです。)

0501/04|初めて見ました。とても癒されました。
ありがとうございます。コメント遅くて申し訳ない…
癒しは意識してはいませんが、心に何か思っていただけるなら嬉しいです。

0406/01|エーテル、深みのある塗り、美麗で最高でした!あとDSHP雑記の皐兄様ハァハァごちそうさま(*´∀`)
メインヒロイン系以外は自分の配色全部押し通せましたので、楽しい仕事でしたよ。ありやした~♪

0404/01|緋色さんの絵は本当に柔らかいですねぇ。例えるなら真昼の春風の様です。お仕事も頑張ってください。
詩人ですね~ニュアンス感想は嬉しいところです。仕事も頑張るッス~

0328/02|…こっそりリンクさせて頂いてます。
リンク関係はほとんど知人としか相互してない状況でしたが、ありがとうございます。

0327/13|絵が綺麗で素敵です。
ありがとうございます。まだまだ頑張れるとこあるので、より綺麗にしますね~
緋色さんの描く女の子は柔らかみがあって素敵です。あと、エーテル楽しみ
クセが強いとは言われますが、柔らかいってのは良い表現ですね。ちょっと嬉しいです。
あとエーテル、みんな頑張って作りました。
やってみていろんな意味で驚きを感じていただけるような作品になってるかな?
今月末です。よろしかったら体験版などやって、更に心待ちにして置いてくださいな~♪

>緋色さんは女の方ですか?男の方ですか? 有紗
…ナイスガイとは程遠い笑い男ですw

>ますます綺麗で可愛い絵になって・・見ていて癒されますヨ、、
文章から予想するにSさんですかね?まだまだ未熟ですが、
そういってもらえると前進出来てるってわかって嬉しいです。癒されちゃってくださいw

>ところで一日の中に、俺が送った小説を読む時間が無いな(笑)
えへ~スマンス。来月くらいから時間作れるかな~?
次の仕事の下準備が結構時間かけないといけないから、空き時間みてちまちま読ませていただきます。

>誕生日おめでとうございます

返答遅れましたが誕生日の祝いコメントくれた皆様、ありがとうございます。
そろそろお誕生日が嬉しいってのも無理が出てきましたが…w
また今年もがんばって、一歩でも二歩でも先の自分になれるようにしたいかと思います♪

>「DreamSoft」休眠だそうですね・゜・(ノД`)・゜・。・
最近のメイン取引相手…というより自分もほとんど構成員ですが、残念です。
「エーテルの砂時計」最後になるんで、えらい大変な立場になった感が…頑張って良いものをっ!!

>モノクローム届いてるんですね。石投げておきます。
>しかし、3話で732Kは多いですね;
あえて顔面でお受けしましょう!!
まぁ本当に多いんですよ…読み始めるのもスケジュール明けとかないと無理。
コミケ入稿したら少しは時間作れる予定ではいるんですけど…

>たった3話で700k超えですかモノクロ?これはもう圧縮して置いておくしかないのでは?
それもいいかもしれませんね~でも、生データってのは良くない気もします。
(著作物ですから、一応の対応まではしておきませんと…)

>モノクロ復活~♪ でも魔を穿つレインの小説化はいつなのかなぁ。。。
「魔を穿つレイン」は読みましたけど面白かったですよ。さすが受賞作w
本人に続き書いて~って合う度にお願いはしてますんで、彼の気が乗ったら続き出ます。

>とても素敵です♪
イラストについてかな…?いやはや、どうもです。まだまだ素敵具合を上げられるよう精進しますっ

>待ってました、モノクローム再復帰! 続きも切に希望したいです
モノ読者の方って結構多いんですね~
反応あまり無いから管理人としてはわからないところが多かったんですよね。
ホント続き書いて~♪

投稿者 緋色雪 : 18:12

まぁ冬コミですよ~

November 16, 2007

■月曜日(12/31) 東5ホール”マ”48a|MinusArtWorks

冬コミ受かってました。
配置は…前回とは違い、外周側ではなく
ガレリア側のお誕生日席角っていうある意味理想の場所。
急な混雑にも目の前が大きく開いているので、対応出来そうです。

なんかやる気出て来たので、
装丁など張り切ってしまうコースに行こうかと。
あぁ~スケジュール許す限りは良いもの作りたいなぁ~
今回はA4サイズかな?
赤覚悟で無理していきましょ~

投稿者 緋色雪 : 1:11

日記だけでも更新しないとね…

October 26, 2007

mixiで更新してる日記持ってきたりして…

■液タブ購入…2ndG
cintiq12-2[1].jpg
http://cintiq.jp/product/cintiq12.html

ウガ。
cintiqの新型「cintiq 12WX」買いやがりました。(まぁ予約購入ですが)
あ~移動用に欲しいと思っていた仕様ちょうどで発表された新商品。
無理してでも欲しくなるってのが、機材ビンボー人のサガですかねw

ノーパソと今回の液タブ合わせても7kg前後ですので、
仕事道具ほぼ全部と考えたら、ずいぶんと軽くすむなぁ~って感心してます。
……だから貯金とか出来ないんですけどね~@
否!先行投資ぃ~!!

結局、ここ二年でタブレットに50万近く使ってることに唖然としてますが、
到着を楽しみにしておきます。

投稿者 緋色雪 : 17:10

コミケから一ヶ月以上たってるし…

September 27, 2007

20070927.jpg

てな訳で、最近の近況など。
↑は「E☆2 vol.11」にて描いた魔法少女イラスト。まぁ一部ですけど…
背景とか結構張りきってます…って星全景とか描くのはやめておいた方がいいですね@

連載の方読んでる方ならわかると思いますが、結構クライマックス気味。
おかげでさまで体力がどんどん低下してますよ…あは@

あと、夏コミご苦労様でした。(おそっ!)
完売までは到りませんでしたが、予定数は販売出来ました。というわけで、
イベントに来て頂いた方で買えなかったぜ!って状態にはならなかったと思います。
差し入れなどもありがとうございました。ドリンク関係がものすごく助かりました。
(当日は室内が蒸し風呂状態で…水分無いと死にましたねw)
一応、次回も申し込んではあります。おそらくイラストラフなどの本になると思います。
今回の残りも持っていきますので、買い逃した方はご一緒にどうぞ~@

では、また当分は地下に潜むと思います。死なない程度に頑張ります♪

投稿者 緋色雪 : 12:09

にはは…色紙スキャン忘れてた

February 05, 2007

てなわけで、前回の日記で書いていた色紙の件ですが、すっかりスキャン忘れっぱなしで
ゲーマーズ様に渡しちゃったもので、画像がございません。
…ほんとスミマセン。凡ミスですが完璧に忘れてました~あうぅ~

投稿者 緋色雪 : 2:02

なにわともあれ小説更新

January 24, 2007

半年振りくらいに小説更新しました。
まだまだ手元にはありますが、順を追って更新したいと思います。
ひとまず2007年も残すところ340日程度になりましたが…
まだまだ自分のスケジュールに明るい兆しがないなぁ~
確定申告とか日数少ないとか二月はやることが多いのよね…やべぇ無理くさいw

ゲーマーズでの色紙プレ、描き終わったのでそのうちアップします。
(いや~もったいないのでw)

投稿者 緋色雪 : 2:01

第九話『数億分の一の偶然』

「こんにちは。お兄ちゃん」
 いつものように目田探偵事務所に訪れようとした時、建物の前でそんな風に呼ばれて立ち止まってしまった。
「……それって、僕の事?」
 辺りを見渡すが、他に該当する人物が見当たらない。
「そうだよ。何か変だった?」
「いや、いきなりだったから」
 彼女の名前は清川潔美(きよかわきよみ)。
 目田探偵事務所の下の階にあるクリーニング店の一人娘で、小学校四年生の女の子だ。
「変だなー。年上の男の人はこう呼べば喜ぶって聞いたのに」
「誰から聞いたのさ」
「クラスメイトのひな子ちゃん。男を手玉に取る方法とか、色々知ってるんだよ」
「……友達は選んだ方がいいよ」
 そう言って横を通り過ぎようとすると、潔美ちゃんに袖を掴まれた。
「待って待って。ちょっとお願いがあるの」
「お願い?」
「うん」
 哀願するように僕を見上げる潔美ちゃん。こうまで頼まれたら、無碍に断る事など出来はしない。
「で、何?」
「あのね。宿題で『身近で起こった偶然』っていうのを明日までに調べなきゃいけないんだ。何か無いかな?」
「偶然……ねえ」
 僕はしばし考え込む。
 事件や事故にはしょっちゅう巻き込まれるが、流石にそれらは小学生向きではないだろう。その殆どは惨たらしい死人が出ているし。
「そうだ。この間テレビのチャンネルを回していたら、二つの局で同じCMをやっていたよ。タイミングも完全に一致していて――」
「それ、地味」
 ばっさりと斬り捨てられてしまった。
「もっと派手なのはないの? クラスで発表しなきゃいけないんだからさ、もっとインパクトがあるやつがいいよ」
 意外とワガママだ。
「だったら僕より目田さんに聞いた方がいいんじゃない? あの人なら色々と数奇な体験をしているだろうし」
「そっか。じゃあ、お願いしてくれる?」
「いいよ。それくらい」
「やったー! ありがとう、お兄ちゃん!」
「お願いだから普通に呼んでくれないかな。何だか居心地が悪くて」
「分かった。じゃあ行こう、安地さん」
「うん」
 二人で階段を上がり、目田探偵事務所の扉の前に立つ。
「こんにちはー。今日は潔美ちゃんが――」
 扉を開けた僕は中の様子を見て絶句した。
「……どうしたの、安地さん?」
「ちょっと待っててね」
 室内を見せないように潔美ちゃんを外に残し、僕は事務所の中に足を踏み入れる。
「おい、起きろ」
 ソファーでだらしなく眠りこけている目田探偵を揺すり起こす。
「ん……? 何だ、安地君か」
「何だ、じゃないでしょ。何をやっているんですか?」
「いや、暇だったから事務所の掃除をしていたんだよ。そのうち疲れて眠っちゃったんだね」
 大きなあくびをしながら呑気にのたまう。
「掃除はいいですけど、何で体操服姿なんですか?」
「何を言っているんだ。掃除の時間は体操服だと決まっているだろう?」
「ブルマである必然性は?」
「読者サービスだよ。前々から思っていたんだが、この作品にはどうも色気が足りないと思ってね」
「いらん事をするな! 潔美ちゃんが来ているんですから、さっさと着替えて来てくださいよ!」
「むっ。ここに来て新たにロリキャラの投入か。全く、作者の意図が見え見えだね。だったら最初から私を美少女探偵にしておけば良かったのに」
「アホ言ってないで早くしろ!」
 奥へ引っ込めさせて着替えさせると、その間に僕は潔美ちゃんを中に案内する。
「ごめんね。すぐに来るから。何か飲む?」
「うん。ありがとう」
 素直な返事は聞いていて心地良い。僕は手馴れた手付きで三人分の飲み物を準備した。
「やあ、いらっしゃい。何か用かい?」
 いつもの白スーツ姿に戻った目田探偵が奥から出て来て言った。またいらんボケをかますかと思ったがその心配は杞憂だったようだ。
「実は宿題で――」
 潔美ちゃんが僕に言ったように説明をする。
「ふむ。『偶然』か」
「何かあります? 僕にはろくなのが思い付かなかったんですけど」
「どうせテレビのチャンネルを変えたら同じCMをやっていたとか、そんなものだろう」
 だから、何で分かるんだよ。
「偶然と言えばね。今年に入ってすぐに、とんでもない偶然で発覚した事件があるんだ」
「へえ。それってどんなのですか?」
 潔美ちゃんは興味深げに尋ねる。
「詳しくは言えないけどね。ある男がアリバイ工作をしようと企んだんだ」
「ああ、あの事件の事ですか」
 僕は納得する。確かにあれは、とんでもない偶然と言えるだろう。
「簡単に説明すると、男はA地点で事件を起こすんだけど、その間はずっと遠く離れたB地点に居たと錯覚させるのが目的だった。分かるかい?」
「うん。何となく」
「それで男はB地点で予め写真を撮っていた。バックに場所と時間が分かる駅舎と時計をね。勿論、本当の日付や曜日が分かるようなものは写さないように気を付けた。人が居ないのを見計らって、誰の手も借りずに一人でタイマーをセットしてね」
「なんかややこしいね」
「アリバイ工作というものは大体そういうものさ。他にも色々と時刻表を使ったトリックがあったけど、今回はあえて省略。とにかくその日に限って、写ってはいけないものが写っていた。何だか分かるかな?」
 潔美ちゃんはしばし頭を捻って考える。
「うーん……天気かな? その日に限って雪や雨が降っていたとか」
「残念だけど違うね。その場所は数日間晴れの日が続いていたんだ」
「じゃあ、駅の外観とか。ペンキを塗り替えていたんじゃないかな」
「それもハズレ」
「あっ! もしかしてお花とか? ちょうどその日だけ咲いていたりして」
「うーん、惜しいね。ヒントを言うと、時計が関係している」
「でも、日付は分からないんでしょ?」
「まあね。ちなみに時計は電光掲示板だ」
「えー、分かんないよー」
 降参と言った様子で両手を上げる。
「仕方無いな。安地君、説明してあげて」
「はい」
 バトンタッチした僕は、目田探偵が話している間に持って来ていた新聞のスクラップを見せた。
「ここの記事を見て」
「えーと、閏……秒?」
「そう。数年に一度、時刻を調整する為に一秒を足したり引いたりするんだ」
「閏年以外に、そんなのあったの?」
 意外そうに驚く清美ちゃん。
 一応、ニュースにもなっている話題なのだ。
「それが今年二〇〇六年の一月一日。午前八時五十九分に実施されたんだよ」
「具体的に何をしたの?」
「一秒を足して、五十九分六十秒を作ったんだよ。その一秒後に九時になる」
「えっ? じゃあ――」
「そう。男はよりにもよって、五十九分六十秒の時にシャッターを切ってしまったんだ。その日以外あり得ない時刻をね」
 まあ、写真を現像してから時刻の確認を怠った男もかなり間抜けではあるが。自信満々に証拠の一つとして写真を提出した姿を考えると笑えてくる。
「閏年は数年に一度しかないから、秒に換算すると数億分の一の確率かな」
 そういう特殊な時刻を指す時計も限られている筈なので、それを選んだ時点でその男の不運は決定していたのかもしれない。
「はあー、凄いね」
 潔美ちゃんは感心したように頷く。
「面白いお話ありがとう! これなら学校で自慢出来るよ! じゃあ、またね!」
 そして潔美ちゃんは自宅へと帰って行った。忘れないうちにこれからノートにでもまとめるのだろう。
「偉いじゃないか。ちゃんと宿題をしているなんてね」
「まあ、そうですね」
 僕は飲み物を片付けながら答える。
「それで、今回はこれで終わりですか? いつもの分量の半分しかないですけど」
「まあね。締め切り間際のギリギリになって浮かんだアイデアだし。他にネタを詰め込む余裕も無かったんだよ。まあ、新キャラの顔見せだと思ってくれていいよ」
 苦笑する目田探偵。
「おっと、ちょうどここで原稿用紙十枚ジャストだ。以上閉幕! 次回に乞うご期待!」
 次回は記念すべき連載十回目。
 さて、何が起こるやら。

投稿者 緋色雪 : 2:01

第八話『出会い系サイコ』

 その音を表現するのに分かりやすい方法がある。
 トタン板を敷いて、一mくらいの高さから漬物石を落とすのだ。
 想像出来ただろうか?
 それが、人の落ちた音だ。

  ***

 春は出会いの季節らしい。
 曲がり角で女の子とぶつかったり、道端で女の子を拾ったり、天から女の子が降って来たりと、どこかの世界ではその様な事が起きているのであろう。
 僕がやや遅刻をして朝の九時に学校へ登校した時も、そんな淡い期待を抱かないでもなかった。
 そしてそれは、ある意味実現した。
「えっ――」
 目の前で起きた出来事に脳が付いて行けず、一瞬言葉に詰まってしまった。
 人気の少ない学校の裏門から入って校舎の側面沿いに歩いていた僕の目の前に、突然女子生徒が空から振って来たのである。
 右脚があり得ない方向に曲がり、内臓が破裂したのか口から大量の血を吐いていた。
「――ねえ、きみ!」
 すぐに僕は慌てて女子生徒に駆け寄った。「しっかりして! 今、助けを呼ぶから!」
「………」
 僕の言葉が聞えているのかいないのか、女子生徒は口をぱくぱくさせて何かを訴えようとしていた。
「何? 何か言いたいの?」
 僕はその口元に耳を近づける。
「たすけ…………」
 震える左手の指先を屋上の方へと差しながら、女子生徒はそのまま息絶えた。

  ***

「おまえさあ。学校にまで事件を持ち込む事はねえだろうが」
 通報を受けて現場に駆け付けた女番(めつがい)刑事が、一連の出来事を説明した僕を見て呆れたように呟いた。
「僕が起こした訳じゃ無いですよ。単に巻き込まれただけです」
「わあってるよ。それで、彼女の事は知ってんのか?」
「いいえ。初めて見る顔でした」
 女子生徒の名前は逢瀬再子。二年F組。僕が所属する二年A組からは遠く離れているので、知らなくても無理は無いだろう。
「まだ生徒は残ってるけどよ、すぐに休校になるだろうな。そうなったら関係者以外は帰すつもりだ」
 関係者とは、おそらくクラスメイトや教師達の事を指すのだろう。
「遺体の指先……」
「あん?」
「右手の親指を除く指先が赤く変色していました。まるで何かを、強い力で掴んでいたかのように」
 その事を示すように指の形の鉤状に曲がったまま硬直していた。死の直前に何かをしていた証拠である。
「それに、左手で屋上を指差していたのが気になります」
 何かあるのかと思ったが、現場を離れる前に人が集まってしまったのである。状況説明したりするので忙しくて、結局ずっとこの場に留まらざるを得なかったのだ。
「なら、屋上に行ってみるか?」
「いいんですか?」
「目田の助手だって事は皆知ってるし、何より第一発見者だからな。構わねえだろ」
「はい。ありがとうございます」
 僕達二人は玄関から回って校舎の中へと入った。まだ教室には生徒の姿が残っていて、何があったのかと興味深げに外を眺めていた。
「おまえ、遅刻したんだってな。普通に登校してりゃあ事件に遭遇せずに済んだのによ」
「どうせならサボれば良かったですよ。今日は体育があったんだし」
「何だ? スポーツは苦手か?」
「そうじゃないですよ。担当の体育教師が苦手なだけです」
 他愛も無い会話をしながら校舎四階分の階段を上がる。
「そういや、目田の奴はどうした? 連絡はしたんだろう?」
「ええ。ですが、何度呼び出しても携帯が繋がらないんですよ。一応メールは送っておきましたが」
「まあ、あいつが出て来る必要の無い事件だと願いたいね」
 そして僕達は屋上に出た。
 女番刑事は捜査員に挨拶をしながら、真っ直ぐにフェンスに向かって歩き出す。
「おまえの妙な証言が無けりゃ、すぐに決まりだったんだろうな」
 その言葉の意味はすぐに分かった。
 高さ一m半程のフェンスの向こうの縁に、女子生徒用の上履きがきちんと揃えて置かれてあった。
「そしてこいつが傍に置いてあった」
 女番刑事は捜査員から受け取った手紙らしき物を僕に手渡す。指紋を付けないように慎重扱って中身を読んだ。

『――何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返しても会えない会えない会えない会えない会えない会えない会えない会えない会えないわたしの運命の人運命の人運命の人運命の人運命の人運命の人運命の人運命の人運命の人はどこに居るの居るの居るの居るの居るの居るの居るの居るの居るのだからわたしは会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く会いに行く次こそは必ず必ず必ず必ず必ず必ず必ず必ず必ず……』

「遺書ですか……」
 最後に日付と名前も書かれてあるので、そのように考えても構わないだろう。
 文字は曲線の少ない角ばった筆跡が特徴的だった。だがそんなものは気にならないくらい、繰り返される奇妙な文法が目に付いた。
「電波系ってやつか? なんだか薄ら寒いものを感じるけどよ」
「さあ……」
 屋上の縁は幅が五十㎝程で、人が立つのもやっとであろう。フェンスは網目状で下の方に高さ十㎝の隙間がある。そこから手を伸ばせば、無理に乗り越えなくても手紙と靴は回収出来そうだ。
「屋上に何か不審な点はあったんですか?」
「今のところは何も。ベニヤ板、段ボールの箱、古ぼけたタオル、ジュースの空き缶などが捨てられていただけだな」
「……そうですか」
 争ったような形跡も無ければ、扉に鍵が掛けられていた訳でもない。
「なあ、そんなに疑問に思う事か? 最後に言い掛けた言葉は『助けて』だったんだろうし、屋上を指差したっていうのも、ただ何かにすがり付こうとして手を伸ばしただけだったかもしれないじゃねえか」
 女番刑事が諭すように言った。
「……かもしれません。でも、何か違うような気がするんです」
「死人には無関心なおまえが珍しいな」
「死人ではなく謎に興味があるんです」
 そこのところを勘違いしてもらっては困る。
「とりあえず関係者から話が聞きたいですね。自殺をするような子だったのか知っておく必要があると思います」
「言われなくてもやっているさ。準備が出来たら教えてやるよ」
「お願いします」
 僕はそこで、もう一度目田探偵に電話を掛ける事にした。
『――安地君かい?』
 もしかしたら、と思っていたら今度はちゃんと通じた。
「目田さん!? ちょっと何しているんですか? 僕は今事件に巻き込まれて大変なんですよ!」
『それって学校で?』
「ええ。僕の目の前に女子生徒が降って来ました」
『うーん。残念だけど、こっちは忙しくて手が放せないんだ。警察は呼んだかい?』
「はい。女番さんが来てくれました」
『だったら大丈夫だろう。彼女と二人で何とかしたまえ。多少の無茶は私が許す』
「えっ? 僕がですか?」
『きみなら出来るよ。自信を持ちたまえ』
「あっ、目田さん――」
 そうして通話が切られる。その言葉通り、何やら忙しそうな雰囲気だった。
「……という訳です」
「そうか。許可を貰ったんなら、たっぷり働いてもらうからな。行くぞ」
「はい」
 とりあえず僕達は屋上を後にして、校舎へと中に戻った。

  ***

「――サイコさんの事? 知らないわよあんな奴。休み時間だろうが授業中だろうがいきなり独り言を喋り出すし、机やノートだって意味不明な文字でびっしりなのよ? もう気味が悪くては仕方なかったわ」
 クラスメイトから証言を聞くと、彼女はかなり異端扱いされていた事が分かった。
「――運命の人ってやつに会いたい会いたいって口癖のように言ってたよ。クラスの男は当然、学校内でもあちこちで声を掛けてたみたいだったな。そんなんだから『出会い系サイコ』って呼ばれていたよ。ありゃ生きた学校の怪談だな」
 死んだ事に悲しむどころか、清々した様子の生徒も少なくなかった。どうやら彼らの中では自殺だと断定されているらしい。
「――屋上にしょっちゅう出掛けていたみたいよ。聞いた話じゃ、隅っこの方で何やらごそごそと怪しげな儀式みたいな事をしてたって。だから気味が悪くて他の生徒も立ち寄らないのよ」
 触らぬ神に祟りなしというやつか、そのサイコさんは生徒達からは避けられていたらしい。これでは特定の親しい人物というのは居なさそうであった。
「――うちの担任なんていつも頭悩ませていましたよ。問題児を抱えていては色々と面倒だろうし。そのとばっちり受けるこっちはいい迷惑でした。自殺しそうな雰囲気だったかですって? まあ、そうですね。否定はしませんよ。日頃からあんなの見てちゃね」
 それらの態度に女番刑事は辟易した様子である。
「ったく。どうやらかなりの有名人だったみたいじゃねえか? おまえ、本当に知らなかったのか?」
 空き教室にクラスメイト達を一通り呼び出して話を聞くと、女番刑事は疑わしげに僕に問い掛けた。
「学校にはあまり興味ないんですよ。色々とあって休みがちですし、それに――」
「それに、何だ? まさかおまえもイジメられたりしてんのか?」
「イジメ……と言うべきか、そのサイコさんと同じようなものですよ」
「シカトか。何をやらかしたんだ?」
「僕の噂を聞き付けた誰かが、机の中にプレゼントを贈ってくれたんですよ」
「プレゼント?」
「い――動物の屍骸です」
「今、別の名前を言い掛けなかったか?」
「詳しく説明しますか?」
「いや、いい。それをどうしたんだよ? まさか無反応のままゴミ箱に捨てたんじゃないだろうな?」
「僕にだって人並みの分別はありますよ。ちゃんと外の焼却炉で処分しました」
 日本では火葬。これは常識だ。
「……確かに、同じようなものかも知れねえな」
 何とも言えない微妙な表情で女番刑事は呟く。
「でも、僕は自殺なんてしませんよ。命は大事にしなくちゃいけませんから。人は生きられるだけ生きるべきです」
「矛盾してるんだかしていないんだか訳分かんねえよ。とにかく次を呼ぶぞ。あと残ったのはクラスの担任だな」
 そう言われて僕はクラス名簿のコピーに目をやる。
「……ちょっと待ってください!」
「あ?」
「これ……うっかりしてました。ここの担任は田所先生です」
「それがどうした?」
「田所助三郎……略して『タスケ』って渾名なんですよ。僕の苦手な体育教師ですから良く知っているんです」
「『タスケ』……だと? それって――」
「ええ。サイコさんが最後に言い残した言葉と一致します」
 そこで『タスケ』が教室に入って来た。
「失礼します」
 三十過ぎの独身。体育教師らしくマッチョな身体付きで、教育と称して生徒に厳しく当たるタイプだ。
「安地? どうしておまえがここにいる?」
「第一発見者ですから」
 僕はしれっと答える。ここでわざわざ説明してやる必要は無い。
「いや、しかし――」
「そこにお掛け下さい。色々と話を聞かせてもらいます」
 女番刑事に促されて田所は渋々といった様子で椅子に座り込む。
「被害者の女子生徒は、そちらの生徒の一人でしたね」
 質問は女番刑事の役目だ。僕は基本的に言葉を挟まずに、少し離れた位置から相手の様子をじっと伺うのが役目だった。
「ええ。今回の出来事は本当に残念だ。まさかあの子が自殺なんて……」
「何か心当たりは?」
「それが……お恥ずかしながら、私にはちっとも」
「今日の朝の九時は、どこへ居ましたか?」
「……それはどういう意味です?」
「質問に答えてください。今朝九時、あなたはどこで何をしていましたか?」
「どこって……職員室ですよ。二時間目の体育の準備をしていたんだ」
 その言葉に僕は納得する。ちょうどそれは僕が出席するはずの授業だったから。
「その事は証明出来ますか?」
「ああ。職員室の先生方に聞いてもらえれば分かる。その時間帯ならホームルームが終わってからずっとそこに居た」
「ホームルームに逢瀬さんは出席していましたか?」
「いいや。欠席だった。別段珍しい事じゃないから、特に気にしていなかったが」
「今日、屋上には行かれましたか?」
「行ってませんよ。行く必要も無い」
 その後も幾つか形式的な質問したが、これと言って怪しい点は無かった。
「安地。何か質問はあるか?」
 最後に女番刑事が僕に話を振った。
「そうですね……」
 僕は少し考えると田所に問い掛けた。
「彼女がクラスで孤立していた事は話を聞いていて想像出来ます。先生はそれをどうにかしようとは思わなかったんですか?」
「思ったさ。幾つか行動もした。でも、あいつは俺の言う事なんてちっとも聞きやしなかったんだ。更に自殺なんて、俺はこれからどうしたら――」
「死んで清々したんじゃないですか?」
「何を言っている!?」
「彼女は厄介者扱いだったんでしょ? この僕と同じように」
「……っ!」
「僕は覚えていますよ。以前授業中にグラウンドの掃除命じたあなたはこう言いました。『早くやれ、死体係』ってね。お陰でその呼び名が定着しましたよ」
「あれは……その……」
「少なくても、彼女が会いたがっていたのはあなたではないですね。もう結構です。戻ってください」
 田所はうろたえたように席を立つと、そのままそそくさと部屋から出て行った。
「違いますね、あれは。見掛けと違って小心者のようだ。殺す度胸はおろか、自殺者を出した不名誉に対して怯えている始末だ。生徒の事なんて二の次ですよ」
「……一応、アリバイは洗っておくぞ」
「お願いします」
 結果、田所はシロだと判明した。
 他にも『たすけ』という名前の人間が居ないかと調べたが、該当者はゼロだった。
「名前じゃないのか……」
 僕は落胆して溜息を漏らした。
 クラスの人間も、全員授業中だったのでアリバイは確立されている。
「可能性を絞り込めたと考えろ。普通はそうやって一つ一つ検証して、ようやく真実に辿り着くんだ」
「目田さんは違いますけどね」
「あいつは例外だっての。ほれ、気を取り直して次に行くぞ」
 女番さんは元気付けるように僕の肩を叩いて言った。

  ***

 僕は再び現場となった外に居た。
 遺体は既に運び込まれていて、今頃は警察病院に搬入されているはずだ。
『たすけ…………』
 本当に、あの時の言葉は助けを求めただけだったのだろうか?
 僕にはどうにも納得出来ない。
「一体、何を言いたかったんだ……?」
 僕は頭上を見上げて呟いた。
 ここは校舎の側面で壁には人が出入り出来るような窓は一つも無かった。あるのは精々、パイプと換気口だけである。
「こらっ」
 突然後ろから頭を叩かれた。
「事件現場でメシ食ってんじゃねえ」
「仕方ないでしょう。腹減ったんですから」
 そう言って僕は菓子パンを齧る。登校前にコンビニで買って来たもので、鞄と共に現場に置きっ放しだったのだ。
「むぐ……それで、検死の結果は?」
「死因となったのはやはり落下の衝撃による全身強打だった。拘束された痕や、薬などを服用された形跡は無い。ただ……」
「何です?」
「右肩が脱臼し掛かっていた。おまえが言っていた右手の指の痕から考えると、何かとてつもなく重い物を持ったのかもしれねえな」
「もしくは、屋上の縁にぶら下がったか」
 自殺しようとして思い止まったが、バランスを崩して落ちてしまった。その際咄嗟に縁を掴んだが力尽きて落ちた。
 あり得ない話では無い。
 でもそうなると、どうして最後に屋上を指差したのかが分からない。
「あと、制服には動物の毛のようなものが付着していた。何の動物かはまだ特定出来ていないが、古いものじゃなかったらしい」
「動物……ですか」
 まさか、僕みたいに動物の屍骸を机の中に入れられた訳では無いだろう。あれから教室のロッカーや机を調べたが、意味不明の文字が書かれていた以外は不審な点は無かった。
「家族の人とかはどうしたんですか? もうとっくに知らせているはずでしょう?」
「病院に来てもらったがひどいもんだったよ。両親は遺体の顔を見る前から喧嘩を始めていて、おまえが悪い、いいやあなたこそ悪いって、互いに責任を擦り付けていた。あれは随分前から夫婦仲が悪かったようだな」
「離婚寸前ってやつですか」
「子供が居なければとっくにそうなっていただろうな。おそらくあれは、どっちが引き取るかで揉めていたんだ」
「どっちに押し付けるか、でしょう?」
 そのような環境に身を置いていたのなら、運命の人とやらに会う事を願う気持ちも分かる気がする。ここではないどこかに、自分を連れ去ってくれるような人物に会う事を。
「それと、あの遺書の筆跡も本人のものだと確認された。これでますます自殺の線が濃厚になってきたな」
「………」
 僕は何も言わずに屋上を眺めた。
 あれから何度も見上げたが、ここからでは特に変わったところは見付けられなかった。おかげで今は首が痛い。
「なあ。あいつの助手だからって、無理に気負わなくていいんだぞ? おまえは一応普通の高校生なんだからさ」
「今も平気でメシを食っているのが普通と言えますか?」
「気を遣ってやってるのに揚げ足を取るんじゃねえ」
 また叩かれた。
「その体質を今更とやかく言うつもりはねえけどさ。せめて学校生活くらいは楽しんだらどうだ? あんな姑息なやり方で教師に仕返ししたりしないでよ」
「そうしていれば、サイコさんも自殺を考えずに済んだかも知れない……ですか?」
「ああ。そういったエネルギーをもっと別の方向に向けてだな――」
「女番さん。石油で車は走りませんよ」
 食べ終えたパンの袋とジュースの空パックを鞄に入れる。そこら辺に投げ捨てたりはせず、どこかのゴミ箱に捨てるのがマナーだ。
「……なんか、あいつに似てきたな」
「目田さんにですか?」
 まあ、影響は受けているだろうけど。
「そういえば女番さんって、目田さんとは昔からの付き合いなんですよね。学校も同じだったんですか?」
「まあな」
「じゃあ、僕くらいの時はどんな高校生だったんですか?」
 ふと気になって尋ねてみる。あの人の過去や私生活は謎の部分が多いのだ。
「……まあ、今とあまり変わりねえよ。真っ白な改造学生服を着て、勝手に探偵クラブを立ち上げて、毎日のようにバカやってたな」
「女番さんもですか?」
「あたしはその頃、ひたすら喧嘩に明け暮れていたな。いっぱしの格闘家を気取って、手当たりしだいにな。そのせいで随分と周りに迷惑掛けたよ」
「それがどうして目田さんと?」
 どうも共通点が無いように思える。
「まあ、色々だ。とにかくあたしはあいつのおかげで道を踏み外さずにすんだ。でなければ警察官になんてなれなかっただろうな」
「へえ。そうだったんですか」
 僕は素直に感心した。
「さて、世間話はこれくらいにして。これからどうするんだよ。そろそろケリを付けたいところなんだがな」
 学校も病院も全面禁煙だからか、そろそろニコチンの欲求が抑えきれなくなっているのかもしれない。先程から火の付いていない煙草をペン回しするようにもてあそんでいた。
「そうですね。じゃあ、もう一度屋上に行ってみたいと思います」
 それでも何も分からなかったら、今度こそ自殺という事で決定してしまうだろう。
「よし。なら行くぞ、相棒」
「はい」
 謎を解く手掛かりは、既に揃っている気がするのだ。

  ***

 捜査員も引き上げていて、屋上には全く人気が無かった。
 落ちたと思われる場所のフェンスに近付くと靴が無くなっている事に気付いた。もう警察に押収されてしまったのだろう。
「チョークで印は付けてあるから大丈夫だ」
 僕の考えを読んだのか女番刑事はそう言って指差した。
 その場所に立つと、僕は覚悟を決めてフェンスに足を掛けた。
「おい、何をするつもりだ?」
「ちゃんと向こう側に立たないと分からない気がするんですよ。最後に何が起きたのか、それが知りたいんです」
 フェンスを乗り越えて慎重に縁の上に立つ。
「ったく、しょうがねえな」
 女番刑事もやれやれと言った様子で続けてフェンスを軽く飛び越えた。僕と違って物怖じしていないのは流石と言える。
「ここから落ちたのか……」
 フェンスを一枚乗り越えただけなのに、風景ががらりと変わって見えた。ちょっとした風すら、自分の身体を外に押し出してしまいそうで怖かった。
「何か分かったか?」
 だからどうして平然としていられるんだ、あなたは。
「いえ、特には……」
 下を見るのもおっかなびっくりで、とてもじゃないがまともに頭が働かない。とりあえず向こうに戻ろうとしたその時だった。
「ぁ……」
 足元から、何かの声が聞こえた気がした。
「どうした?」
「何か……聞えませんでした?」
「いや、何も聞えなかったが」
「聞えましたよ! あれは生き物の声だ!」
 僕は縁に腹ばいになって下を覗き込んだ。
「どこだ……? どこにいる!?」
「おい! 危ねえぞ!」
 女番さんの警告に構わず僕は半身を乗り出して探し求めた。
「ぁ……」
 また聞こえた。今度は女番さんも耳にしたらしく、身体を硬直させていた。
「……居た!」
 それを見付けて思わず手を伸ばしたところで、僕はバランスを崩してずり落ちた。
「バカ!」
 びん、と空中で身体が止まった。
 真っ逆さまに落下しかけたところを、女番さんに足を掴まれたのである。
「何やってんだ! てめえは!」
 そのまま一本釣りのように思いっ切り引き上げられて、反動でフェンスの向こうまでふっ飛ばされる。本当に凄い力だ。
「ぐえっ」
 僕は床に叩き付けられて情けない声を上げてしまった。
「ったく! 正気か!」
 女番さんもフェンスを飛び越えて、憤然極まり無い様子で僕の頭を手加減抜きで殴った。
「すみません……。でも、助かりました」
「助かりました、じゃねえよ! 一体何を見付けたんだ!?」
「これです」
 僕は胸にしっかりと抱いていたそれを女番さんに見せた。
「……猫?」
「はい。それもまだ小さい、仔猫です」
 屋上の縁の下にあった換気口のカバーの上に居たのである。下からではカバーが、上からでは縁があったので今まで誰も気付かなかったのだ。
「にぁ……」
 三毛猫の子供が小さな鳴き声を上げた。あんな不安定な場所で、よくもまあじっとしていられたものだ。
「お、おい。触ってもいいか?」
 女番刑事はなぜか目を輝かせて懇願している。どうやらこういう類には目が無いようだ。
「はい。どうぞ」
「おおっ……」
 僕から仔猫を受け取ってそっと抱き上げる。さっきまで不機嫌さはどこへやら。今は至極ご満悦の様子である。
「屋上に段ボールとタオルがあったって言いましたよね。それってもしかして、セットになっていたんじゃないですか?」
「ん? あ、ああ。段ボールの中にタオルが敷かれていたが――」
 そこまで言い掛けて女番刑事も気付いたようである。
「ここで、飼われていたのか」
「そうです。屋上に出入りしていたのも、服に付いた動物の毛もそれで説明が付きます」
 家でも学校でも居場所の無かった彼女には、ここが唯一落ち着ける場所だったのだろう。
「だから、自殺ではなく事故なんですよ。確かに自殺をしようとしたかもしれませんが、サイコさんは思い止まった。おそらくそれは、その仔猫が居たからでしょう」
 仔猫は純真な瞳を僕達に向けている。あれに見詰めながら死ぬのは、相当の気力が必要であろう。
「でも、落ちたんだよな」
「それはその仔猫を救う為です。何があったのかは想像するしかありませんが、結果として仔猫は屋上から落ちてしまった。フェンスの下には隙間があるから仔猫だけでも出入りは可能です」
 ご主人様を救うおうとしたのか、ただ単にじゃれようとしたのか、それは分からない。だが、仔猫を巻き添えにするような真似だけはしなかったと断言出来る。
「それを助けようとして……自分が落ちた。右手の指の痕と脱臼はその時か」
「そして仔猫は安全な場所にと換気口の上に置いた。片手でぶら下がっていたら、屋上に戻すのは困難ですからね」
「……何とも、皮肉な話だな」
 確かに皮肉な話だ。
 逢瀬再子。
 もっと早くに僕と出会っていたら、という考えは無意味だ。過去は過去でしかなく、死んだ人間はもう存在しないのだから。
 でも、最後の最後で僕らは出会った。
 それだけは何か運命的なものがあったかもしれない。
 今なら分かる。
 彼女は僕に、こう言い残したのだ。


『――たすけてあげて』

投稿者 緋色雪 : 2:01

第七話『Diamond Graduation』

「優勝したね」
「そうですね」
 春分の日の昼下がり。
 目田探偵事務所で僕達は、まったりとテレビを見て過ごしていた。
 休日は殺人鬼も休みなのか、周囲では特に事件も事故も起こっていない。普通の人間ならば有り難い事だが、因果な商売をしている者にとっては退屈極まりないと言えよう。
「暇だよー、安地くーん」
 ソファの上でごろごろしながら呟く目田探偵。既に野球への興味は無くしたのか、結果が出た試合には見向きもしない。
「あーんちくーん。あーそーぼー」
「いいですけど……何をするんですか?」
「そうだね。とりあえず負けたら、ブルマでコンビニに行くって案はどうだい?」
「……どうしてブルマなんですか?」
「えっ? だってお題は『ブルマ』だろ?」
「違いますよ!」
「何だよ。折角準備していたのに」
「脱ぐな! 見せるな! と言うか、履いているのか!?」
「むー。だったら普通にテレビゲームでもしようか。鉄拳やろう。鉄拳」
「却下です。あなたとは二度とやりません」
「じゃあ、トランプでもするかい?」
「カードはしばらく見たくありません」
「それならオセロは? この間の誕生日に贈られてきた面白いやつがあるんだよ」
「あの裏も表も真っ白なやつですか? 特注だか何だか知りませんが、あんなのやったら滅茶苦茶混乱するじゃないですか」
「ぶー。わがまま言うなっ」
 目田探偵は抱いていたヌイグルミを投げ付けてくる。ちなみにこれは僕が贈った白いゴマアザラシだ。
「もっと大事に扱ってくださいよ」
「ならもっと金目の物にしてくれよ。そうだ。ダイヤ買ってくれ」
「はあ? 何言ってんですか?」
「買ってくれなきゃクビだ」
「あのですね――」
「ダイヤモンド! ダイヤモンド!」
「………」
 僕は無言でヌイグルミを投げ返す。それは見事に顔面にヒットした。
「何をする!?」
「やかましい!」
 テーブルを挟んでのクッションの応酬が開戦される。食らわない為には上手くソファの背に隠れるのがコツだ。
「食らえ! スカイラブハリケーン!」
「はっはっは! 甘いわ! ジャコビニ流星打法!」
「あのー」
「くっ……ならば人間ナイアガラだ!」
「来い! アフリカに飛ばしてやる!」
「すいませーん」
 今更になって別の人間の台詞が混じっているのに気が付いた。
「あっ」
 僕ら二人はクッションを両手に固まる。
「その、お邪魔でしたか?」
 入り口で恐る恐るこちらの様子を眺めているのは、二十代半ばと思われる女性だった。
「いいえ、とんでもない。目田探偵事務所へようこそ」
 今更ながらにポーズを付けて歓迎する目田探偵。
「安地君。早くここを片付けて、お客様にお茶を出しなさい」
「は、はい!」
 連載七回目にして、ついに事務所に依頼人が登場した。

  ***

 依頼人の名前は浅井優奈。
 市内にある旅行代理店に勤務している、ごく普通のOLらしい。
「失礼ですが、この事務所をどうやってお知りになったのですか?」
 依頼内容を尋ねる前に目田探偵はそう話を切り出した。
「私の妹の友達が、以前ここでお世話になったと聞きまして。それでここを教えてもらいました」
「その方の名前をお教え願えますか?」
「塔野和葉さんです」
 その名前を聞いて僕は「あっ」と声を出した。彼女とのメールのやり取りも少なくなり、近頃はすっかり疎遠になっているのである。
「成程。それで、今の彼女の様子はどうでしたか?」
「直接会った事はありませんが、妹の話によるとそれなりに元気にやっているようです」
 それを聞いて少しほっとする。どうやら新しい生活に馴染めているようだ。
「あの事件きりの一発キャラだったのに、意外としぶといね」
「そういう事を言うな」
 僕はぴしゃりと突っ込みを入れる。
「それでは依頼内容を伺いましょう」
 目田探偵の質問に浅井優奈は居佇まいを直して話し出した。
「実は私、来月に結婚するんです」
 確かにその左手の薬指には、小さなダイヤモンドの石が付いた指環を嵌めていた。
「……でもその前に、どうしても解決したい問題があるんです」
「問題、ですか」
 こういう話になると九割方男絡みだと相場が決まっている。恋愛関係のトラブルに対しては興味の薄い目田探偵の意欲が急激に冷えて行くのが見て取れた。
「ええ。もう、十年以上も昔の話になりますが――」

  ***

 かつて浅井優奈には、幼稚園からの幼馴染である増田勝という少年の友達が居た。
 家が近所であり、小学校に上がってからもずっと同じクラスだったので、どんな友達よりも仲良くしていた。
「うわー、なに手つないでんだよー」
「おめーら付き合ってんかー?」
 だがその関係も学年が上がるにつれて上手くいかなくなった。互いが異性として意識するようになると、周囲の目も気にするようになって疎遠になってしまったのだ。
「ねえ、マサルくん……」
「うっせー。話しかけんなよ!」
 特に増谷勝の方が拒絶を露にしていた。男友達とつるむようになってからは、今まで一緒にしてきた登下校も断るようになったのだ。
 浅井優菜はそれをとても寂しく感じていた。自分も女友達のグループに誘われるようになったので、あまり増谷勝にばかり目を向けていられない。そうすればクラスで孤立してしまうことになってしまうのだ。
 そして小学六年生となった夏休みの最終日。
 浅井優奈は女友達と一緒に神社で行われていた夏祭り会場へと遊びに出掛けた。境内は凄い人波で、最初は一緒に回っていた友達ともすぐにはぐれてしまった。
 この時代はまだ携帯電話がそれ程普及しておらず、精々PHSか、ポケベルが主流であった。小学生であった浅井優菜はそのどれも持ってはいなかったので、友達との連絡手段は皆無だった。
「マサルくん?」
「ユナ?」
 友達を捜し歩いていると、とある出店の前でばったりと増谷勝と出くわした。
「マサルくんも、お祭りに?」
「ま、まあな。あいつら、どっかに行っちまってよ」
 浅井優菜と同じような状況だったらしい。
 まともに顔を合わせて話をするもの久しぶりだった二人は、何となく気まずい雰囲気のまま出店の方に顔を向けた。
 そこは玩具を扱っていて、男女の子供を問わずに様々な商品が雑多に並べられていた。
「あっ。これ――」
 その中にあった物で浅井優奈は一つの商品に目を付けた。その当時流行っていたセーラームーンのグッズの一つで、おもちゃの指環である。
 他にも色々なグッズを集めていたが、それだけは手に入らなかったものだ。すぐに買おうと思って値段を見たが、おこずかいがわずかばかり足りなかった。
「………」
「何だよ? 期待されたってダメだぞ! そんなもの恥ずかしくて買えるか!」
 無下に断られてしまう。
 仕方無いので二人はその場を離れて、ぶらぶらと辺りを歩く事にした。
「なんか、久し振りだね」
「……まーな」
 微妙な距離を保ったまま、互いに顔も向けずに会話をする。
「おまえさあ、まだあんなオモチャ集めてんのか? いい加減卒業しろよ」
「いいじゃない、別に。マサルだって今もミニ四駆とか集めてんでしょ?」
「いいだろ、別に」
 そこで不意に、浅井優奈の表情に翳りが宿った。
「卒業って言えば……あと半年もしたら、わたし達も中学生だね」
「そーだな」
「卒業したら、離れ離れになるんだよ?」
 家は近所だったが、学区が違っていた為に別々の中学に通う事が決まっていたのだ。
「マサルは、これでいいの?」
「……何がだよ?」
「わたしは……イヤだよ」
「知らねーよ! そんなの!」
「でも! このままだと――」
「うっせー! おれ、もう行くからな! こんなとこ見られたら何言われるかわかんねーからよ!」
「マサル! 待ってよ!」
 増谷勝は、そのまま振り向きもせずにその場から駆け出して行った。
「マサル……」
 まともに顔を合わせて会話をしたのは、それが最後になった。

  ***

「――それで、その彼を捜して欲しいんですか?」
 目田探偵が面倒臭そうに尋ねる。
「いえ、違います」
 浅井優菜は首を振ると、持って来た荷物をテーブルの上にどすんと置いた。
「……金庫?」
 僕はそれを見て呟いた。いわゆる手提げ金庫というやつで、金属製の重々しい質感が漂っていた。
「これは小学校卒業間際に、わたしの家の玄関の前に置かれていたものです。直前の電話でそれが彼の仕業だと分かりました」
「電話?」
「はい。中にいいものが入っているから、わたしにあげると……」
「それで中身は?」
「分かりません。今まで開けられなかったものですから」
「触ってもよろしいですか?」
「どうぞ」
 目田探偵は手提げ金庫を手元に引き寄せる。
「ふむ……こんなもの、小学生がどこで手に入れたんでしょうかね?」
「ゴミ捨て場で拾ったとか言っていました。あの当時の男の子なら、珍しいものなら何でも持ち帰っていたみたいですし」
「それもそうですね。何にでも興味を持つ年頃ですし」
 同意しながら手提げ金庫をじっくりと観察する。
「ダイヤル式か。0から9までの数字が左右に三つずつ。全部で六桁の数字と考えると、組み合わせはざっと百万通りだね」
 一つ一つ検証していくには、とても気の遠くなる数である。
「これを開けて欲しいんです。中にどんなものがあるかが気になって」
「しかしこれは、鍵屋にでも頼むべき問題ではないのですか?」
「それも考えました。ですがその場合、バーナーやバールでないと無理だと言われたんです。そのような乱暴な方法では中に影響を与えてしまいますし、彼の意向にも沿わないと思うんです」
「と言う事は、開ける方法があるのですね。どうやらあなたは何かしらのヒントを掴んでおられるようだ」
「ええ。そうなんですが――」

  ***

「――ちょっと、これは何なの? すっごく重いんだけど」
 どうにか家の中に手提げ金庫を運び込んだ浅井優奈は、保留したままだった受話器に向かって不機嫌そうに声を掛けた。
『それ……やるよ』
 受話器の向こうの増谷勝の声は、どこか気後れしたような感じである。
「あげるって言われても――」
『中にいいもん入ってるからよ。いいから受け取れって!』
「でも、開かないよ?」
『他の人に取られちゃ困るから鍵を掛けておいたんだ。ダイヤルを合わせれば開くようになってっから』
「じゃあ、番号を教えてよ」
『んー、そうだな……』
 しばし考え込むように言葉に詰まる。
『簡単に開けられるのもなんか悔しいから、ヒントだけ出してやんよ』
「ええっ? 何それ?」
 一方的に向こうから贈ってきたくせに、何とも勝手なものだ。
『それでも開けられなかったら来週の卒業式に教えてやるよ。それまで頑張れや』
「ちょっと、そんな――」
『ヒントを言うぞ。一度しか言わないから、よーく聞け』
「………」
 仕方無く黙って言葉に耳を傾ける。
『彼は死んだよ』
 通話はそこで途切れた。

  ***

「――彼が亡くなったのはその日の夕方でした。電話をした、わずか数時間後の事です」
 浅井優菜は淡々と言葉を続けた。
「死因は?」
「崖から落ちての転落死です。そこは山林を切り開いての開発地域になっていた場所で、当時そこは男の子達が良く遊びに行っていました。危ないからって、学校では立ち入り禁止にしていたところなんですけど」
「そう言われる場所程、行きたくなりますからね。それで、事故なんですか? 事件なんですか?」
「警察では事故だという結論になりました」
 ただのノロケ話かと思っていたら、何とも怪しげな雰囲気になってきた。それに興味を引かれたのか目田探偵の瞳も輝いている。
「それで、この事も警察に話しましたか?」
「はい。ですが、事故とは無関係の事だと言われまして。わたしが小学生だった事も関係しているかも知れませんが」
「まあ、そうかもしれませんね。でなければこの金庫は証拠物件として押収されているでしょうから」
 目田探偵は手提げ金庫の中身を調べるように裏返して底の方を叩く。
「一応聞いておきますが、その電話は本当に増谷勝でしたか?」
「勿論です。少なくとも当時のわたしは、そう思っていました」
「という事は、これはその彼が贈ったものとみて間違い無いのでしょうね」
「ええ。だからそうだと、何度も申し上げているでしょう?」
「疑り深いのは探偵の習性みたいなものですからお気になさらないで下さい。ところでこの金庫を開けるのに、どのような番号を試されましたか?」
「色々です。生年月日から郵便番号に数字の語呂合わせまで。当時はポケベル文字が流行っていましたから、もしかしたらそういうものかと思っていたんですが」
 そこで僕は気になって目田探偵に尋ねた。
「ポケベル文字って何です?」
「ポケベルというものは数字しか相手に遅れなかった時代があるんだよ。普通は電話番号を送って相手に掛け直させるんだが、簡単な用件なら数字を文字に見立てて直接伝えた方が早いんだよ。『14106』で『アイシテル』とか、『3341』で『サミシイ』という風にね。当時それは女子高生から流行ったものだと言われているよ」
「へえ。と言う事は、目田さんも現役でポケベルを使っていたんですね」
「そんな訳無いだろう。私はティーンなのだから」
 まだその設定を引きずるかと突っ込みそうになったが、どうやらそれは精神年齢を差しているようだ。逆コナン。
「『彼は死んだよ』なんて言葉、数字にするには無理があります。わたしはそれがただのヒントだったのか、もっと別の意味が込められたメッセージなのか、今でも分かりません……」
 僕らに構わず言葉を続ける浅井優奈。
 死者によって過去を囚われるとは、こういう事なのかと漠然と考える。
 それは僕には無い感情だ。
「中身を見ればはっきりするでしょう。じゃあ、開けますね」
「ええ……えっ?」

 ――ガチャン。

 開いた。
「おや? こいつは――」
「何が入っているんですか!?」
 身を乗り出して中身を覗き込む浅井優奈。
 金庫の中に入っていたのは、おもちゃの指環と、一通の手紙だった。
「これは、あの時の……」
 そっと手を伸ばして指環と手紙を手に取る。

『ユナ。
 今までごめんな。
 卒業しても、おれ達は一緒だぞ!
                マサル』

「マサル……!」
 手紙を握り締めて、嗚咽を漏らす浅井優菜。
 十数年分の想いが涙となって溢れているようだった。
「目田さん。どうやって番号が分かったんですか?」
 感動しているところを邪魔しては悪いので代わりに僕が尋ねた。
「こいつは7セグメントディスプレイ業界では有名な暗号なんだ」
「……どこの業界ですか、それ?」
「時計に使われるデジタル数字の事だよ。さっきはポケベル文字について触れたけど、あれはいいところまで行っていたんだ」
「つまり?」
「デジタル数字を逆さに引っ繰り返すと英語に見えるんだ。1はI、2はZ、3はE、4はh、5はS、6はq、7はL、8はB、9はG、0はOかDってね。他にも解釈があるから、一概にこれとは言えないけどね」
「じゃあ、『彼は死んだよ』ってのは――」
「英語に直訳すると『HE DIED』で、それを数字に置き換えれば『43 0130』って事になるんだよ」
 僕はそれで納得する。
「凄いですね。目田さんはそれを一瞬で推理したんですか?」
「有名だって言っただろ? 私は元ネタを知っていたに過ぎないよ。有名なところでは『世にも奇妙な物語』でやっていたしね」
「じゃあ、今回はパクリですか?」
「インスパイヤと言いたまえ」
「それ、余計にタチが悪いです」
「いいんだよ。多かれ少なかれ誰でもやっている事なんだからさ。それに今回は別に謎解きがメインじゃないんだ。ほら、十数年越しの手紙を読んで感動しなよ。その為に回想シーンでページを割いたんだし」
「開き直るな! ミステリ否定すんな! とっくに台無しじゃボケェ!」
 小学生が作ったと言うには無理があるかも知れないが、ネタを知っていれば辞書と電卓を使って何とか作れるだろう。それにこの金庫は暗証ナンバーを変更可能のようだから。
「……あの、ありがとうございました」
 落ち着いたのか、浅井優菜が感謝の言葉を述べた。
「いえいえ、お安い御用ですよ」
「そうですよ。こんなの推理のうちに入りませんから」
「きみが言うな」
「アンタこそ偉そうに言うな」
 僕達はクッションを手に立ち上がる。
「これでどうにか、わたしも吹っ切れたような気になりました」
 依頼人の手前、僕達は渋々座り込む。
「想い出から卒業できたようですね」
「ええ……そうですね。あの言葉に深い意味が無いと知って安心しました。ただの事故だと分かった訳ですから、一度お墓参りに行きたいと思います」
「それはいいんですが、そちらの品物はどうするんですか? 重婚は犯罪ですよ」
 上手い台詞を口にしているように見えるが、今更感丸出しである。
「……しばらく実家に置いておきます。その間に彼と相談して、これからどうしようか決めようかと思います」
「それがいいでしょうね。取っておくにせよ、供養するにせよ」
 子供の頃の話で、別に恋人の忘れ形見というものでもないのだ。嫉妬深い性格でなければ許される範囲だろう。
「あっ、そうだ。依頼料は――」
「その事ですが」
 すると目田探偵は空になった手提げ金庫を手に掲げた。
「こいつで手を打ちませんか? ちょうど、うちの事務所に無かったもので」
「でも、そんな古い金庫なんかでよろしいんですか?」
「これにも思い出が詰まっていると言うのなら諦めますが」
「いえ。じゃあ、それでお願いします」
「交渉成立ですね」
 まあ、あれで依頼料を吹っ掛けたら詐欺だと言えるだろうから、これくらいが妥当かもしれない。
「何かあったら、こちらにご連絡下さい」
 目田探偵は名刺を差し出す。白紙に凹凸を付けただけの文字だから、見えづらい事この上ない。
「色々とお世話になりました。では、これで失礼します」
「あっ。塔野さんにもよろしく言っておいて下さいね」
「はい。本当にありがとうございました」
 僕がそう伝えると、浅井優奈は何度もお礼を言って帰って行った。
「さてと。安地君」
「はい」
「玄関の扉に鍵を掛けてくれ」
「えっ? 何でですか?」
「いいから早く」
 言われた通りに鍵を掛けてくる。その間に目田探偵は窓の全てのブラインドを下ろしていた。
「こんなに閉め切って、一体何をするつもりなんですか?」
「まあ見ていたまえ」
 目田探偵は工具を持って来て金庫の底をいじくり出した。
「底を叩いた時に違和感があったんだよ。ここをこうして……よしっ。開いたぞ!」
 金庫は二重底の構造になっていた。目田探偵は蓋になっていた底の部分をゆっくりと持ち上げて、奥の中身を覗き込んだ。
「どう見てもダイヤです! 本当にありがとうございました!」
 目田探偵が叫ぶのも無理は無い。
 そこにはダイヤの指環を始め、ネックレス、イヤリング、ブレスレット等の、様々な貴金属がぎっしりと詰め込まれていたのだ。
「本物だよ。これは軽く、億を越えるね」
「な、なんでですか……?」
「何かが入っているかもしれないと思っていただけで、確証は無かったよ。空っぽだったら大損だったけど、いやー想像以上だ」
「早くさっきの人を呼び戻しましょうよ!」
「どうしてだい? 取引は既に成立しているんだよ」
「しかし――」
「例えば遺産分配で土地を分けた後、更に値が上がったとしてもそれを再び分ける必要は無いんだよ」
「それとこれとは話が違います!」
「2%でどうだい?」
「今度は買収か! しかも妙に現実的な数字だし!」
 ちょっと待てよ。
 増谷勝はこれを知っていたのか?
 金庫は拾ったらしいが、こんなものが隠されていたとなると一気に事件性が増すぞ?
「大丈夫。正規の宝石屋でなくても、買い取ってくれるところは幾らでもあるよ」
「何の心配をしているんですか!? とにかく女番さんに連絡しますよ!」
「えー」
 その後色々と過去の事件が浮かび上がったり、浅井優奈の結婚に潜む陰謀があったり、増谷勝のメッセージの真の意味が暴かれたりする訳だが――。
「――そこはあえて割愛! 以上閉幕! 次回のブルマに、乞うご期待!」
「だからそれは無いっての!」

投稿者 緋色雪 : 2:01

第六話『アルコル星人』

『――南斗孤鷲拳奥義! 南斗翔鷲屠脚!』
 シンの一撃必殺奥義が炸裂し、空中に居たケンシロウへと見舞った。
『何本目に死ぬかな~』
 サザンクロスの兵隊達に捕まったケンシロウは成す術も無く胸元に指を突き刺される。
そして七つの傷を付けられると、派手に血飛沫を上げて地面に倒れた。
『ふはははははは!』
 勝利を得て、サザンクロスの旗の前で高笑いをするシン。
(あー、やっぱりいいな。この演出)
 僕は筐体の画面を眺めながらしみじみと思った。アーケード版『北斗の拳』は、やっぱり星の奪い合いが熱い。
 特にシンはその能力に長けている。それに、コマンド投げや二択などのガード崩しも中々だ。巷ではキャラの評価は低いらしいが、そんなものは気にしない。ようは楽しめればいいのだ。
 元々の漫画やアニメはリアルタイムでは見ていない。当時はまだ生まれていないので当然なのだが、ちょっと前に古本屋で全巻を立ち読みした。だから、大体のストーリーは把握してある。
(それに何と言っても、この声が良いよなあ。今度アニメ版でも借りようかな?)
 古川登志夫ボイスのシンはラスボスのラオウを撃破して、CPU戦全クリを達成した。エンディングは見ずにそのまま席を立つ。と言うか見飽きた。今ではラオウにわざと復活させる余裕もある。
(さてと、次はどうしようかな?)
 続けて鉄拳5DRをやるのも良いが、そろそろ財布の中身が心許無い。
 とりあえずゲームセンター内をうろうろと回って観戦モードに入る。他人のプレイを眺めるのも勉強のうちだ。
 そして目に付いたのは、大型スクリーンの前にずらりと並んだ『機動戦士ガンダム0079カードビルダー』である。全部で八台の筐体があるのだが、そのどれもが人で埋まっていた。
(これ、人気あるよなあ。一度はやってみたいと思うけど……)
 だが、あっという間に財布が空になってしまいそうで怖い。これに限らず『三国志大戦』や『Quest of D』などのカードを使ったゲームというのは、中毒性が物凄く高いと聞く。
(高校生にはつらいよ。やってる人達も、ほとんどがオールドゲーマーだし)
 大人の財力に物を言わせて大量のカードを抱えている人がちらほら居る。
「――ミハル、俺はもう悲しまないぜ。お前みたいな子を増やさないためにジオンを叩く。徹底的にな」
 前列右角の筐体で連邦軍側のプレイをしている女性もそうだった。何と、カードがトランクケース一杯に詰められているのである。
(そう言えば、あのキャラも同じ声だったな……)
 原作を忠実に再現しているのか、ガンキャノンに乗ったカイ・シデンはジオン軍のゴッグを撃破していた。
(ガンダムのアニメは一通り観たけど、知らないキャラやMSが沢山あるよな。あれって、MSVとか言う奴だっけ?)
 流石にプラモまでは知らない。
「そそっかしいからよ。こういう時は臆病でちょうどいいのよね」
 そこでふと異変に気付いた。
 先ほどの女性がプレイしていたゲーム画面を良く観ると、既に戦闘は終わってコンテニューの映像が流れている。
(じゃあ、今の台詞は何だ?)
 他の筐体かと思って見渡したが、どこにもカイは出撃していない。
 ゲームを終えた女性は立ち上がり、トランクケースにカードを入れて筐体から離れる。
「ん? 奇遇やないか、アンちゃん」
 なんと女性は美川里ちゃんだった。
「ど、どうも……」
 意外な場所で意外な人物に出会い、少々面食らってしまう。
「あの、さっきの台詞……どこから聞こえて来たんですか?」
 折角なので本人に聞いてみた。
「ああ、あれか? 臨場感を出す為にうちがアフレコしとったんや」
「……納得です」
 美川里ちゃんの職業は代替屋。
 特に他人に成り代わる為の変装術や声帯模写などは得意中の得意らしい。アニメの台詞を真似るくらい、造作も無い事だろう。
「ところでアンちゃんは何しとったんや?」
「僕は『北斗の拳』をしに来ただけですよ。この頃は対戦も減って、ちょっと寂しいんですけどね」
「あー、あれか。うちも懐かしくって、ちょっとやってみたんよ。そしたら最終ラウンドになって二秒でK.Оや。それ以来二度とやってへん」
「ははっ……」
 それが北斗クオリティだ。
「そういやどっちも映画やっとるよな。『ドラえもん』もやっとるし、リバイバルブームってやつなんかなあ」
「そうですね。どれか観ましたか?」
「うちは勿論『劇場版Zガンダム 星の鼓動は愛』を観に行ったに決まってるやんか」
「ラストはどうでした?」
 僕は観ていないので知らない。
「んなの、自分で観に行けや。教える訳あらへん」
 正論である。
 だが、この間の二度目の映画で随分と金を使わされてしまったのである。今月はそれでピンチなのだ。映画など無理に決まっている。
「ああ、そっか。この間女番と映画観に行ったんやな。それで金欠なんやろ?」
「お察しの通りです」
「しかしそれで、誕生日プレゼントを用意出来るんか?」
「誕生日? 誰のです?」
「誰って、目田やんに決まってるやないか」
 目田やんとは目田探偵の事を指す。今まで数々の難事件を解決してきた名探偵で、僕はその助手なのだ。
「それって……いつですか?」
 そんな事、僕は知らない。聞いていない。
「ホワイトデーの三月十四日や。何とも微妙で、運命的な日やろ?」
 確かに目田探偵は白を好む。天然の白髪が原因かと思っていたが、そういう理由もあったのか。
「プレゼントって……必要ですかね?」
 前日になって、いきなりそんな事を言われても困る。
「日頃世話になってるんやろ? だったら、それくらい当然やんか」
「まあ、そうかもしれませんが」
 とは言え、金欠な上に時間もない。ここは知らなかった事にしてとぼけるのが最上の策だろう。
「ああ。すっとぼけようとしたって無駄や」
「どうしてです? 僕は目田さんから誕生日の事なんて聞いていないんですから、知らない振りしたって大丈夫でしょう」
 それにあの人は年齢の事に付いて触れると怒る。自称ティーンエイジャーなのだが、流石にそれは無理があるだろう。
「うちが教える。アンちゃんに目田やんの誕生日を教えたってな」
「……鬼ですか、あなたは」
「『いつですか?』って聞いたのはそっちやで?」
 僕は頭を抱えたくなった。
「しょうがない。どこかでケーキでも買って行くかな……」
 予算の関係上ショートケーキだろうが致し方ない。手ぶらよりはマシだろう。
「ケーキだけか? ショボイなあ」
「他に代案があったら教えてくださいよ」
 すると美川里ちゃんはニヤリと笑った。
「だったら、いいバイトがあるで」
「何です?」
「うちの仕事の手伝いや。ちょうど明日、上手い仕事があんねん」
「それで、幾ら貰えるんです?」
「日給一万ってとこやな」
「一万……」
 それだけあればちゃんとしたケーキも買えるし、それなりのプレゼントも用意出来るかもしれない。
 だが、甘い話には罠がある。
「どんな仕事なんですか?」
「ちょっと変装して外を歩くだけや。ホテルから出て、無事にリムジンまでヒッ――乗り込めばそれで終いや」
「お断りします」
「なんでや!?」
 思わず『ヒットマン』と言い掛けておきながら、意外そうに驚くな。
「残念やなあ。儲けるチャンスやったのに」
「一万円で命を賭けられませんよ」
「じゃあ、いつになったらうちが主役の話になんねん?」
「知りませんよ、そんな事」
 僕に言われても困る。
 これからまた仕事だという美川里ちゃんに別れを告げると、僕はゲームセンターを出て夕刻に差し掛かった街中をふらふらとアテも無くさまよった。
 まさかこれから目田探偵事務所に顔を出す訳にもいかない。既に連絡が入っているだろうから、あの人に何を言われるか分かったものじゃない。
(下手すりゃ、変な頼み事されるかも知れないしなあ……)
 まったく、厄介な火種を運んで来てくれたものである。

 ――ペーペーポーペーペペポー。

 交差点に差し掛かって赤信号で足を止める。
(目田さんが喜びそうなものって言ったら……やっぱり謎を孕んだ事件かな。でもそんなの、そうそう転がっていないし――)
 そんな事を考えながらふと顔を上げると、向かいの歩道に奇妙なものが見えた。
 全身を銀色のタイツで覆い、頭には触覚のような球の付いた角が突き出ている。そしてその顔には、不透明なゴーグルが掛けられていた。
 そのあからさまに怪しい男は、じっと目の前を見据えながら腕組みをして信号待ちをしているようだった。
(何かの撮影か?)
 きょろきょろと辺りを見渡すが、撮影スタッフらしき人物は見付からない。
 周りの反応はというと、係わり合いを避ける為か完全に無反応だった。すぐ近くには同じように信号待ちをしている人が居るというのに、まったくそちらを見ようともしない。
(そりゃそうか。誰だってそうするよな)
 僕は一人納得すると、これからどうしたものかと考えた。
 特に目的があって歩いていた訳では無いので、ここで回れ右をしても構わない。
 だが、あのような『謎』を見過ごしてしまうのは惜しい気がした。面白い話のネタにでもなるのなら、プレゼントの代わりになるかもしれない。
(……よし! やってみるか)
 僕は決意して前を見据えた。

 ――ペーペーポーペーペペポー。

 とおりゃんせの音楽と共に歩行者信号が青に変わる。
 横断歩道をゆっくりと歩き出すと、全身タイツの男もこちらに向かって歩いて来た。
「………」
「………」
 ちょうど横断歩道の真ん中で僕とそいつは無言で立ち止まった。ゴーグルをしているので良く分からないが、年齢は精々三、四十代くらいだろう。
「あの――」
「オマエには我が見えるのか?」
 そこで僕は意識を失った。

  ***

 目を覚ました時、そこは見知らぬ室内の中だった。どうやら僕はコンクリートの床の上に寝ていたらしい。
「ここは……?」
 だだっ広い上に、周囲は薄暗くて室内の様子はよく分からない。だがその雰囲気からして、どこかの古い倉庫のようであった。
「っ……!」
 頭痛がする。もしかしたら何か薬でも使われたかもしれない。慌てて携帯電話を探すが、奪われたのかどこにも無かった。
「どこだよ……ここは」
 時間を示すものが無いので正確には分からないが、真上の天井には四角い天窓が一つ付いていて、そこから瞬く満天の星空がくっきりと見えた。つまりあれからそれなりの時間が経っているようだ。
「おはよう地球人」
 遠く離れた場所で明かりが点いて、あの全身タイツ男が姿を表した。
「……っ!?」
 咄嗟に立ち上がろうとして、僕は床の上に派手にすっ転んでしまった。
「な、なんだ……?」
 足元を良く見ると右足首には鉄製の枷が嵌められていて、そこから伸びた太い鎖が床へと結ばれていた。
「くそっ! 何だよこれ!」
 どんなに引っ張ってもびくともしない。
「落ち着けよ地求人」
「おまえは一体誰だ!?」
「我はアルコル星からやって来た、アルコル星人である」
「アルコル星……?」
 そんな星の名前は聞いた事が無い。
「オマエら地球人が呼称する、北斗七星の脇にある星の名前だ」
「それって……死兆星?」
 何という事だ。
 僕は自称宇宙人の、とてつもなくヤバイ人間と出会ってしまったらしい。
「普通の人間には我を感知する事は出来ないが、極稀にオマエのような奴が居る」
「そりゃあ……そうだろうけど」
 僕のような物好きでもない限り話し掛けたりはしないだろう。
「目撃者は消さねばならない。それが我らのルールだ」
 アルコル星人はいつの間にか手にしていた銃のようなものを僕に向けた。
「ちょっと待っ――」

 ――パァン!

 大きな音共に僕のすぐ横のコンクリートの床から火花が飛び散った。
「……だが、我らにも慈悲がある」
 子供の玩具のような外観の銃を右手に携えてアルコル星人は言葉を続ける。
「ここで一つゲームを提案したい」
「ゲーム?」
「オマエが勝てばここは見逃して無事に解放してやろう。その後も一切関わらないと約束する」
「……負ければ?」
「消す。どうだ? 受けるか?」
 そんなの選択の余地なんて無いじゃないか。
(待てよ? もしかして、これも――)
 以前、目田探偵と美川里ちゃんから手痛いドッキリを食らった事がある。もしかしたらこれもその類なのかもしれない。
(――となると、あのアルコル星人も美川里ちゃんの変装なのか?)
 そう言えば、昼間にゲームセンターで会ったのも偶然にしては出来過ぎのように思える。明日が目田探偵の誕生日ならば、それに便乗にしてイベントを画策したとしても不思議ではない。さっきの床の火花も事前に火薬でも仕込んでおいたのだろう。
(なんだ。そういう事か)
 途端に気が楽になった。
「いいよ。ゲームを受けてやる」
「そうでなくてはな。地球人」
 アルコル星人は不敵に微笑む。全身タイツな上に頭の触覚がみょんみょん揺れていて恰好付かないが、どこか声が古川登志夫っぽい。
「それで、ゲームの内容は?」
 尋ねるとアルコル星人はマジシャンのように左手から五枚の黒いカードを出現させた。
「地球にはESPカードという面白いものがあるが、それは知っているか?」
「ああ。『○』『□』『☆』『┼』『~』の五枚のカードを使った、透視やテレパシーの実験に用いるものだろう?」
 僕が答えると、アルコル星人は満足そうにカードを一枚一枚僕から少し離れた前の床に並べる。
「今これは、裏向きに並べてある」
「これを……当てろってのか?」
 僕は超能力者でもないというのに、そんなの無茶苦茶である。
「手段は問わない。『☆』がどこにあるのかを答えられたら、オマエを解放してやろう」
「しかし――」
「解答権は一度きり。制限時間は夜明けまでだ。どうした地球人? 既にゲームは始まっているぞ」
「……分かったよ!」
 僕は床に這いつくばるようにしてカードに近寄る。念の為にぎりぎりまで身体と手を伸ばしてみたが、あと一m程足りなかった。
「見たって……分かる訳ないよな」
 どんなに目を凝らしてもカードの裏が透けて見えるような事は無い。透視はおろか、僕にはテレパシーもサイコキネシスもテレポートも使えないのだ。
「手段は問わないって言ったよな。だったら、めくっても構わないんだろ?」
「出来るのならな」
 僕は息を大きく吸い込んで――むせた。
「げほっげほっ!」
「埃まみれだからな。気を付けろ」
「ったく……」
 埃を吸わないようにもう一度大きく息を吸い込む。

 ――ふうっ!

 だが、五枚のカードはびくともしなかった。
 何度試しても同じで、しかも危うく呼吸困難に陥るところだった。
「……だったら!」
 僕は腰のベルトを外してロープの代わりに用いることにした。バックル部分で引っ掛ければこちらに引き寄せられるかもしれない。
「このっ! このっ!」
 何度かカードに届いたものの、それらはびくともしなかった。
「ちなみにそいつはスチール製でね。見た目よりずっと重量がある」
 僕はベルトで引き寄せるのを諦めた。剃刀のように薄いのか、床の一部になったかのようにぴったりと張り付いている。この調子では何時間やっても難しいだろう。
(鉄か……磁石でもあれば、話は別なんだろうけど……)
 生憎とそのような便利な道具は無い。
(周囲にあるのはコンクリートの床だけだ。携帯電話は奪われたし、誰かが助けに来てくれるなんて都合の良い事は無いよな)
 五分の一の確立に賭けるには分が悪すぎる。負けたらどうなるか知らないが、絶対に酷い目に遭うだろう。
(目田探偵もどこかで見ているのかな? ここからじゃ分からないけど――)
 これがただのイタズラ、の場合であるが。
「なあ、アルコル星人」
「なんだ、地球人」
「あんたはどうしてこの地球にやって来たんだ?」
「それは秘密だ。大体、そんな事を知っても仕方無いだろう」
 まあ予想通りの答えだ。
「じゃあ、その格好の意味は?」
「それも秘密だ。オマエはただゲームに集中すれば良い」
 取り付く島が無い。
 会話からボロを出すような真似はしないという事か。
「ちくしょう……」
 あれから僕は脱いだ服を繋げて引き寄せようとしたり、足枷が外れないかと試したりしたが全くの徒労であった。どうやら直接カードをめくる方法は完全に皆無のようである。
 時間だけが、ただ無常に過ぎて行った。
「てこずっているようだな。地球人」
「見れば分かるだろ」
 疲れ切った僕は床に大の字になって苛立たしげに答えた。頭上には最初に見た時と同じ満天の星空が瞬いているが、少しばかり白み掛かってきたように見える。
「ならば、ヒントをやろう」
「ヒント?」
 僕はその言葉に反応して身体を持ち上げた。
「『□』の隣には『○』がある。『~』の隣に『□』は無い。『○』があるのは偶数番目のみ。そして『┼』は右端にある」
 それらの情報を忘れないように、僕はポケットにあった十円玉をペン代わりにして急いで床に書き留めた。
(ヒントを用意していたんなら、最初から出せっての!)
 心の中で愚痴りながらあれこれとパターンを考えた。
 出来たのは四つ。
 それを順に並べてみる。

 『~』『○』『□』『☆』『┼』
 『□』『○』『~』『☆』『┼』
 『□』『○』『☆』『~』『┼』
 『~』『☆』『□』『○』『┼』

 これ以外に組み合わせは無いだろう。
(『☆』がある確率は、右から二番目が一番高いな……)
 だがそれはあくまで単純な確率であり、他の組み合わせである事も十分に考えられる。アトランダムに並べられたのならともかく、カードは向こうの手によって直接並べられたのだ。そこになんらかの作為があって当然と考えるべきだろう。
(どれだ? くそっ! どれなんだ!?)
 ここに来て手詰まりである。全く、中途半端な情報を渡しやがって。
「最後に一つだけ、質問を受け付けよう」
 頭を抱えながら悩んでいる僕を眺めながらアルコル星人が言った。
「質問?」
「そうだ。ただし、『☆』の位置を直接聞くような真似はするなよ。その場合は即刻ゲームオーバーとさせてもらう」
「………」
 僕は口を噤んで考え込んだ。
(どんな質問をすれば『☆』を特定する事が出来る?)
 パターンを見比べながら考え込む。
 だが、ここまで来て頭が上手く働かない。
 それもそのはず。時刻は既に夜明け近くにまで迫っているのだ。途中で一度眠らされたとはいえ、あんなのは睡眠とは言えない。
(何かが引っ掛かるんだよなあ……目田さんなら、こんなのあっという間に解いてしまうんだろうけど……)
 いっその事ヤマ勘で決めてしまおうかとさえ考える。最初の五択に比べれば、三択になっただけマシだろうし。
「……ん!?」
 ここに来て、僕はようやく思い至った。
(┼の左は何かと聞けば、それで特定する事が出来る!)
 『☆』ならそれで終わり。
 『~』なら真ん中に『☆』がある。
 そして『○』なら左から二番目だ。
 これで完璧だ!
「決まったか? 地求人」
「ああ!」
 僕は強く頷いた。
(……本当に?)
 その時、心の中で誰かが囁いた。
 まだ何か見落としがあるような気がする。
「どうした? さあ、質問をしろ」
 アルコル星人の自信たっぷりな態度がやけに気になる。まるで、こちらが質問する内容を予測しているかのようだった。

 ――騙されている。

 誰かがそう囁いているのだ。
(ここまでお膳立てをして、最後にわざわざ質問させて『☆』の位置を特定出来る様な単純なゲームであるはずがない!)
 僕は目を瞑り、今までのアルコル星人との会話を思い起こした。
『――地球にはESPカードという面白いものがあるが、それは知っているか?』
『――手段は問わない。『☆』がどこにあるのかを答えられたら、オマエを解放してやろう』
『――そうだ。ただし、『☆』の位置を直接聞くような真似はするなよ。その場合は即刻ゲームオーバーとさせてもらう』
 おかしい。
 おかしい。
 この言葉は不自然だ。
 あからさまに、ある言葉を避けている。
「質問だ! アルコル星人!」
「なんだ?」
 僕は相手を睨み付けながら詰問した。
「このカードは全部で何種類あるんだ!?」
 その言葉に、アルコル星人は動揺した。
「………」
「どうした? さあ、答えろ!」
「……四種類、だ」
 肩を落とし、悔しそうに歯を喰いしばりながら答える。
「やっぱり……」
 つまりこうだ。

 『~』『○』『□』『○』『┼』
 『□』『○』『~』『○』『┼』

 この二つのうちのどちらかだろうが、そんな事は最早どうでもいい。
 元々『☆』など入っていないのだから。
 アルコル星人はカードの中に『☆』があるとは一言も言っていない。
「……最初にカードを確認しなかった、僕にも責任はあるだろうけどね」
 目田探偵ならこのようなミスは絶対にしなかっただろう。まだまだ僕は未熟という訳か。
「つまり『☆』は――」
 僕は頭上を見上げた。
 星空は大分明るくなり、夜明けも間近だという事が分かる。
 どうやら間に合ったようだ。
 最初に見た時と同じ満天の星空。答えは始めから頭上に用意されていたのだ。
「――っ!」
 指を星空に差し掛けて、足首の痛みに思わず顔をしかめてしまった。
「いってえ……ったく、痣になってなきゃいいけど」
 しゃがみ込んで足首の様子を見ながらぶつくさとつぶやく。鉄の足枷なんてやり過ぎだ。終わってからみっちり抗議しないと。
「さてと……」
 興を削がれた気分で、もう一度天窓を見上げる。
「……あれ?」
 僕はそこで疑問の声を上げた。
 何故だろう?
 カードのトリックに気付いた時のような違和感が、心の中から湧き上がってきた。
 これで正解のはずなのに――。

『――謎解きで一番注意しなければならないのは、解いたつもりで有頂天になっている時なんだよ。安地君』

 囁きでは無く、目田探偵の声がはっきりと耳元で聞こえた。幻聴なんだろうけど、それは僕の心に深く突き刺さった。
「違う……あれは違う! あれは贋物だ!」
 僕は星空を見上げながら言い放った。
 同じ満天の星空?
 そんな訳あるか!
 何時間経っても星の位置が全く動かない星空なんて、有る訳がない!
「『☆』は……ここだ!」
 僕は両手を広げて叫んだ。
「僕の居るこの地球こそが『☆』だ! それ以外、ここには無い!」
 するとアルコル星人は、態度を一変させて満足そうに頷いた。
「見事だ『地球人』」
 瞬間、辺りが眩しい光に包まれる。
「くっ! またか……」
 どんな手を使ったのか、急激に意識が朦朧としてくる。睡魔に襲われていた真っ最中だったので、抵抗する術などなかった。
「――中止に……地球……侵……」
 意識を失う寸前に、そんな呟きが聞こえた気がした。

  ***

 次に目が覚めた時は同じ場所だった。
 天窓の他に、壁の扉が大きく開けられていて十分な日が差し込んでいる。それで中の様子も良く分かった。
「やっぱり、倉庫だったか……」
 中は空っぽで、人っ子一人居ない。
「あっ! 僕の携帯!」
 すぐ近くに携帯電話と、その脇に添えるように一万円札が置かれてあった。
「報酬のつもりかな? まっ、有り難く貰っておこう」
 足を拘束していた鉄枷もとっくに外されている。これでようやく僕は自由になれたのだ。
「それにしても酷いな。こんなところに置いていくなんて……」
 まあいい。後で問い詰めてやろう。
(ところで、ここはどこなんだろう?)
 倉庫を出るとそこは無人島――などではなかった。ちゃんと見覚えのある街並みが遠くに見える。
(このまま歩いて帰るのも面倒だな。近くに駅かバス停は――)
 工事中の看板をくぐって道路に出る。辺りを見渡すと、ちょうどそこに空車表示のタクシーが通りかかった。
「タクシー!」
 僕は手を上げて停車させた。普段なら絶対しない贅沢行為だが、臨時収入が入ったので構わないだろう。
 運転手に自宅の住所を告げ、後部座席でうたた寝をするように横になった。

  ***

 その日の夕刻。
 タクシー料金でかなり持っていかれたので、大分予算が少なくなってしまった。
「誕生日おめでとうございます」
 だから僕が渡したのは、ゲームセンターのUFOキャッチャーで獲得してきた白いゴマアザラシのぬいぐるみだった。運良く五百円玉一枚で取れたので、お陰でケーキに金を掛ける事が出来た。
「ありがとう。夜のお供にさせてもらうよ」
 半分嫌がらせのつもりだったのだが、意外と気に入られてしまった。
「そいつ、見た事あるわ。大方ゲーセンで取って来たんやろ?」
 それを見た美川里ちゃんが余計な事を言う。ちなみにこの人のプレゼントは『シン・マツナガ専用ザクⅡ』というガンプラで、どうもマニアックな代物らしい。
「まあ、こういうのは気持ちだからな。金さえ注ぎ込めばいいってもんじゃねえだろ」
 女番刑事ナイスフォロー。この人のプレゼントは白米酒。しかも酒樽をここまで担いで来たのだ。
 事務所でのパーティに参加したのは僕を含めてこの四人だった。他にも何人か声を掛けたらしいが、どうやら都合が付かなかったらしい。それでも郵送でプレゼントらしきものが沢山贈られて来たが、中には訳の分からないものが多々ある。白薔薇の花束、白いギター、修正液十年分、等々。
「ところで、いつまでトボけるつもりなんですか?」
 僕は苺の生クリームケーキを切り分けながら美川里ちゃんに問い掛けた。
「何がや?」
「何がって……夕べのやつですよ。あれ、美川里ちゃんだったんでしょ?」
 ケーキに立てられたロウソクの数は暗黙の了解で二十本未満になっている。何をそんなにこだわる必要があるんだか。
「何言ってんねん。昨日はアンちゃんと別れてから、ずっと朝まで仕事してたんやで」
「またまたー。もういいですって、分かってますから」
「だからなんやねん!? 訳分からんこと抜かすと、本気でしばくぞ!」
 何やら本気で怒っているみたいだ。
「美川里が言っているのは本当だぞ」
 横から口を挟んだのは女番刑事だった。
「このあたしの仕事を手伝って貰ったんだからな。間違い無えよ」
「そうやで? めっちゃ危険な潜入捜査に引っ張り込まれて、ほんと散々だったわ」
 ……どう言う事だ?
 女番刑事まで僕をからかっているとは、とても考えにくい。
「その様子だと何かあったらしいね」
 目田探偵が興味深く尋ねて来た。どうでもいいですけど、口の周りにクリームがべったり付いています。
「その――」
 僕は夕べのあらましを話した。ついでに足首にくっきり残った痣も見せた。
「夢でも見たんやろ」
「ただの変質者だな」
 話し終えると、美川里ちゃんと女番刑事は口々にそう言った。
「安地君。良い機会だから言っておこう」
「何です?」
「この先、新たな登場人物が現れる度に美川里ちゃんの変装だと思うのは止めたまえ。そんなの一々面倒だし、話が進まなくなる」
「しかし……」
「この間のは特別だよ。もうあんな事はしないさ」
「そうや。アンちゃんをからかうのは楽しいけど、わざわざそんな事に金と労力を使ってられへん。はっきり言って無駄や」
 そんな事言われても納得出来ない。
「大丈夫。きみが言うなら、私は信じるさ」
 目田さんは僕の肩を安心させるように叩く。
「きみは地球を救ってくれたんだろ? これ以上のプレゼントは無いよ――」

  ***

 後日。
 僕はあの倉庫にもう一度訪れようと思い、散々苦労して辿り着いた先では解体工事が進められていて、既に跡形も残っていなかった。

投稿者 緋色雪 : 2:01

あけてました。おめでとうございます2007

January 02, 2007

本日から仕事始めということで新年のご挨拶です。

昨年は初めての…本気で本当にはじめての漫画連載でずっとバタバタしてました。
(投稿どころか、同人誌で12P描いた事が一回だけの状態でお話を頂いたという冗談のような話でした。いまだ不慣れでスミマセン)
ひとまず一巻が出せたので、さらに皆さんに喜んでいただけるように頑張ります。
CG系では…
Skyfishの「白ソレ」と「ふぁみすぴ」にわずかながら助力出来たくらいで…基本的には エーテル以降はガチグラフィッカーとしては動いてませんでした。
あとは二次元で挿絵描かせていただきましたが…
基本的にえちい絵が苦手だって事を再認識する羽目になりました。
仕事でも当分は描きたくないと言った所ですw

同人関係も忙しくて夏は回避させていただきましたが、
今年は何とかコミケだけは両方出たいと思ってます。
(冬コミ、12:30には完売してしまって…再販とあわせて700持ってたんですが…前回の倍以上があっという間に…すごいぜ赤さん!)

それでは、本年も珍奇なままの自分ですが、生温かい目で付き合ってくださいな。
よろしくお願いしますっ!

投稿者 緋色雪 : 14:01

冬コミ入稿完了したので頒布物情報

December 14, 2006

hyoush1.jpg hyoush2.jpg

■12/31(三日目)東 I-01b|MinusArtWorks
・新刊(左)
びーだまセカイ…20Pフルカラーイラスト集|¥700-
通年のCG集のような感じでの本になっています。
仕事絵やHPでは載せられない高解像度版のイラストなどが中心です。
製本自体が楽しくなってるので、デザイン的に少しだけ凝ってみました。
・再販(右)
SnowDrawingWorks|2001-2005…88Pカラー口絵付きラフ集|¥1,000-
前回(C68)の本の再販。印刷所の関係で前回の紙が使用不可になってしまった為、
紙質が変更になってます。ご了承下さい。(悪くはしてないので…)

この二種類です。当日は大きなポスターで目立つようにしておきますので、宜しくお願いしますw


あと、簡単に拍手であった質問ですが…
高校時代は真面目にイラストなんて描いた覚えが無いッス。
RPGツクール用にドットは打ちましたが…
本格的に描き始めたのは、このページ立ち上げたのと同時期ですので、専門学校時代からですよ~
だから中学とか高校くらいから描いてる人たちには軽く嫉妬しますよw

投稿者 緋色雪 : 18:12

赤さん1巻関係でのイベント~ (改定版)

December 08, 2006

コミック1巻表紙 アンソロジー表紙
明日から赤ずきんのコミック1巻が発売になりますが…アンソロ表紙も描いてます。

まずは販促用のペーパー
(単行本買うと書店によってついてくるおまけ紙)
ゲーマーズ・とらのあな・アニメイトの3社でつくっぽい。
絵柄はそれぞれ違うアコギぶり。
赤さん・グレ子・りんごの三枚になってます。

次にコミック発売を記念して
まんがの森で原画展示展らしいです。
まんがの森本店(高田馬場)で12/10~12/16まで。
(しかし…自分デジタル作画ですので、原画よりも下書きでも見てやってください)
サイン本も置いて頂ける予定ですが10日からっぽいです。
(自分のサインは自分でも読めません。いやマジで。)

それなりの部数すってもらえたようなのですが、
重版かかるようにいっぱい買ってやってくださいな~

投稿者 緋色雪 : 23:12

冬コミ当選したッス~2006

November 04, 2006

日曜日 東地区 “I”ブロック 01b  

だってさ。
受かっちゃった。修羅場は年明けまで続くんだなぁ~TT
今月分の原稿のあとにカラー表紙描く余裕あるんだろうか~

しかし、普段は東4とかなんだが…創作自体が移動喰らったか。
お誕生日席で文句言うのもあれですが
もう少し中央通りの方が良かったかも。
この場所、東1の入口のド正面ですわw
そのままスルーじゃないか~w
まあ大通りでもあるから、まだましかな。
買いに来ていただく方には便利ね。

今のうちに。
今回の本は例年出してたCG集みたいな感じでの
フルカラー本予定。予定ねw

投稿者 緋色雪 : 18:11

近況とか

October 04, 2006

20061004.jpg

■PSUは楽しいですよ~(猛省)
温泉入浴…はい、PSUです。
バーニングレンジャーOPがかかりっ放しですが、
仕事以外で絵描く気力も出ないので、ゲームに逃げてますw
そこまではやってませんけど、SHOPめぐり&転売を繰り返すのが最近のプレイスタイルです。
ワールド2で細々と杖専門店経営中。
店だけだと、仕事の合間に仕入れ作業とかしてもそこまで支障きたさないのがいいッスw
しかし…本日から明日の夜まで長期メンテ。結構在庫残ってた状態なので心配ですよ~
明日のメンテ後からは、晴れてパシリを連れまわせるようになるので楽しみ~
…まぁ、ペン入れの期間とかぶりますので…1日1時間出来ればいいかなと@

冬コミとかコミックの本文手入れとか色々と予定だけは「大きな扉」のように聳え立ってます。
「小さな鍵」は見当たりません。助けて~w

投稿者 緋色雪 : 14:10

最近のお仕事

August 31, 2006

おとぎ銃士赤ずきん 第4話巻中カラー

白銀のソレイユ応援イラスト

更新してませんね~
現在も第5話の下書きの最中ですので、そんなに余裕無いんですけど…

まぁ、最近のお仕事。
上は赤ずきん。今月号では巻中カラーやらせて頂いてますので、
カラーイラスト好きの方も楽しんで頂けると嬉しいです。もう出てますので書店へ急げ~w
下は…ちょくちょくお手伝いしているskyfishさんの白銀のソレイユの応援イラスト?みたいなものです。
俺ヴァルキリーだそうですよ。これも今出てるテックジャイアンに載ってます。大きい子供たち以外でも
一般誌だから見れるッス!
(中に載っているソフトは大きい子供向けですが…)

まぁこんなところです。年末までにコミック出せるように精進します。冬コミも受かってたら頑張りますw

投稿者 緋色雪 : 1:08

第五話『チザクラミッシツ』

July 21, 2006

 桜の枝を折ったのは私です。
         ジョージ・ワシントン
             (注・嘘です)

  ***

「こんなこっといいなっ。でっきたらいいなっ。あんなゆーめこんなゆーめいっぱーいあるーけどー」
 車内に響く上機嫌な目田探偵の歌声。
 いきなりこんな出だしなのは、つい先程『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』を二人で観て来たからである。
「みんなみんなみーんな、かーなえーてくーれる。ふーしぎなポッケでかーなえーてくーれーるー」
 これが路上ならこっ恥ずかしくて距離を取るのだが、ここは自家用車の中であるからその心配は無い。ただその反面、逃げ場が無いのが難点という事になるのだが。
「そーらをじゆうにー、とーびたーいなー」
 目田探偵がハンドルを握っているこの車は白のフィアット500。小さくて丸まったデザインの可愛らしいものだが、年代物なのでメンテナンスには非常に手間が掛かるらしい。
 さて、ここからが問題だ。
 順当に行けばこの先は『はいっ、タケコプター!』となるのだが、そう単純には行かないだろう。
 絶対にボケるに決まっている。
 さあ、何が来る?
 メジャーなどこでもドア?
 それともタイムマシン?
 似た効果のあるふわふわ薬?
 最強道具の一つと言われたウソ800?
 発禁になった分かいドライバー?
 捻り捻って旧名のヘリトンボ?
 さあ、どれだ!
「そんなこっといいなっ」
「リピートかよ!」
 あんたはワンフレーズを延々鼻歌するオバチャンか。しかも意外と歌が上手いし。
「きみがちゃんと合いの手を入れてくれない限り、私は延々延々繰り返し繰り返し、歌い続けるよ」
「嫌な脅し方をしないでください」
 そんな事をされてはたまらないとばかりに、僕は勝手に車のラジオのスイッチを入れた。流れてきたのはウインターソングの定番ならぬ、スプリングソングの定番となりつつある、『森山直太朗 さくら(独唱)』である。
「ところでこの車はどこに向かっているんですか? 事務所とは反対方向ですけど」
 年代物と言ってもまだまだ軽快に走り続ける目田探偵愛車のフィアット。主人の要求に健気に応える姿はどこか共感させられる。
「ちなみに私の車の趣味は『戯言シリーズ』の影響ではなく、『ルパン三世 カリオストロの城』からであると明言しておこう」
「いや、そんなのどうでもいいですから。どこに行くんですか?」
「今流れているラジオのように、桜を見に行くのさ」
「花見……ですか?」
 今は三月の上旬。まだ日本のどこも開花宣言をしていない。
「そう言えば、映画館から出る時に携帯電話を受けていたみたいですけれど」
「ご明察。事件が私を呼んでいるのさ」
「成程。そうですか」
 事件があるなら、名探偵はどこへでも掛け付けるという事だ。

  ***

 フィアットが辿り着いたのは河川敷に設けられた自然公園だった。桜が咲く頃にはここで大勢のお花見客で賑わうのだが、当然の事ながらまだそんな人間は居ない。
「おせえぞてめえら、今まで一体何していやがった?」
 数々の警察官と捜査員が辺り走り回っている中、出迎えてくれたのは一人の刑事。
「すまないね。ちょっと映画を観て来たもので。上映中はマナーを守らないとね」
「映画だあ? ったく、こっちは急を要するってのによ」
 ぞんざいな口調からは想像しづらいが、れっきとした女性である。背が高くて引き締まったボディライン。咥え煙草が妙に似合う、ハードボイルド的な雰囲気を漂わせるその女性は、無論美人さんである。
 目田探偵と古い付き合いで同い年と言うから、もしかしたら同窓生なのかもしれない。
 その名も女番(めつがい)刑事。
 何か武術を嗜んでいるらしく、その腕っ節の強さは巷の犯罪者を怯えさせ、武勇伝は枚挙に遑がない。まだ若い年齢だが、警察内部で一目置かれている存在だ。
 ちなみにヨーヨーは装備していない。
「いやー、面白かったよ。やっぱりいいね、ドラえもんは」
「何っ?」
 意外な程に強い反応を見せた女番刑事。
「お、おまえら……もう観て来たのか?」
「まあね。声優が代わっただの単なる焼き直しだの言われたけど、そんな事はどうでも良くなるくらいの感動だったね」
「くっ……」
 悔しそうに睨み付ける。
 と言うか、この人も見たかったのか?
 イメージから随分と掛け離れているが……。
「まあ。時間が取れた時に見に行けばいいじゃないか。春休みで混んではいるけどね」
「そりゃあ、そうしたいけどよ……」
「ああ。一人じゃ行けないか。女番さんにはそんな相手は居ないし、ましてや子供向き映画じゃ恥ずかしいもんねえ。だったら、美川里ちゃんでも誘ったら?」
「駄目だ。あいつに頼むと勝手に代わりに映画を見に行かれた上に、ストーリーをべらべらとしゃべられかねん。しかも正確な台詞回しと声真似でな」
 過去にそのような経験があったのだろうか、憎々しげに呟く。
「じゃあ、うちの助手を貸してあげよう」
「え?」
 静観していた僕は思わず声を上げた。
「年齢差はあるけど、それ程不自然なカップルでも無いだろう。彼の趣味に無理矢理付き合わされたという体裁を取れば、何の気兼ねも無く観に行けるよ」
「てことは、パンフやグッズも買えるか?」
 ちょっと待ってよ女番刑事。
「彼を使えばそれも可能だ」
「………」
 何だか真剣に検討している。
「あの、僕は一回観ているんですが」
「二回目には新たな発見があるものだよ」
 正論のように言われてしまう。
「仮にデートって形になんなら、費用は当然彼氏持ちってなるよな?」
「無論だね」
 いや、論じさせてください。
「それよりも早く現場を見なくていいんですか? 何だか急いでいたみたいですけれど」
 とにかく僕は話を進める事にした。
「そうだった。ったく、何無駄話をしてんだよ。さっさと来い」
「仕方無いな。行くぞ、安地君」
「はい」
 立ち入り禁止のロープをくぐり、現場である公園の奥へと足を踏み入れる。
 白髪に白いスーツにコートと靴という白尽くしの目田探偵の姿は、やはり目立つ。
 当然警察の人間にじろじろと見られるが、見咎められる事は無い。それもこれも目田探偵による様々な功績のお陰であろう。単なる助手に過ぎない僕でもこうして現場に出入り出来るのだから。
「絶っ対に、余計な真似はすんなよ」
「それ、私に言っているのかい?」
「他に誰が居るってんだ」
 女番刑事は先程の記述通りだが、忘れてならないのが目田探偵もモデル顔負けの容姿とスタイルだという事である。
 こうして二人が並んでやり取りをしているのを見ると、何だか宝塚の舞台を連想させられる。
「ここから先は足元に気を付けろよ」
 砂利道を抜けた先で言われたその言葉の意味はすぐに分かった。
 ここ数日の雨により地面の土が軟らかくなっている。軽く足を踏み入れただけでも、簡単に足跡がはっきりと残った。
「ほう、これは――」
 目田探偵が感心したような声を上げた。
 まだ花も付けていない一本の桜の樹。
 その前方に、一人の人間だったものの大半が、地面の上で仰向けになって倒れていた。
 大半――と表現したのは、身体の一部が欠けていたからだ。
 肩から上が、無い。
 首無し死体である。
 切断面をこちらに向けているので、その様子が良く分かった。
「――一足早く、満開じゃないか」
 その表現はあながち的外れなものではなかった。遺体を中心に地面と桜の樹には、首元から噴出したであろう大量の血液が撒き散らされた跡があったのだ。
「血桜ですか……」
「それだけじゃねえよ。地面の足跡を見ろ」

  川柵    ・・・・
  川柵  桜 ・
  川柵    ・
  川柵  桜 被・・・
  川柵
  川柵  桜
  川柵

 遺体から桜まではおよそ三m。『・』は足跡を指していて、切れた先は砂利道になっている。被害者から真っ直ぐに伸びたのは被害者自身のもので、遺体発見時にあった足跡はそれのみ。その横から回り込んでいるのは警察のものだ。遺体のある土から足跡の残らない砂利道までは最短で十五m。
 全長七、八m程の桜が等間隔に左右に並んでおり、その間はそれぞれ五m。樹は全部で三十本程あり、現場はそのちょうど中間地点。遺体から向かって左端の桜は川を渡る橋に面していて、その逆の右端の桜は駐車場に面している。
 桜から背後の川までは十m。桜から川までは下り坂のように傾斜しているが、その間には高さ一mの鉄柵が設けられている。左右どの桜の裏も同じだ。
「分かるな? 被害者と思われる足跡は行きの分の片道だけだ。発見された当時、見付かった足跡はそれだけなんだよ」
「それって、つまり――」
「密室だよ。明らかに殺人だってのに、犯人の足跡が見付かりやがらねえ」
 苦々しげに咥えた煙草を強く噛み締める。彼女はヘビースモーカーなのだが、現場である事を考慮してか火は点いていない。
「でなけりゃてめえらなんて呼ばねえよ」
「血桜密室か。面白い」
 目田探偵は不敵に微笑む。
「それで頭部は?」
「その川の下流一kmのところで釣り人が発見したよ。偶然釣り糸に引っ掛かったらしい。ありゃあトラウマになるぜ」
「リリースされなくて良かったね」
 脇から近付いて遺体を良く眺めていると、その右手に日本刀が握られているのが見えた。「こっちに運んであるかい?」
「ああ。厳重に保管してある」
「じゃあ持って来てよ。ついでに本人のものか確認したい」
「おい。そんな事をしなくても、後で遺体と共に鑑識に――」
「そんな手間掛けなくていいって。それに、すぐ終わるからさ」
「……大事に扱えよ」
 結局折れたのは女番刑事だった。
「それじゃ頼むよ。安地君」
「はい」
 警察の人から頭部を受け取り、それをじろじろと眺める。見たところ老齢の男性。頭はすっかり禿げ上がり、顔中に深いしわが刻まれている。川に流されたせいか所々が痛んでいて、だらしなく開いた口からは前歯が折れているのが見えた。
 確認しやすいように遺体を起き上がらせて桜の樹の幹に立て掛けて、頭部が合うかどうか確認する。
「えーっと、どうかな……?」
 既に現場検証が一通り行われていたらしいので、このような行為に及んでも誰も文句は言わなかった。
「あっ。ぴったりですよ」
 頭部を横回転させながら微調整すると、パズルのように切断面が揃った。これで遺体の胴体と頭部が同一人物であると証明された。
 ここで念の為に、世界の名誉の為に言っておく。
 このような所業を平気で行うのは世界観のせいだからではなく、僕の特異体質によるものなのだ。
 周囲を見渡せば、死体に慣れている筈の警察の人間でも、気味が悪そうに目を逸らしたり、不快そうに顔をしかめたり、吐き気を堪えたりしている。
「相変わらずだがよ……とんでもねえ奴だな、おまえも」
 女番刑事も露骨に嫌悪感を露にしながら僕に向けて言った。
「ただ何も感じないだけですよ。人の死体も、死んだ後も」
 勘違いしないで欲しいが、僕は人を殺すのも人に殺されるのも人に死なれるのも僕が死ぬのも嫌だ。だから決して、命を軽んじているのではない。
 でも、死んでしまった後は別だ。
 それはもう、既に何でもない。
 何でもないのだ。
 亡骸――無殻(なきがら)なのだから。
「そうやってくっ付けると生き返ったりしないかな? 切断面も綺麗だしね」
 それに比べてこの人は心底楽しんでいるよな。じゃなきゃ、とても名探偵には向かないだろうけど。
「ふむ。遺体の右手に握られている日本刀が凶器と見て間違い無さそうだ。これ、試し斬りして構わないかい?」
「駄目に決まってんだろ。調子に乗んな」
「残念」
 もしも了承を得られたら、何で試し斬りをするつもりだったんだろうか……?
「まあ、刃の潰れ具合からして強引な斬り方をしたのは分かるね。刀身自体はよく手入れされているから、元々は鋭い切れ味だったんだろう」
 そしてその鞘は、遺体のすぐ傍に投げ捨てられている。
「傷口と出血具合からして、生きたまま頭部の切断されたようだね」
「その通りだ」
 女番刑事が頷いて肯定する。
「被害者の名前は神田風助。年齢は七十八歳。身寄りは無く、ここから歩いて五分のアパートで一人暮らしをしている」
「それで、この日本刀は?」
「被害者の持ち物だ。どうやら元軍人だったらしくてな。無許可の代物だ。親しい人間にこっそり見せびらかしていたらしい。どうも生活に窮していたらしいが、それだけは手放さなかったようだ」
「軍人?」
「凄腕の零戦乗りだったと自負してしてたんだとよ。日本刀は軍人の魂ってとこか」
「ふーん。死亡推定時刻は?」
「今朝の午前四時四十五分から五時までの、およそ十五分の間だ」
「おや、随分と幅が狭められているね」
「四時四十五分にジョギングに来た人間が居て、その時には何の異常も無かったようだ。そして五時に犬の散歩来た人間がこれを発見して通報したんだ。ちなみに生きた被害者が最後に目撃されたのは夕べの八時。同じアパートの人間が挨拶をしている」
「早朝発見ね。だったらさっさと、私に連絡してくれればいいのに」
「したんだよ。でも、繋がらなかったんじゃねえか。おかげで遺体の搬入を待たせる羽目になったんだよ」
 朝一から映画を観に行ったのだ。
「まあ、早めに呼んだら呼んだで、現場を滅茶苦茶にされかねんからな」
 あの『ディア・フレンズ号』の時も、警察が来てからたっぷり絞られたのである。逮捕されなかっただけマシだが、あれで解決出来ていなかったらと思うと恐ろしい。
「彼らとの関係性は?」
「今のところ何も。あたしも直接証言を聞いたが、あの様子じゃ脈無しだったな」
「きみがそう言うなら、おそらくそうなんだろうね……おや?」
 遺体を調べていた目田探偵が何かに気付いたかのように声を上げた。
「左手付いた線状の跡……これは、刀の峰の跡じゃないのか?」
 言われて見てみると、確かに掌の真ん中を横切るように赤い跡が付いていた。
「ああ。どうしてだかは分からんがな」
「争った形跡も無いようだね」
「遺体の周りの足跡も、被害者のものだけだしな。大人しく首を切られたとは思えねえんだけどよ」
 被害者は老齢ながら体格は良く、腕力もそれなりにありそうである。更に元軍人だったというなら、大人しくやられたりはしないだろう。
 しばし遺体を眺めていた目田探偵だったが、今度は桜の樹の裏側へと向かった。
「こっちに何か異常は?」
「血の跡が樹から川に向けて一直線に点々と続いている。おそらく頭部が投げ込まれた際に付いたんだろう」
「それ以外は? 地面に足跡や、何かを引きずったり転がしたりしたような跡は?」
「いや、何も無い」
「遺体から砂利道まで血の跡は?」
「途中で切れている。いくら勢い良く噴出したとしても、精々数mってとこだ」
「公園にクレーンやブルドーザーなどの重機が運び込まれた形跡は無いだろうね?」
「ねえよ。あったら流石に気付くだろうが」
「そりゃそうだ」
 今度は桜の樹に興味を移したらしい。
「こっちは調べたかい?」
「ああ。だけど、血が飛び散っているくらいだぞ?」
「昇って上を調べた?」
「いや、そこまでは……」
「この枝の太さからして人が乗っても大丈夫そうだな。安地君」
「はい」
「ちょっと昇って調べてくれ」
「調べるって……何を?」
「枝に何か異常が無いかだよ」
 当たり前な事を聞くな、と言いたげだ。
「……分かりました」
 目田探偵が指定した枝は、遺体のあった場所のちょうど真上に位置していた。枝の先の高さは地上からおよそ四m。
「気を付けろよ」
 女番刑事に言われるまでも無い。連日の雨で樹の表面が湿っていている上に、ところどころに苔まで生えている。そして更には血の跡が残っているのだ。
「これ、踏み台にしていいですか?」
「……てめえ本気で言ってんのか?」
 怖い顔で睨まれた。
 仕方無いので遺体を避けながら幹の洞に足を掛けてよじ登る。四苦八苦して枝の上に移動すると、そこから腹ばいになるようにして枝の先端へと移動した。

 ――みしっ……。

 ゆっくりと中間地点まで調べながら進んだところで、枝の根元が嫌な音を立てた。
「戻っていいですか?」
「まだ調べ終わっていないじゃないか。ほら、さっさと進んで」
「………」
 と言うか、高い場所にある枝を調べたいなら梯子でも持って来ればいいじゃないかと、今更ながら考え付く。
「ったく、人使い荒いんだから……」
 ぶつくさ呟きながら僕は枝の上を進む。
 言われた通りに丹念に調べながら進むが、どこにも異常は無いように見える。桜はまだ蕾にすらなっていないようだ。
「……なんか、やばそうだな」
 枝の先に移動するに従って体重で位置が下がっていく。いつ折れても不思議ではない。
 バレンタインの悪夢が思い起こされる。
「もうちょいだ。その先の二股に分かれている部分を良く調べてくれ」
 こっちの事を知ってか知らずか、目田探偵は楽しそうに指示をする。いや、あれは絶対に分かってやっている。
「二股の部分って、あ――」
 僕はそこで、それを発見した。
「――うわあっ!」
 そして驚いた拍子に僕は枝から滑り落ちてしまった。枝を掴み直す事も出来ず、真っ逆さまに――。
「っと、危ねえ」
 地面への激突を救ってくれたのは目田探偵ではなく、女番刑事だった。両手を前に伸ばして僕の身体を力強く受け止めてくれたのだ。
「気を付けろって言ったじゃねえかよ」
「す、すみません」
「はっはっは」
 何がおかしい、目田探偵。少しは彼女の男らしさを見習ったらどうなんだ。
「ほれ、さっさと降りろ」
「あ、はい」
 流石に鍛え上げられた肉体ゆえか、僕一人を受け止めても平然としている。

 ――ぐにっ。

 鍛え上げられたと言っても、肉体の一部は柔らかい場所が存在する。
 僕がつい右手で握ってしまった場所もその一つだ。
「……っ!」
 それは僕が今まで見た事の無いような種類の動揺だった。怒りと羞恥が混じったような、複雑な女番刑事の表情――。

 ――べぎっ!

「ぎゃああぁぁ……」
 背骨を膝に叩き付けるシュミット流バックブリーカーを食らった僕は、そのまま無様に地面を転げ回る羽目になってしまった。恐らくあのまま落下した時よりもダメージが大きいだろう。
「はっはっは」
 だから笑うな、目田探偵。
「ふん。このエロガキが」
 完全に不可抗力だったのだが、どんな言い訳も聞く耳持ってくれないだろう。ここは耐えるしかない。
「それで、どうだったんだい?」
「はい。想像通りにボリュームがあって、掌に収まらないくらいの釣鐘型――」
 鳩尾へのサッカーボールキック。けしからん乳の持ち主による、容赦の無い突っ込みであった。因果応報。
「おいおい、違うだろ。枝の先に何か痕跡があったんだろ?」
 わざと曖昧な聞き方をしてネタを振ったくせに、いけしゃあしゃあと言ってのける。
「……二股の部分に、歯型と……歯が、刺さっていました」
 息も絶え絶えに呟きながら枝を見上げるが、下からでは分からなかった。おそらくあれは前歯の部分だったと思う。
「歯……だって?」
 女番刑事が攻撃を止めて訝しげに呟いた。「それと、人一人が乗って落ちたのに折れない程の枝の柔軟性。これでこの事件の真相が分かったよ」
 目田探偵は確信を込めて頷いた。
「色々と強引な解釈は付きそうだが……いかんせん、十五分という時間的制約がある。どれだけ仕掛けをしていたとしても、人一人を殺害してあーだこーだするのは難しい」
「じゃあ、どうしたっていうんだ?」
「結論から言おう。これは殺人ではない。だから、密室でも何でもないんだ」
 その言葉に僕と女番刑事は顔を見合わせた。
「具体的な流れを簡単に説明しよう。まず彼は日本刀を携えてこの公園へとやって来た。そしてこの樹を選んで自ら首を刎ねた。そしてそのまま首は川へ落ちたという訳さ」
「簡単過ぎますよ。訳が分かりません」
「鈍いなあ。日本刀の刃を首の後ろに当てて、柄と峰の両方を手で勢い良く押し付ければ首が刎ねられるだろう? それだとあの左の掌に付いた跡の説明が付く」
「そんな事……出来るんですか?」
「出来るんだよ。その際、高い位置にある樹の枝を口で咥えておくんだ。全体重を掛けてぎりぎりまで下まで引っ張っておく」
「それでどうなるんです?」
「切断後、首はそのまま枝の反作用によってバネ仕掛けのように持ち上げられる」
「そして慣性の法則で、川まで飛んで行ったんですか?」
「その通り。歯は枝に刺さって残り、樹の裏の血痕はその際に付いたものだよ」
 放物線を描く生首が頭に浮かんだ。
「マジかよ……」
 女番刑事は理解し難いと言った様子で頭を抱えている。
「なあ。自分で首を刎ねる……までは百歩譲って良しとしよう。でもなんで、枝に噛み付いてまで川に飛ばさなきゃならねえんだ?」
「目的は川に落ちる事じゃない。凄腕の零戦乗りだったのなら、空で死にたいと思っても不思議じゃないだろう?」
「空でって、首を刎ねたら――」
「刎ねた瞬間は死なない。ほんの数瞬なら生きている」
 何でも昔、ギロチン全盛期には首を刎ねられた後も言葉に反応して数回瞬きをした囚人が居たらしい。眉唾物の話だが、百%嘘だとも言い切れない。
「歯に自信があったんだろうね。年齢の割には入れ歯じゃないし。もしかしたら意識的に、枝から離れる際に口を開けたのかもしれないね。じゃないと、下手したら百舌の早贄状態になるし」
 首だけの状態でそこまで出来るかと訝しげに思ったが、現に口は開けられた状態であった。歯が折れる程喰いしばったまま絶命したのなら、死後硬直でそのまま口は閉ざされていた筈である。
「どう見ても自殺です。本当にありがとうございました」
 いつもとは違うパターンの決め台詞だ。
「生憎と自殺の理由までは分からないよ。その辺は警察で調べてくれ」
「あ、ああ……」
 女番刑事はまだ納得しかねる様子だったが、上手い反論が思い付かなかったようだ。おそらく最終的に警察も自殺と断定するだろう。
「でも、空で死にたいなら他にもっと楽な方法があったんじゃないでしょうか?」
「例えば?」
「その……ビルの屋上から落ちるとか」
「きみはビルの屋上から下を見て、そこを空だと思うのかい?」
「……思いませんね」
「それに、死ぬのは地面に叩き付けられてからだ。結局地面で死ぬのと変わりないよ」
「空で、散りたかったんですね」
「それが一瞬だけだとしてもね」
 首だけの姿になっても、その瞳に空は映っていたのだろうか?
 僕には分からない。
「生半可では無い、執念のようなものを感じるよ。ここは死者に冥福の祈りを込めて歌を捧げよう」
 目田探偵は考え深げに呟くと、おもむろに歌い出した。
「そーらをじゆうにー、とーびたーいなー」
「はいっ。くびチョンパー!」
 二人して女番刑事に思いっ切り殴られたのは、言うまでも無い。

   ***

 これは余談になるが。
「ううっ……ピー助ぇ……」
 上映後。
 女番刑事が感極まって号泣している姿を隣で目撃してしまったのは、ここだけの秘密だ。

投稿者 緋色雪 : 12:07

第四話『豪華客船ディア・フレンズ号の悲劇』

「よっ、アンちゃん。いいところに来たな」
 いつものように目田探偵事務所に訪れると、応接スペースに居た女性が僕に挨拶をした。
「あっ、えっと……」
「美川里や。いやー、こないだはおもろいもん見せてもろたわ」
 そう言ってニカっと笑う。陽気な性格なのか、笑顔がとても似合っている。
「安地君。ぼーっと突っ立っていないでお茶でも淹れたまえ」
 テーブルを挟んで向かいに座っていた目田探偵が僕に命令した。こちらはやや冷笑気味なので、見ていて腹立たしい。
「分かりましたよ。目田さんはいつもの牛乳でいいですね。美川里さんは?」
「『さん』やのうて『ちゃん』と呼びや。そんな他人行儀にならんでええで」
「……美川里ちゃんは何にしますか?」
「よろしい。うちは緑茶な」
 年上かと思われる女性に対して『ちゃん』付けなど気後れしてしまうが、本人の希望ならば致し方ない。
 僕は三人分の飲み物をテーブルに並べて、目田探偵の隣の椅子に座った。
「あの、一つ聞いていいですか?」
「何や?」
「美川里ちゃんの、その職業って――」
「ああ、『代替屋』の事かいな」
「それってどういう仕事なんですか?」
「その名の通りや。代理、代役、代任、代務、代弁、代筆、代打、代走、代わりに出来る事なら何でもござれや」
 ……最後の二つは野球じゃないのか?
「目田やんが『名探偵(デイティクティブ)』なら、うちは『代替屋(オルタナティブ)』ってとこやな」
「特に彼女の変装術は見事でね。きみも身をもって味わったろ?」
「ええ、まあ……」
 あの悪夢が脳裏を過ぎる。
「今回は残念な事に顔見せ程度やけれど、何やったら次回から主役の座を代わってやってもええで」
 目田探偵に向けての挑発的な言葉。
「いや、それにはおよばないよ」
「遠慮すなって」
「きみには荷が重過ぎるだけさ」
「言うやないか」
 互いに不敵な笑みを浮かべる二人。
「それにしても、お二人は随分と親しそうですね。古い付き合いなんですか?」
 そこで話題を変えるべく僕が口を挟んだ。
「まーねー。小さい時からの幼馴染っちゅーか、腐れ縁やね」
「同じ学び舎で机を並べた間柄さ」
 という事は、目田探偵と同い年か。それにしては若く見える。
「さて、これで今週のお題をクリアしたところで本題や」
 そう言うと美川里ちゃんは、懐から二枚の紙切れを取り出してテーブルの上に置いた。
「これは何だい? 見たところパーティの招待状のようだけれど」
「おまえも名探偵なら推理せえや」
「これは明後日に処女航海に出る豪華客船、『ディア・フレンズ号』のチケットだね。一等船室という中々高価なものだけれど、こうして私達のところに持って来たという事は、代わりに出て欲しいというところかな?」
「正解や。貰ったはええけど、相手もおらんのに二人部屋のペアチケットやで?」
「断ったらいいじゃないか」
「アホ。それが出来たら苦労せえへん。生憎
うちは当日にどうしても外せん仕事があってな。どっちにしろ行けへんのや」
「どちらも仕事上の付き合いか」
「そうや。だから代わりに御高名な目田探偵に出席してもらいたいんや。それやったらうちの顔も潰れへんしな」
「明後日ねえ……急な話だけど」
「クルージングはほんの三日や。ちょっと笑顔振り撒いてくるだけで、ただで飲み食いと寝泊りが出来るんやで? それにこの間仕事手伝ってやったやないか」
「……よし、いいだろう。たまには旅行に出て気晴らしをするのもいいかもね。代替屋の代わりをするというのも悪くない」
「話が早くて助かるわ。折角だから楽しんで来てや、二人共」
「うむ。安地君。人前に出られるような服はあるかい?」
「いや、それが……」
「仕方ないなあ。私が用意してあげるよ」
「すみません」
 あれ?
 いつの間にか、僕も出席させられている。

  ***

 航海二日目の夕刻。
 こうして、ちゃんとした場所でちゃんとした恰好でちゃんとした態度を取っていると、ちゃんとした人間に見えるから不思議である。
「――先日まで行われたサイレントの凶行。あれは只の快楽殺人だと捉えていられる方も居られるでしょうが、実は犯人にしか理解出来ない驚くべき動機があったのです」
 真っ白な正装で身を包んだ目田探偵は、周囲の客達を相手にグラスを傾けながら話題に花を咲かせていた。名探偵という肩書きが珍しいのか、男女問わず集まって来ている。
「お飲み物はいかがですか?」
「あ、いや。結構です」
 それに比べて僕はどうにも気後れしてしまって、ウエイターの青年を相手に満足に対応する事もままならない状況だ。目田探偵から少し離れた場所で、一人黙々と食事に専念している。
 船の中に設けられた広間には、金の掛けられた豪華な調度品で彩られている。パーティ会場の中央には火の点いたキャンドルでライトアップされた巨大な氷の人魚像。更に壁面をずらっと囲むように、浮き輪や水中銃に羅針盤や海図等、海に関したものが数多く展示されている。
 そして招待された数多くの人間。
 しかもこの処女航海に呼ばれるという事はそれなりの地位の人間であるという事なので、僕自身場違いな感じがして仕方が無い。
「――さて、お集まりの皆さん」
 その声に客達が一斉に視線を向ける。
 会場前方の壇上に立つ一人の初老の男性がマイクを使って話し掛けていた。
「本日は我らが誇る『ディア・フレンズ号』にお越し頂き、まことに有難うございます。この記念すべき処女航海を、どうぞごゆっくりとお楽しみ下さい」
 一斉に拍手が注がれる。
 この船のオーナーである海運会社の会長の海原氏である。六十近い年齢だろうか、髪はすっかり禿げ上がっていて胡麻塩頭が浮き出ている。
「ま、どうでもいいけどね」
 興味の無い僕は料理皿を吟味することの方が大切だ。和洋中と取り揃えてあるものから出来るだけ多くの味を楽しみたいので、油っこいものは控えた方が良いだろう。
 とにかく昨日から今日に掛けて、目田探偵に色々と振り回されて疲れた。
 この船はショッピングモールやシアターなどの遊戯施設などが充実しているので、遊ぶ場所には事欠かない。
 それらを散々と付き合わされて回った挙句、部屋も一緒なので気の休まる時間が一時たりとも無かった。正直、今こうして食事している時間が一番ほっとしている。
「――今日は三月三日。ひな祭りという事で、お客様の中には甘酒を召し上がっている方も居られるでしょう」
 あの海原会長の話が続いている。
 その言葉通り、目田探偵は甘酒ばかりを好んで飲んでいるようだ。
「それにちなんで……と言う訳でもないのですが。実はこの度、我が娘のマリンが婚約をする事になりました」
 どよめく場内。どうもこの人達にとってはニュースな出来事らしい。
「お恥ずかしい事ながら、私自身にもその相手がどなたなのか分かりません。今日のこの場で、娘の口から直に聞きたいと思います。さあ、こっちに――」

 ――暗転。

 辺りが俄かに騒然となる。
 僕はこれが演出の一部では無いかと考えたが、この慌しさからしてすぐにそうでは無いと悟った。でなければ船員が大声で連絡を取り合ったりはしない。
 時間にして十秒といったところだろうか。
 非常電源にでも切り替わったのか、電灯が再び点滅し始めた。
「――うあああぁぁぁっ!」
 男の悲鳴。
 パーティ会場のとある空間で、何事かが起きたようだ。
「ちょっと退いて下さい」
 人垣が出来つつある中、僕はそちらに向かってその空間の中に足を踏み入れた。
「これは――」
 赤いドレスを身に纏った金髪の女性が、床に縫い付けられるように仰向けになって横たわっていた。年の頃は二十歳前後だろうか、とても美しい容姿をしている。
 縫い付けられると表現したのは、その胸元に深々と銛――シャフトが突き刺さっていたからである。あれには見覚えがある。展示品の一つの、水中銃のものだ。
「あ、あ……」
 そのすぐ傍では、先程会ったウエイターが腰を抜かしたように床に座り込んでいた。どうやら彼が悲鳴の主らしい。がたがたと震えながら女性を凝視している。
「な、何という事だ……」
 慌てた様子で現れた海原会長の嘆く声が聞こえた。どうやらこの女性があの人の娘――マリンだったらしい。
 僕は前に出て女性に近付いた。
「ちょっと下がって下さい。誰か、この人をお願いします」
「わ、分かりました。椎野。しっかりしろ」
「………」
 他の船員に頼んでウエイターをどこかへと連れて行ってもらう。
 そして女性の生死を確認する。
 呼吸――停止。
 脈拍――停止。
 瞳孔――反応無し。
 念の為に鳩尾にサッカーボールキック。
「よしっ。ちゃんと死んでる」
 郭海皇でもない限り、ここから蘇生する事は無いだろう。
「さて、目田さんは……」
 この状況になってもまだ姿を現さないのはおかしい。あの人ならイの一番に駆けつける筈なのに。
 周りを見渡すと、客達は皆一様に異形なものを見るような瞳をこちらに向けている。無理も無い。殺人が行われたのだから。
「えっへへへ~。不~二子ちゃぁ~ん」
 ……見付けた。
 ほんのちょっと眼を離しているうちに、すっかり出来上がってしまったらしい。女性客に対して執拗に絡んでいた。
「何やってんですか! 事件ですよ!」
「えー?」
 心底不満そうな顔をするな。
「こっちですよ! ほら、しゃきっとして下さいよ!」
「やだよー。もっと飲むんだー」
 袖を引っ張って無理矢理遺体のところまで連れて来る。
「シャフトで胸元を一突きですね。おそらく即死だったでしょう」
「んん~……」
 目田探偵は焦点の定まらない視点で遺体を睨み付ける。
「ねえ、安地君」
「何か分かりましたか?」
「推理したら負けだと思ってる」
「アイデンティティーを崩壊させてどうするんですか! 真面目にやって下さい!」
 この酔っ払いが。大体、飲んでいたのは殆ど甘酒だったろうに。
「それで、凶器の片割れは?」
「あ、そう言えば――」
 うっかり失念していた。遺体の傍には水中銃の本体は無い。普通ならば、ラインと呼ばれる紐で繋がれているものなのだが。
「ここですよ。目田探偵」
 すると、一人の男性が水中銃を手にしながら前に出て来た。
「ん? あなた、どこかで会いましたね」
「先程目田探偵のお話を興味深く聞かせて頂いた者の一人です」
 そのスーツ姿の男性は二十代後半くらいだろう。どことなく自信に満ち溢れた雰囲気で、精悍な顔付きをしている。
「申し遅れました。わたしは、マリンスポーツビジネスのコンサルタントを職業としている潮崎と申します」
「あ、そうですか」
 相手には特に興味を持たずに水中銃を受け取る目田探偵。指紋の問題ならその時には既に目田探偵は白い絹手袋を嵌めていたし、相手も充分な知識があるのかハンカチ越しでそれを扱っていた。
「これ、どこにありました?」
 全長150cmはある大きな水中銃である。重量だけでもそれなりにあるのだろう。
「そこのテーブルの上です」
 潮崎は洋食のメニューが置かれたテーブルを指差す。そこに綺麗に並べられた色とりどりの料理を見ると、こんな状況でも食欲を刺激される。
「あなたもそこに?」
「ええ。ですから気付いたのです」
「水中銃には詳しいですか?」
「まあ、商売柄それなりに」
「これ、発射された形跡ありますか?」
「どうですかね……詳しくスリングを調べてみない事には何とも言えませんね」
「そうですか。ちなみに、この女性とはお知り合いですか?」
「仕事上、海原会長にはお世話になっているもので。マリンさんともそれなりには」
「それで、貴方が婚約者ですか?」
「違いますよ。そうであったのなら、光栄なんですがね」
 さらりと答える潮崎。
「そうですか。ふむ……」
 目田探偵は未だショックの覚めやらぬ海原会長に向き直った。
「海原会長。お話を聞いてもよろしいですか?」
 すると、目の前を立ち塞がるように一人の男性が前に出た。
「誰だきみは? 会長は今、話が出来るような状態ではない!」
 色白で線の細い、眼鏡を掛けた神経質そうな男だった。年齢は三十前後だろう
「凪間さん。こちらは有名な名探偵なのですよ。今はこの人の指示に従うのが得策だと思いますがね」
 その間に入ったのが潮崎だった。
「名探偵……?」
「どうもー」
 怪訝そうな相手に笑顔で手を振る目田探偵。「あなた、会長さんの部下ですか?」
「ああ。会長直属のな。今回のパーティの段取りは全て私が決めたものだ。それがどうした?」
「ならば、マリンさんの婚約者というのはあなたですか?」
「違う。だが――」
 顔を赤くして俯く凪間。
「好意は、持たれていたんですね」
「………」
 その様子からして、被害者に少なからず感情を抱いていたようだ。
「誰か他に心当たりは有りますか?」
「……波丘の奴、じゃないのか?」
 そう言って凪間が目を向ける。
 その先では、Tシャツとジーパン姿の巨漢の男がテーブルの料理を平らげているところだった。
「ん? 俺に何か用か?」
 その顔は僕でも見覚えがある。ヨットで世界中の海を旅している姿をドキュメンタリー番組で見た事があった。真っ黒に日焼けした鍛え上げられた肉体に、口元の無精髭がワイルドさを醸し出している。年齢が分かりづらく、二十代にも四十代にも見える。
「貴様! こんな時によく飯など食っていられるな!?」
「食える時に食っとかなきゃな。でなきゃ、これから先何があるか分からん」
「この……!」
「まあまあ、落ち着いて」
 激昂する凪間を潮崎が押し留める。
「波丘さん。あなたがマリンさんの婚約者ですか?」
「まさか。そりゃ、何度か付き合わされた事はあるけどよ。知っての通り俺は殆ど海の上に居るんだ。ワガママお嬢さんの相手ばっかしてらんねーのさ」
「口を慎め! 貴様は自分の立場が分かっているのか! スポンサーである我々が居なければ、貴様など陸に上がった魚に過ぎん!」
「陸に上がった魚の力がどんなものか、見せてやろうか?」
 食いかけのチキンを吐き出し、指を鳴らして威圧する波丘。
「二人共やめて下さい。マリンさんが亡くなったばかりなんですよ?」
「………」
「………」
 潮崎が一触即発の雰囲気をどうにか抑えてくれた。どうやら三人の中では彼が一番しっかりした性格のようだ。
「海原会長。あなたは誰が婚約者だと思いますか?」
 黙り込んだ隙に目田探偵が質問をした。
「……儂は」
 ゆっくりと、独り言のように海原会長は小声で呟く。
「儂にとっては、潮崎君が理想だった。何度かそう差し向けたりもしたが……結局はマリンが決める事だ。今となっては、三人のうち誰かは分からん……」
 力なく頭を振る。
「他に候補者は居ないんですね?」
「ああ……思い当たらんよ」
「そうですか」
 そして黙考する目田探偵。
 これで主要登場人物は揃ったと言えるだろう。おそらく犯人はこの中に居る誰かだ。
 警察に無線連絡をした船員の報告によると、ヘリコプターを飛ばしたとしても到着までに三時間は掛かるらしい。
「目田さん。どうしますか?」
「………」
「目田さん?」
「………」
「起きろ!」
「……寝てないって」
 じゃあ、そのヨダレは何だ。
「折角、王道ミステリっぽい展開になってきたんですから。しゃきっとして下さいよ」
「分かったよ……停電の方は、何か分かったかい?」
「ええ。先程調べてもらいましたが、配電盤に細工が施されていました。リモコン式のものです」
「つまり、計画的犯行だね」
 ここで事件当時の会場での登場人物の位置関係を把握しておこう。

 ┌─────────────┐
 │    波マ       │
 │         潮   │
 │海          目 │
 │             │
 │      凪     安│
 └─────────────┘

 部屋の広さは縦40m。横20m。
 潮崎、凪間、波丘の三人はほぼ正三角形の位置に居た。それぞれの辺がおよそ15m。会場前方には海原会長が居て、被害者のマリンは波丘と一緒のテーブルに居た。
 問題の凶器となった水中銃は凪間のすぐ近くの壁に展示されてあって、シャフトもそこにあった。そして停電後にはシャフトがマリンの胸に突き刺さり、水中銃は潮崎のすぐ近くのテーブルの上に置かれていた。
 そして僕らは会場の後方に居たという訳だ。
 これらの情報は関係者以外の複数の証言によって証明されている。これで間違い無いと言えるだろう。
「これ……誰にも犯行が不可能のような気がしますが」
 簡単な見取り図を書いた紙を睨みながら僕は呟いた。
 停電の時間は十秒。
 仮に、停電後に移動した水中銃の一番近くに居た潮崎が犯人だとする。だが彼では、凶器を取りに行って帰って来るだけでも至難の業だと思われる。
 ならば水中銃の一番近くに居た凪間かと思うが、それも難しい。どのみち最終的には水中銃は潮崎のところに行くので、同じ理由で彼も犯行は難しい。
 そして波丘に至っては移動距離が単純に二倍になる。水中銃を取って戻って、置いて戻って。三人の中で一番体力がありそうだが、流石に無理があるだろう。
 これらを踏まえると海原会長など論外だ。
 しかも犯行時は暗闇。キャンドルなどの僅かな明かりはあったが、離れた位置から狙撃するには暗視ゴーグルでも無い限り不可能だ。第一他の客に当たるだろう。
 ちなみに持ち物検査や室内に怪しい物が無いかと調べたが、どこにもリモコンらしきものが無かったし、水中銃がもう一丁見付かるような事もなかった。
「水中銃の射程距離が知りたいね。試しに撃ってみようか」
 唐突に目田探偵がとんでもない事を言い出した。
「撃ってみよう……って言っても、シャフトはあれ一本しかないんですよ?」
 遺体は既にどこからか持って来たシーツが上に掛けられていた。いつまでも人目に晒したくないという配慮だろうが、テント状に突き出たシャフトの形状は隠し切れない。
「待って下さい」
 口を挟んできたのは潮崎だった。
「わざわざ試さなくても分かります。この水中銃のタイプからして射程距離は形状の三倍。およそ4.5mだと推測されます」
「推測じゃ駄目ですよ。実際にこの目で確かめないとね。安地君。取って来て」
「いいんですか?」
「私が許す」
 目田探偵に命じられた僕は遺体に近付いてシーツを外した。
「よっと」
 シャフトを片手で掴んで力を込めて引っ張り上げる。遺体が浮き上がるので、もう片方の手を使って床に押さえ付ける。
「……あれ? 抜けない」
 そうか。シャフトの先には鉤状の部分がある。どうやらそれが肋骨辺りに引っ掛かっているらしい。
「面倒臭いな、もう」
 ぐりぐりと円を描くようにシャフトを引っ張る。絡み付いた肉がひび割れるように裂けて、どうにか引き抜く事に成功した。
「良かった。血で汚れなくて」
 多少の血飛沫が飛び散ったが、時間が経っているので大して噴出す事は無かった。シーツでシャフトに付いた血を拭い、僕は目田探偵のところに持って行った。
「はい。どうぞ」
 この作業を見ていて客のうち何人かが気絶したらしい。海原会長なんかはショック死していなければいいが。
「ご苦労。さて、潮崎さん。これはどうやってセットするんですか?」
「えっ? ああ……」
 唖然とした様子の潮崎はすぐ言われた通りに水中銃にシャフトをセットさせた。
「……あとは引き金を引くだけです。気を付けて下さいよ」
「分かってますよ」
 本当だろうか? まだ酔いは冷め切っていないだろうに。
「そこ、退いて下さい。危ないですよー」
 銃口を向けた先の人間が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「ちょっと目田さん! どこに向けて撃つつもりですか!」
「何ならきみの頭の上に林檎を載せてウイリアム・テルでもするかい?」
「真っ平御免です」
 僕はそう言って安全な場所に移動する。
「もうちょっと近くかなー。そりゃっ」
 的から4.5mの位置から、スリングによってシャフトが勢い良く弾き出される。
 向かった先は氷の人魚像。

 ――ガスッ!

 見事胸元に突き刺さった。
「うーん……」
 だが目田探偵は不満そうである。
「どうしたんです?」
「刺さりが浅いね。もっと近付かないと、あの遺体のようにはならないよ」
 氷に刺さったシャフトは簡単に抜く事が出来た。人間より氷の強度が上だと考慮しても、これでは威力不足だろう。
「という事は、至近距離から発射されたんですね。暗闇の中ですし、それが当然だと思いますが」
「………」
 目田探偵は何も答えずに水中銃を勢い良く放り投げた。
 天井まで虚空を描き、そのまま落下する。
 水中銃はテーブルの料理皿に激突して、そのままバウンドして床に落ちた。器やグラスを巻き込んでの大損害である。
「やっぱりね。これで分かったよ」
 満足そうに頷いている。
「おいおいおまえ達! さっきから一体何をやっているんだ! 名探偵だかなんだか知らんが、これ以上勝手な事は許さんぞ!」
 激昂した様子で凪間が声を荒げる。
「いいじゃねーの。何だか知らねえけど、面白そうだしよ」
 それとは対照的に楽しそうに食事を続けている波丘。その限り無い食欲は見習いたいくらいだ。
「目田さん。何か分かったのなら我々に説明してはいただけませんか? 他のお客様達も、いつまでもここに閉じ込められているのも限界です」
 潮崎の言葉通り、中には疲労で座り込んでいる人も少なくない。
「分かりました。それでは、事件の真相をお話しましょう」
 さあ、解決編の始まりだ。
「マリンさんを殺害したのは――」
 目田探偵はゆっくりと、順番に指を差した。
「潮崎。凪間。波丘の、三人だ」
 ざわめく場内。
 だが、当の三人に至っては涼しい顔をしていた。
「なぜ、そう思われるのですか?」
 代表して潮崎が尋ねる。
「一人一人、では不可能なら、共犯者が居ればいい。事件当時の具体的な動きはこうだ。停電後、凪間が水中銃を取って走り出す。同時にスタートした残りの二人はそれを受け取り、全員が元の位置に戻る。潮崎は水中銃。波丘はシャフトを持って」
「シャフトは水中銃から発射されたんじゃないんですか?」
「それが大きな間違いだ。あれは発射されたものではなく、直接手で持って突き刺したものだ。力に自信のある波丘なら可能だ」
「そしてわたしが、水中銃を受け取ってテーブルに置いたと?」
「その通り。どこからか投げたのかとも考えたが、それならばテーブルの上の料理が無事である筈が無い」
「成程。ですが、一つ問題があります。我々三人が結託したとして、どうやって凶器を受け取るんですか? 停電中では相手の確認も困難ですよ」
「あんた達の真ん中にあったものは何だ? 見ろ。あそこに停電中でも明かりが点いたままのものがあるだろう。そこに向かって走ればいい」
「人魚像のキャンドル……ですか。お見事ですよ。目田探偵」
 そして潮崎は懐から携帯電話を取り出した。
「これがリモコンです。停電を起こしたのはわたし。計画を提案したのもわたしで、首謀者です。他の二人はそれに従っただけです」
「潮崎さん!」
「潮崎!」
 凪野と波丘が叫ぶ。
「何を言ってるんですか! 元々の原因は私にあります! それに舞台を作ったのも私なんですから!」
「違う! 殺したのは俺だ! この手で直接な! だから罪は全て俺にある!」
 あれ程仲が悪かったように見えたのに、今は三人共かばいあっている。
「それで、動機は?」
 目田探偵が冷ややかに問い掛けた。
「わたし達は……幼馴染でした。二十数年、例え離れ離れになっても、心は一つでした」
 潮崎がとつとつと語り出す。
「その中に一人の女性が入り込みました。そう、マリンさんです。彼女は我々の仲を知っていながら、それを掻き乱すように振り回してくれたのです。凪野の心を知っていながらそれを嘲笑い、それに挑発するように波丘に言い寄り、更には父親を使って遠回しにわたしを弄ぶ始末だ!」
「だから殺したのか」
「ええ。でも、彼女が婚約発表なんて馬鹿な真似をしなければ我々も強硬手段に出る事は無かった。寸前で思い止まってくれればと祈っていたんですがね」
「それで結局、誰が婚約者なんです?」
「知りませんよ。知りたくも無い」
 吐き捨てるように言う。
「性質の悪い事に、少なからずわたしや波丘も彼女に好意を抱いてしまっていたのですよ。あんな性悪のどこが良かったんだが……でも、殺したのを後悔していませんよ」
「潮崎。それは、私も同じだ。熱で浮かされていたような気分だったが、今はすっきりしている」
「そりゃ良かったな! なんたって俺達は、友情を誓い合った三人組だからな!」
 笑い合う三人。
 何故かほんの少し、羨ましいとさえ思える光景だった。
「どう見ても犯人です。本当にありが……うえっぷ」
 まずい。限界が来たようだ。
「目田さん!」
「うう……頭使ったせいで、気持ち悪い」
 倒れそうなところで肩を貸す。
「部屋に戻りましょう。ここはもう任せても大丈夫ですよ」
 船員の人達が集まって犯人達を囲んでいる。抵抗する素振りは無いが、警察が来るまで念には念を入れておかなければならない。
「ああ、もう。酔い覚ましにアレやろう。タイタニック。海に浮かべた板の上で、二人で突き落とし合うんだ」
「それ、シーンと解釈が違います」
 ぐったりとしているので、一人で運ぶにはつらいものがある。
「大丈夫ですか? お部屋までお手伝いしますよ」
 するとありがたい事に、あのウエイターの青年が手を貸してくれた。反対側から目田探偵の肩を持ってもらう。
「その……ありがとうございました」
 三人で廊下を歩いていると、青年がぽつりとお礼の言葉を言った。
「自分はマリンちゃんの傍に居たのに、彼女を守る事も出来なかった。殺されてしまってからは、腰を抜かすだけで、何も出来なかった……」
「そんな――」
 言い掛けて僕は、ふと疑問に思った。
「あの……椎野さんと言いましたよね。貴方は被害者と知り合いだったんですか?」
「はい。実は僕達、幼馴染だったんです」
「貴方達も!?」
「ええ。今日の婚約発表の時、何か僕に重要な話があると聞いていたんですが……結局、分からず終いです。それにしても、誰が婚約者だったんでしょうか?」
「………」
 寝た振りをするな、目田探偵。

投稿者 緋色雪 : 12:07

生存表明というか雑記

灰と隣り合わせの青春などではないのですが、生きております。
日記すら一ヶ月ぶりなのがちょっと申し訳無いです。
反省は…謹んでしておきます。
WEB拍手もしっかり確認しております。
ログ流れちゃって返答できない場合が多いのですが、メッセージは届いております。
ほんと励ましなど、すげー心にダイレクトアタックかましやがります。感謝!

…で、最近(連載開始してから)の基本スケジュール
マンガ原稿が8割で、あと2割で他の仕事(イラストとか背景)も挟んだり、遊んだりといったところです。
まぁ、もっと精進すれば更に色々出来るかなぁ~とかも思ったり。
機会があれば小説の挿絵とかもやってみたいですね(ジュブナイル系ラノベとか…)

今月分の原稿を提出してからの時間で、ようやく…ほんとにようやく
涼宮ハルヒシリーズの本を読み終えました。(憂鬱~憤慨まで)
アニメをたのしく見てたので、ネタばれ防止で全然手を出せなかったんですが…アニメも無事終了。
やっとの事で読める状況は出来ても、マンガの締め切りが
原稿執筆と寝る事以外は許してくれなかったもので~えへへ~
消失の長門(普段の長門もですが)と鶴屋さんが好きです。あとは新川&森の機関組。
WRC並みのドラテク…かっこ良いぜ新川!!
コミケでは多そうだとか思いつつ、ペーパー作りたくなってたりします…が、
カラー仕事とかの予定を考慮すると無理。ほんと何も期待にこたえられないで申し訳無いです。
冬もどうなる事やら…(苦笑)

あ~アニメ版赤ずきんですが、グレーテルかわいいッス。マ・ケ・テ・ラ・ン・ネ…
9月中旬くらいまではバタバタしててあんまり目立った更新は出来なさそうですが、
空いた時間で何かかけるように頑張ります~

投稿者 緋色雪 : 1:07

第三話『連続静寂犯』

June 20, 2006

 目田探偵の自宅兼事務所は、とあるクリーニング店の二階に設けられている。
 そして学校帰りの僕は今、助手の仕事として事務所の留守番を任されていた。知る人ぞ知る秘境のような場所なので客は殆ど来ないから楽だ。
 そんな訳で事務所のテレビで鉄拳5に勤しんでいると、どたばたと慌てた様子で目田探偵が帰って来た。
「ニュース! ニュース!」
 玄関先でブーツの紐を解くのに四苦八苦しながら目田探偵が叫ぶ。
「ニュースって、何です?」
「だからニュースだよ!」
 苛立たしげにコートの前ボタンを一つ一つ外しながら、テーブルの上のリモコンを右手で掴んでテレビのチャンネルを変えた。
「ああ、そっちですか」
 と言うか、段位昇格のチャンスだったのにいきなり変えんな。
『――今日のお昼頃、またしても被害者が発見されました。これで殺害された数は合計で二十三人にもなります……』
 夕方六時のニュースで、女性レポーターが現場と思われる場所をバックに原稿を読み上げている。
『死亡推定時刻は昨日の夜頃。そして今回も、現場にはあのメッセージが残されていました。QUIET(お静かに)と……』
 ここ最近世間を騒がしているこの犯罪は、数日の間を置かないで今も続けられている。テレビでは連日特集が組まれ、様々な専門家達があれやこれやと議論していた。
「また事件ですか。物騒な世の中ですね」
 現場に残されたメッセージからマスコミは連続静寂犯(サイレント)と名付けた。被害者は老若男女で共通点は無く、通り魔的な連続殺人だと言われている。その犯人像も動機も未だ不明のままだ。
「探偵としては有り難いけどね。平和な世の中になったら商売上がったりだ」
 そして物騒な探偵がここにいる。
「目田探偵はこの事件に興味があるんですか?」
「まあね。被害者遺族からの依頼もあって、色々と私なりに調べているんだけど」
 他のチャンネルも調べるが、もうどこもサイレントの事件は扱っていないようだった。
「情報はこれくらいか。ならば――」
 そしてゲーム画面に戻る。
「勝負だ安地君。ようやくノーコンテニューでクリア出来る様になったんだからね」
「はいはい。分かりましたよ」
 元々このPS2は僕の私物である。目田探偵が対戦ゲームをやってみたいと言うのでここに持ち込んだ訳だが、何度やっても僕に敵わないのに業を煮やしたのか、ゲーム機本体ごと取り上げられたのだ。
「せめて鉄拳王の称号を得てからにして下さいよ。あと、初心者ならいきなり動物キャラは止めた方がいいですって」
 手を抜くとすぐに見破られるので真剣に戦わざるを得ない。かといって圧勝し過ぎると、それはそれで機嫌が悪くなる。
「そう言うきみは、女性キャラばっかり使っているよねえ。何だっけ、あの変な関西弁女?」
「……容赦しませんよ」
 僕はゆっくりと、風間飛鳥にカーソルを合わせた。

  ***

 泊り込みでの鉄拳百連戦から翌日。
 目田探偵への依頼という事で、僕は街の外れにある安ホテルへとやって来た。
 わざわざこのような場所で待ち合わせというのは何か理由があるらしく、目田探偵は他の仕事で手が塞がっているとの事で、代わりに僕が話を聞く事になった。
 ちなみに昨日の鉄拳の戦績は目田探偵の名誉の為に記さないでおく。
「404号室……ここか」
 部屋の表札を確認する。そのすぐ右横には、縦に並んで『ト02』と読める意味の分からない落書きがされていた。
 404号室は階段を上がって目の前にある廊下の一番奥で、右隣が405号室。向かいが403号室。ワンフロアに六部屋の造りで、階段脇に共用のトイレが設置されている。
「目田探偵事務所の者です」
 僕はノックをしながら中に呼び掛けた。
「………」
 だが、返事は無い。
「お留守ですか?」
 一応、スペアの鍵は預かっている。依頼状と共に送られてきたのだ。
 もしも留守の場合は中で待っていて欲しいという意味なのだろう。
「入りますよ? 失礼します」
 鍵を開けて中へと入った。
「……えっ?」
 目の前の床に、トレンチコートと帽子を被った一人の人間がうつ伏せになって倒れていた。
 見たところ年齢は四十代から五十代くらいの壮年の男。その身体の下からは、赤い液体が放射状に大きく広がっていた。
「……前にも、似たような事があった気がするけど」
 これから先、まともな依頼人と対面する事があるのだろうか?
「ナイフで喉下を一撃……ってとこかな?」
 恐る恐る近付いて観察する。首筋は真っ赤に染まっているので、投げ出された手首を取ってみた。
「やっぱり、脈は無い――」
 ふと見上げて僕は絶句した。

『QUIET』

 奥の壁に大きく書かれたその赤い文字。
 僕に言われた訳ではないのだろうが、それを見た途端に言葉を発する事が出来なくなってしまった。
(サイレントが、ここにいた……!?)
 身体中に緊張が走る。
 夕べ鉄拳をやりながら目田探偵からサイレントの事を色々と聞かされた。対戦中に事件現場の遺体写真を見せ付けるという卑怯なやり口もあったが、その中に『QUIET』のメッセージの写真があった。
 直線を何度も重ねるように書かれた特徴的な筆跡は、どのメディアでも公開されていない。おそらく警察の情報規制なのだろう。
 そして目の前のメッセージは、僕の眼からはそれと同じ筆跡にしか見えなかった。
(とにかく、目田さんに連絡を――)

 ――コツ、コツ……。

 ドアに振り返ったところで、廊下から足音が聞こえて来た。
(誰だ?)
 足音はこちらへと向かって来る。
 僕は慌てて部屋の中を見渡した。
 入り口は入って来たものだけで、オートロックのおかげで鍵が掛かっている。部屋は六畳ほどの広さのワンルームで、バスもトイレも付いていない。家具はベッドとテーブルとクローゼットと小型冷蔵庫とテレビ。窓があるが格子が嵌っている。

 ――ガチャ、ガチャ。

 足音の主がこの部屋の鍵を開けようとする。
(……ここしかない!)
 咄嗟に僕はベッドの下に潜り込んだ。

 ――ガチャリ。

 扉を開けて誰かが入って来る気配がする。
「………」
 その人物は一瞬立ち止まると、すぐにベッドの上に腰掛けた。
(……危なかった)
 もう少し行動が遅れていたら見付かってしまっていただろう。部屋の中の物に殆ど手を触れていなかったのも功を奏した。
(それにしても、これは……)
 ベッドの隙間から見えるのはスラリとした色白の細い脚。皮靴と白いソックス。ちらりと上から覗かせるスカートの端。
 それはまるで、女子高生のようであった。
(サイレントが……女子高生?)
 まさかと思ったが、この状況からしてそう考えるのが自然だろう。現に、この部屋の鍵を持っているのだ。この人物がホテルの人間でないのなら、鍵は依頼人しか持っていない筈だから。
(さて、どうする?)
 僕は物音を立てないように息を殺しながら必死に考えた。
 目田探偵によるとサイレントはカッターナイフのような鋭い刃物で殺人を犯した後、何故かその犯行現場に長時間留まっている性質があるらしい。普通ならば一刻も早く立ち去るものなのだが、その理由は不明だ。
 詳しく調べた訳ではないが、床の乾き具合からして事を起こしてからそれ程時間が経っていないように見える。だとすると、一度洗面所にでも行って手を洗っていたのかもしれない。
 鉢合わせは免れたが、それが幸運だったと言う訳ではないようだ。
「………」
 ベッドの上の人物は何をする訳でもなく、ただ無言でじっとしている。身体の向きからして床に倒れた人物に目を向けているのかもしれない。
 その静けさが恐ろしく不気味だった。
 このような異質な空間に僕は一分も耐えられそうに無い。
(そうだ、携帯電話だ!)
 マナーモードにしてあるのでプッシュ音が鳴る心配は無い。更に設定で着信音も切れば完璧だ。問題はボタンを押す時の僅かな音だが、掌で音を塞ぐように押せば大丈夫だろう。
 すぐに目田探偵にメールを送る。
『依頼人が部屋で殺されています。僕はベッドの下に隠れていて、すぐ上にサイレントが座っているんです。助けてください』
 返事はすぐに来た。
『やだプー』
 四文字だった。
『ふざけないで下さい! あのサイレントが間近に居るんですよ! 捕まえるチャンスじゃないですか!?』
『そんな事より、昨日ゲームできみにボッコボコにされた恨みの方が大きいよ。しばらくそこで頭を冷やしているんだね』
 ここに来て個人的な私怨を持ち出すのかあのボケは。もういい、あんな奴に頼らないで直接警察に連絡してやる。
(警察のメールアドレスって……何だ?)
 指を止めて僕は悩んだ。110番に電話が出来れば簡単なのだが、万が一にも向こうの声が漏れるとまずい。
 そこで他の知り合いにメールを送ってそこから警察に連絡してもらえばいい事に気付いた。手間は掛かるが仕方ない。
 そう考えてアドレスを開こうとして、僕は愕然となった。
 目田探偵以外のアドレスが全て抹消されているのである。履歴も、何もかも。先日知り合った塔野さんのアドレスも含めて。
『ああ。昨日腹いせに、きみのケータイのアドレスを消しておいたから』
 こちらの行動を予測しておいたかのようなメールが届いた。
『何をやらかすんですか! これじゃあどこにも連絡出来ないじゃないですか!』
『つまり、私しか頼る者は居ないって事だね。アドレスくらい暗記しろよなー』
 嫌味な口調が脳内に再生されて余計に腹が立つ。
『分かりましたよ。昨日の事は謝りますからお願いします』
『土下座したら考えてもいいね』
『土下座以上に這いつくばっているんですよ! 今!』
『はっはっは。それを言うなら以下だろ』
『どっちでもいいですよ! 大体何で依頼人がサイレントに殺されているんですか!? 偶然にしちゃ出来過ぎですよ!』
『いや、偶然とは言えないんだよね。そもそも依頼が身の安全を確保して欲しいとの事だったんだ。何でもサイレントに関して重要な情報を握っていたらしくてさ』
『そういう事は最初に言ってください!』
『わざわざ文末に『!』を多用しなくてもいいじゃないか。その分手間だろ?』
『そうでもしないと、僕の気が晴れないんですよ!』
 何故だろうか、黙々と文章を打っているだけなのに息切れしそうになる。
 上の人間に気付かれていないかと恐る恐る様子を伺ってみるが、どうやら大丈夫のようだ。ただ、目の前に見える脚が微かに震えているのが分かる。この部屋は暖房も付けていないから寒いのかもしれない。
『それで、サイレントの顔は見たかい?』
『いえ。咄嗟に隠れたもので、脚しか見ていません。でも服装からして女子高生みたいなんですよ』
『どんな脚?』
『色白で、細くて、とても綺麗な脚です。靴の大きさからして足のサイズが普通よりも大きいみたいですが、その分背が高いのかもしれません』
『つまりきみは、脚フェチなんだね』
『聞いたのはそっちでしょうが!』
 いかん。心の中で叫び過ぎて気が遠くなってきた。このまま身体も心も衰弱してしまってはとてもまずい。
『もういいですよ。自力で何とかします。いくらサイレントでも、不意を付けば何とかなりますから』
『おい、無茶は止めたまえ』
 目田探偵のメールを無視して僕は目の前の二本の脚にゆっくりと手を伸ばした。都市伝説よろしく、ベッドに下から襲い掛かれば僕でも勝機がある。

 ――とすっ。

 その時、二本の脚の間に何かが落ちて床に刺さった。
「……っ!?」
 僕は驚きの声を必死に飲み込む。
 床に刺さったもの。
 それは、刃が薄く赤みがかったカッターナイフだった。
「………」
 僕はゆっくりと手を引っ込めた。
『たすけてください』
『最初から素直にそう言いなさい』
 最初から素直にそう言っているのだが、ここはぐっと堪える事にする。
 ベッドの上の人物はカッターナイフを拾い上げると、そのまま立ち上がって部屋の中を歩き出した。

 ――ガチャン。

 扉の開かれる音。
 ここからは死角になっていて見えないが、どうやら部屋から出て行ったらしい。それからは物音一つしない。
『サイレントが出て行きました』
『ふむ。どうやら飽きたみたいだね。もうそこには戻って来ないだろう』
『僕はどうしたらいいんですか?』
『念の為にしばらく間を置いてからそこから出るんだ。既に私もそちら向かっている』
『分かりました』
 指示通りにたっぷり時間を置いてから、僕はそろそろとベッドの下から這い出した。ずっと窮屈な姿勢だったので身体中の関節が悲鳴を上げている。
「――動くな」
 迂闊だった。
(扉が閉まってから、廊下を歩く物音がしなかったじゃないか!)
 己の不明さを嘆くが、既に手遅れである。
「そのまま両手を上げて、ゆっくりと立ち上がれ」
 背後から冷たい金属の感触を首筋に味わいながら、僕はゆっくりと言われた通りにした。
「こちらを向け。妙な真似はするな」
 僕は覚悟を決めて振り向いた。
「……は?」
 僕はその顔を知っていた。
 いや、知っているなんてものじゃない。
「くくくっ……」
 目の前の人物は堪え切れなくなったかのように笑う。繰り返して言うが、巷の女子高生が着るブレザー姿である。
「あーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」
 ベッドの上に仰向け倒れ込み、それはもう死にそうなくらい笑い転げていた。
「………」
僕はその姿を、ただただ呆然と眺めている事か出来なかった。
「……何をしているんですか? 目田さん」
 正気に返った僕はようやく言葉を発する事が出来た。
「ひひひっ……いや、ほんと……面白いくらい罠に掛かってくれたね」
「罠って……じゃあ、依頼の話は?」
「全部嘘」
 ああ、そうか。
 これが殺意か。
「ヌッ殺す!」
「きゃー、襲われるー」
 大股を広げて怯える振りをする目田探偵。
 思わずスカートの中に視線を向ける自分に心底嫌気が差し、しかもそれがブルマだった事に気付いて死にたくなった。
「……じゃあ、そこの死体は?」
 凄まじい脱力感に苛まれながら、僕は床を指差して尋ねた。
「死体なんかじゃないさ。見てみなよ。良く出来ているだろう?」
 改めて近付いて確認する。どう見ても人間の死体にしか見えない。
「その名も美川里ちゃん。依頼者の要望にお応えしてどんな姿にでも変身可能だ!」
「ミガワリちゃんって……じゃあこれ、人形だったんですか?」
 一体幾ら金を使ったんだろうかと呆れる。
「でもね、気付かないきみもおかしいよ」
「まあ、今考えれば……」
「しかも最初の最初で、私はヒントを出していたんだよ?」
「ヒント?」
 そんなものあっただろうかと首を傾げる。
「この部屋の表札を見ただろう?」
「ええ」
「落書きがあったのを覚えていないかい?」
「確か『ト02』って……」
「ちっちっち。横にしてごらん? 『NOT』と読めないか?」
「まあ、確かに。でもそれが?」
「鈍いねえ。『404 NOT』だよ? つまり『404 Not Found』ファイルは存在しませんって意味だよ。だから依頼も事件も存在しないのさ」
「分かるかボケぇ!」
 全ての人間からの代理として僕は叫んだ。
「こんな手間暇掛けて……僕を騙す為に、ここまで労力を消費しますか?」
「いや。きみを騙すのはついでだよ」
 目田探偵はベッドから立ち上がる。
「サイレントについて独自に調査をして、私の推理力を総動員させた結果、出没先はこの辺りが怪しいと思っていたんだ」
 ポーズを付けての説明。しつこいようだが、女子高生のブレザー服姿である。
「何でも代わりにやってくれる知り合いにこの部屋を拠点にして張り込みを頼んだんだ。次に事件が起こるとしたら、間違い無くこのホテルだろうね」
「あー、そうですか」
 今となっては、もうどうでもいい。
「じゃあ、帰っていいですか?」
「待ちたまえ、安地君」
「何ですか?」
「私の美脚に興奮したかい?」
「死ね」
「まあまあ。私も戻るところだから、ついでに車で送ってあげよう」
「頼むから近くを歩かないで下さい」
「遠慮しないでいいって」
 拒否する僕に構わず目田探偵は先に立って部屋の扉を開けた。

 ――ガチャリ。

 その光景を後ろから見た僕は、まるで合わせ鏡の中に迷い込んだような気がした。
「………」
 向かいの部屋の扉を開けたまま硬直した、目田探偵と同じブレザー服姿の本物の女子高生が居る。
 その女子高生の背後には、こちらの部屋と全く似たような形で倒れている死体がある。
 そして奥の壁に書かれた、本物の『QUIET』――。
「危ないっ!」
 次の瞬間、目田探偵の喉下に水平に薙ぎ払われたカッターの刃が迫っていた。
「おっと」
 しかし目田探偵はあっさりとその手首を掴むと、そのまま相手の身体を宙に回転させながら廊下の壁に勢い良く叩き付けた。
「どう見ても犯人です。本当にありがとうございました」
 その一撃でサイレントは昏倒したらしい。ぴくりとも動かなくなった。
「……このまま、事件も起こらずに終わるかと思いましたよ」
「タイトルに偽り無しさ」
 それにしても、返し技なんてゲーム以外で初めて見た。
「サイレントは私が押さえているから、遠慮無く警察に連絡したまえ」
「はあ、分かりました……」
 この異様な状況を警察にどう説明するつもりだろうか?
「二人共お疲れさん。張り込みを兼ねた悪戯が無駄にならなくて本当に良かったよ」
「あー、そうですか」
 携帯電話の11まで押して、僕はそこで初めて気付いた。
(……二人共?)
 慌てて後ろを振り向くと、今まで人形だと思っていたものがゆっくりと立ち上がった。
「……やれやれ。後ろから驚かそと思ったんやけどな。こうなったら、しゃあないか」
 意外な事にそれは若い女性の声だった。
「み、美川里ちゃん!?」
「そうや」
 血糊の付いた手を拭いながら、美川里ちゃんは壮年の男だった偽の顔を外した。
「代わりに出来る事なら何でもこざれ。代替屋(オルタナティブ)の美川里。今後ともよろしゅうな、アンちゃん」

投稿者 緋色雪 : 16:06

第二話『血と縁のスパイラル』

May 17, 2006

 塔野和葉。
 たった二日間で十一人の犠牲者を出した、塔野家殺人事件の生き残りである。
「――おねがい! 一人にしないで!」
 事件現場となった塔野家の屋敷から遠く離れた病室で彼女が目を覚ました時、錯乱し掛けた様子で僕に抱き付いたまま、再び気を失ってしまった。
 現在目田探偵は事件の調査に出掛けてしまっている。塔野和葉が目を覚ました時に話を聞くようにと、僕はここに残されたのだ。
 つまり、この部屋は二人きり。
 扉の外には警察官が警備してくれているとはいえ、少々緊張する。

「ううっ……」
 彼女が呻き声を上げて虚空に手を伸ばした。
 僕は少し躊躇いながら、その手をしっかりと握り締める。
「………」
 それで安心したのか、彼女の呼吸が平静に戻った。
「事件の生き残り、か……」
 被害者には彼女の父親も含まれている。母親は既に亡くなっているらしいから、両親が居なくなって今後どうするのだろう?
 一時間程そうしていただろうか、彼女が薄っすらと目を開けた。
「……あなたは?」
医者を呼ぶべきか、警察官を呼ぶべきか考えていると、彼女の方が先に話し掛けてきた。
「えっと、僕は……目田探偵の助手で、安地と言います」
 しどろもどろになりながら僕は答える。
「目田……探偵? 確か、お父さんが依頼したって言ってた……」
 どうやら彼女は目田探偵の事を知っているらしい。それなら話は早い。
「今回は、その、すみませんでした!」
 僕は頭を下げて謝罪した。
「依頼から二日も遅れてしまって、もしも間に合っていたら、このような事態には陥らなかったかも知れないのに……」
 塔野家頭首の、塔野浩和氏の遺言状が公開される日に来て欲しいと依頼があったのだ。その日に血縁関係にある一族全員が揃い、遺産の分与が決められる予定だった。
 そんな大事な日に、あの目田探偵は日付を間違えて遅刻しやがったのである。全く、名探偵にあるまじき行為だ。
 当の本人はというと「今考えると、時間通りに到着したとしても追い返された可能性が高い」などとぬかしているが。
「………」
 彼女は何も言わなかった。
 怒っているのかもしれない。
 呆れているのかもしれない。
 恐る恐る顔を上げて様子を伺うと、彼女の視線は繋がれたままだった僕の手に向けられていた。
「あっ! これは――」
 急に恥ずかしくなってその手を離した。
「ずっと……握っててくれたの?」
「えっ? ああ、うん。そうだ、ちょっと聞きたい事があるんだけど……一体何があったの?」
 照れ隠しに僕は事件の事を尋ねた。
「分からない……」
 僕の問い掛けに彼女は力無く首を振る。
「お祖父様の遺言状が公開されてから、みんな狂ったみたいになってしまって……」
「それって、どんな内容だったの?」
「……この屋敷に隠された遺産を手にした者に全てを譲る」
「えっ?」
「期間は四十八時間。その間、外部に出る事も連絡する事も許さない。一人でもそのような行為に出た場合、遺産は誰の手にも渡らない……あれには、そう書かれてあったの」
 そのたった二日間に、十一人の死者を出す血みどろの争いが繰り広げられていたのか。今更ながら背筋に冷たいものが走る。
「わたし達一族は……そんなに仲が良いとは言えなかった。お父さんは最後まで遺産は要らないといっていたのに、二日目の夜――」
 彼女はそこで涙ぐんで言葉に詰まった。
「ごめん……つらい事を思い出させて」
「結局、遺産がどうなったのか分からないの。わたしは、あんなものはどうだっていい。だから、だから……」
「分かったから。もういいから。ゆっくり休んでよ。お願い」
「うん……」
 しゃべり続けて疲れたのか、それからすぐに彼女は眠った。
 その後しばらくして、目田探偵が手配してくれたのか、病院の人間がやって来て彼女のベッドの隣に簡易ベッドを設置してくれた。外に出る必要が無いように、夕方には食事もきちんと運んでくれるらしい。
 しかし、これだけ手を回せる事が出来るのにどうして遅刻なんて初歩的なミスをするのやら。どこか抜けているんだよな、あの人。
 噂をすれば何とやらで、目田探偵から携帯電話にメールが届いた。
『何か話が聞けたのなら、要点をまとめてメールをよこしてくれ。私の方は夜まで戻れそうに無いから、そちらは頼む』
 更に追伸があった。
『ところで、手を繋ぐ以上の事はしていないだろうね?』
 ……余計なお世話だ。というか、なんで分かるんだよ。
 とりあえず彼女から聞いた事をメールで返事をする。大した情報だとは思えないが、目田探偵なら何か分かるかもしれない。
「ねえ……」
 いつの間に目を覚ましていたのか、彼女が再び話し掛けてきた。
「どうしてあなたは、探偵の助手なんてやっているの?」
「えっ? それは――」
 僕みたいな普通の高校生が探偵の助手をしているのは、普通から見れば確かに珍しいかもしれない。
「ちょっと昔にお世話になったんだよ。だから、その恩返しみたいなものかな」
「へえ……」
「あの人はね、ちょっと抜けたところがあったり肝心なところでポカをやらかしたりするけど、それでも解決出来なかった事件は今まで、ただの一つもなかったんだ。だから、安心していいよ」
「でも、使用人の人が逃げてしまって、事件はもう――」
 現在、事件の容疑者である使用人の男が逃亡している。事件があった屋敷の傍にある山の中へ逃げ込んでいて、警察と地元青年団による山狩りが行われている。
「いや。あの人がこうまで動いているという事は、まだ何かしらの裏があるって事だよ」
「じゃあ、他に誰か犯人が居るの? わたしとその人以外であの屋敷で生き残った人間はもう誰も居ないのに」
「それは――」
 言い掛けて言葉に詰まる。
 生き残った者が二人だけ?
 もしも現在逃亡している使用人とやらが犯人でないのなら、目の前の彼女が犯人という事になるのだろうか?
「――どうしたの?」
「ううん。何でもないよ」
 僕は頭を振ってその考えを追い払った。
「使用人の人って名前はなんだったかな」
「確か、葛西さんと言ったけど……」
「どんな人だったの?」
「あんまり会った事は無いけど……無口で、仕事熱心な人だった。昔、事故で顔に酷い火傷を負ったらしくて、普段はそれを隠すように覆面をしているの」
「じゃあ、素顔は知らないの?」
「うん……」
 怪しい。これでは、警察が容疑者と考えていても無理は無いかもしれない。
 それから夕方になり、食事時間になっても目田探偵は戻って来なかった。やはり連絡通りに帰るのは夜以降になるのだろう。
 それからはずっと、僕達は当たり障りの無い会話をしていた。学校の事、友達の事、好きなテレビや本など……。
 消灯時間になったところで、一つ屋根の下で若い男女が泊るのはどうかと今更ながらに思ったが、彼女が一人になるのは嫌だと言ったので僕は遠慮無く隣の簡易ベッド寝ることになった。人間の出入りが分かるように場所は入り口側。これも仕事だ。うん。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
 ただし、両者の間はカーテンで仕切ってある。この部屋は個室だったが、こういう場合に備えてのものなのだろう。
別に残念がってはいない。
「……ってか、眠れる訳ないよ」
 隣からはすぐに寝息が聞こえて来たというのに、僕の方は気が高ぶって中々寝付けなかった。目田探偵には先程メールを送ったのだが返事は無い。
 仕方無いので、事前に渡されていた資料に眼を通す事にする。室内の電気は点けられないので、携帯電話のライトを明かり代わりにした。
 資料には塔野一族の血縁関係者が記載されてある。

 ・塔野浩和 塔野家頭首
    由紀 浩和の妻
 ・塔野浩由 浩和の長男
    文代 浩由の妻
    浩文 浩由の長男
    由文 浩由の次男
 ・塔野和紀 浩和の二男
    歌子 和紀の妻
    和歌 和紀の長女    
    紀子 和紀の次女
 ・塔野和由 浩和の三男
    葉子 和由の妻
    和葉 和由の娘
 ・塔野浩紀 浩和の四男

 一族の人間は皆、医療に携わる仕事に就いている優秀な一族だ。この病院の経営もその一つだという。
その中で塔野由紀は既に病気で他界していて、塔野葉子は事故で亡くなっている。
そして、今回の事件の元凶とも言うべき塔野浩和が病気で亡くなったのは二ヶ月前。その遺体は灰になり、海に散骨されてこの世には塵も残っていない。高名な医学博士であり、その資産は莫大なものだと言われている。
 そして、事件の登場人物がもう二人。

 ・葛西定雄 使用人
 ・浮谷啓介 塔野浩和の元秘書

 葛西定雄の年齢は二十八歳。写真は無く、詳しい経歴は不明だ。塔野浩和が数年前から自分の屋敷に住まわせて使用人として働かせている。そして現在、容疑者として逃亡中だ。
 それと比べて浮谷啓介はエリート街道を絵に描いたような男だ。写真では端正な顔立ちで、弁護士資格も持っており、二十五歳の若さで秘書として有能な男だったようだ。だからこそ遺言状を任されたのだろう。しかしそのせいか、血縁者でもないのに遺言状が公開された当日、最初に殺されている。

 ――コンコン。

 突然、扉をノックする音が響いた。
 時刻を確認すると夜の十時。警察の取調べにしては遅すぎる時間だ。
「……誰です?」
 僕は扉の前に立って用心深く問い掛けた。
「私だよ。ちょっといいかな?」
 目田探偵の声だった。途端に緊張が解ける。
「遅いですよ。今まで一体何をしていたんですか?」
 扉を開けながら僕は不満をぶつけた。
「いや、これでも忙しい身でね。彼女はもう眠ったようだね。ちょっと話があるから外に出てくれないか?」
「でも――」
 彼女を一人残すのに躊躇いを覚える。
「大丈夫だよ。廊下には警察官が一人配置されているし、病院の警備システムも万全だ。きみ一人がここから居なくなったくらいで大して変わらないさ」
「……分かりましたよ」
 腹の立つ言い方だが、ここで話し込んでいたら彼女を起こしてしまうかもしれない。それに、被害者には聞かせられない内容にもなるだろう。
「では、向こうの部屋に移ろう」
 僕はちらりと彼女の様子を確認すると、後ろ髪を引かれる思いで部屋を出た。
「じゃあ、お願いします」
 廊下で見張っている警察官に挨拶をして目田探偵の後を付いていく。彼女の病室は三階のほぼ中央にある。部屋から出て向かって左側にある階段を一つ降りて、二階にある個室の一つに入った。
「それにしても一体何なんですかこれは? どう見たって、本編と思われる事件部分がすっ飛ばされているじゃないですか」
 部屋に入るなり僕は言った。
「まあね。言ってしまえば、解決編から始まったようなものだね」
「それもこれも、目田さんが日付を間違えて遅刻したりしなければ……」
「でもねえ。たった二日間で十一の死体が出来上がるような場所にきみは居たいと思うのかい? 名探偵の私ならともかく、単なる助手のきみでは、死にはしないものの酷い目に合うのは眼に見えているよ」
「……そりゃ、まあ」
 誰だって好きこのんでそんな場所に行きたくない。目田探偵なら嬉々としてその状況を楽しむのだろうが。
「それとも何かい? 極限状況の中であの娘の傍に居て、吊り橋効果でも狙いたかったとでも言うのかい?」
「な、何言ってるんですか!」
「部屋を出る時だって随分と名残惜しそうだったじゃないか。そんなにラブコメしたいのかい?」
「余計なお世話です。大体、目田さんが登場するまでシリアス街道まっしぐらだったのに、ここに来て急に世界が失速した気分ですよ」
「随分と失礼な言われようだね。全く、そんなに欲求不満なのかい? だったらその思いをこの私にぶつけたまえ。さあ、ばっちこーい!」
「………」
 僕は無言でその尻を蹴り上げた。
「馬鹿やっていないで、事件の話に戻りましょう」
「うむ」
 痛む尻をさすりながら目田探偵は殊勝に頷く。
「さて、きみから気になる情報を得たわけだが。それについて私なりに調べてみた」
「あっ、僕にも考えがあるんですが――」
「きみの考えくらいお見通しさ。未だ逃走している容疑者が、塔野家の血縁者でないかと疑っているんだろう?」
「はい」
「結論から言えばノーだ。現場に残った頭髪や血痕を調べさせたが、亡くなった塔野一族の誰とも遺伝子が一致しなかった。正真正銘赤の他人だよ」
「……そうですか」
 僕の思い付きなど事実の前に簡単に一蹴されてしまった。そう上手くはいかないという事か。
「だが、着眼点は良いと思った。それで私はその考えを突き詰めてみた」
「突き詰めた?」
「最初に死んだ男が居るだろう?」
「ええ。秘書の浮谷啓介ですね」
「彼も同じ結果が出た。だが、同じというのが問題で――」
 そこでふと、目田探偵は虚空を見上げた。
「どうしました?」
「今、何か聞こえなかったか?」
「いえ、何も……」
「まさか!?」
 いきなり駆け出したので、僕も慌ててその後を追った。
「何なんです!? 一体!」
「急げ! どうやら長話し過ぎたらしい!」
 廊下を走り、階段を駆け上がる。
「あっ!?」
 その光景を見て僕達は足を止めた。
 彼女の病室の前に人影があった。薄暗いので、誰だかはっきりとは分からない。
「塔野さん!?」
 だが、その人影が抱きかかえている人物が誰なのかは分かった。
「この警備の中を侵入するとは――」
 目田探偵が前に出ようとすると、向こうは身を翻すように廊下を走り出した。
「待て! 安地君! 下から回り込め!」
「はい!」
 二手に分かれて僕は元来た階段を駆け下りる。この病院には階段が建物の端と端に二つあり、エレベーターは今の時間は使えない。
 途中のナースステーションを横目で見たら、病院関係者達が床に倒れているのが分かった。病室の前に居た警察官も倒れていたが、死んでいない事を祈るだけだ。
 一階のフロアに出てしばらくその場に留まって様子を見たが、誰も降りてくる気配が無い。出入り口はここだけだというのに、一体何処に行ったのだろうか?
「まさか、上に……?」
 逡巡した挙句、僕は居ても立ってもいられなくなって来た時の反対側の階段を駆け上がった。既に目田探偵が相手を取り押さえているという楽観的な考えはこの際捨てる。
 二階に上がって廊下を見渡したが誰も居ない。どこかの部屋に居るとしても、こうも静かなのは不自然だ。
 三階、四階と上がったところで頭上から声が聞こえた。
「――わざわざ、こんなところに逃げ込むとはな。もう逃げられないぞ」
 目田探偵の声だ!
 僕は階段を駆け上がって屋上に出た。
「おっ? きみも来たのか」
「はあ、はあ……当たり前じゃないですか」
 急激な運動で心臓が早鐘のように鳴り続ける。どうにか呼吸を整えながら、屋上の向こうに居る相手を見据えた。
 その後ろ姿は長身の男のようであった。
「逃げる……?」
 男が背を向けたまま嘲笑するように呟いた。その両腕には今も塔野さんの身体が抱えられている。ぐったりとしていて、ぴくりとも動いていない。
「勘違いしてもらっては困る。建物の中には多くの入院患者が居る。あのまま騒ぎを起こす訳にはいかなかったのさ」
「だから私達を此処に誘い込んだというのか? ふん。大した自信だな」
「禍根は全て絶つのが俺のやり方でね……警察ではないようだが、貴様等は何者だ?」
「名探偵とその助手ですが、それが何か?」
 目田探偵が自信たっぷりに言い放つ。
 それにしても目田探偵の姿。
 白い靴に白いスーツに白いコートの全身白ずくめ。そして更に頭髪までもが真っ白である。これでは、見た目で何者か判断する事など出来無いだろう。
 それに比べて僕は普通の学生服姿。寝巻きなど用意できなかったので、そのままの姿で寝ていたのだ。
「ふっ。探偵か……」
 その時、男がゆっくりと振り向いた。
「えっ!?」
 その顔を見て僕は驚きの声を上げた。
 事件関係者の顔は資料で見ている。男はその中の一人だった。
「浮谷啓介……確か、死んだ筈じゃ」
「奴は葛西定雄に成り代わっていたのさ。死んだと思われていたのはそっちだよ」
「でも、どうやって? 警察は被害者が浮谷啓介だと断定していたんでしょ? まさか双子だったとか?」
 僕の言葉に浮谷が低い笑い声を上げた。
「くっくっく……双子だと? 奴の方が三つ年上なのに、そんな筈が無いだろう? 兄弟では遺伝子情報は一致しない」
「確かにそうだ。私は独自に事件関係者全員の遺伝子情報を徹底的に調べ上げた。その結果から判断するに貴様達は……クローンだ」
「クローン、ですって? そんな――」
 あまりの展開に僕は絶句してしまう。
「その通り。塔野浩和が自らをコピーする為に作り出した唯一の成功体。それが俺だ」
「では、葛西定雄は?」
「あいつは失敗作さ。肉体的には安定していたんだが、おつむがちょっとな。それで処分するのも忍びないってんで、奴は手元に置いておく事にした。まあ、俺にとってはいざという時の臓器貯蔵庫に過ぎなかった訳だが」
 何という奴だ。いくら人為的に作り出された存在とは言え、そのような言い方には憤りを覚える。
「ふむ。それで葛西定雄に成り代わったというのか。彼の方は火傷で覆面をしていたらしいが、それはフェイクだったんだな」
「当たり前だ。同じ顔の人間がうろついていたらいくらなんでも周囲に怪しまれる。だからあいつには、人前で顔を見せないようにきつく調教していたのさ」
「そして事件を起こし、最後には変装を解いてまんまと逃走した訳か。全く、警察も先入観に囚われすぎだ。覆面と火傷の痕ばかりに気を取られていたんだろう」
「ああ。地元青年団が山狩りに入る事は予想出来たからな。素顔でそいつらの振りをすれば逃げ出す事は簡単だったよ」
 そしてこうやって、病院にまで侵入出来たという事か。病院のセキュリティをかい潜る手際といい、周到な計画性が伺える。
「じゃあ、遺産って……」
「その通りだ小僧。このクローン技術こそ奴の最大の遺産だったのさ。それを求めて一族の奴らは必死だったよ。金やら権力やら命やらが目的だったようだが、滑稽だったよ」
「その隠し場所こそ、貴様の頭の中という事か。道理で見付からない筈だ」
「そうだ。結局、奴らはゲームに敗北したのさ。互いの疑心暗鬼に飲まれて誰一人真実に到達出来なかった。あんな一族など、滅びて当然だ」
「ならば、どうして和葉ちゃんの命だけは奪わなかった?」
「そうだ! 彼女をどうするつもりだ!?」
 今すぐにでも飛び掛って行きたいが、彼女が相手の手の中にあっては下手な動きは出来ない。
「俺の崇高なる目的など到底理解出来まい。さてと、おしゃべりはここでお終いだ……」
 浮谷は低く笑うと、彼女を地面に置いてゆっくりと僕達に近付いて来た。いつの間にか、その手には鈍く輝くナイフが握られている。
「それにしても、何だね」
 それを眺めながら目田探偵が呟いた。
「様々な真実が暴かれて、いよいよクライマックスだというのに、どうしてちっとも盛り上がらないんだろう?」
「そりゃあ、事件本編も無いのに盛り上がれというは無理でしょう。伏線や前振りがあって、初めて盛り上がれるんですから」
 当事者である塔野さんが目を覚ましていればそうでもないのだろうが、薬でも嗅がされたのか今でもぐっすりと眠っている。
「じゃあ、さっさと終わらせるか」
 目田探偵は軽く言うと、コートの下からスタングレネードを取り出した。
「なっ――」
 問答無用でゴム弾を身体に叩き込む。
 その一撃で呆気なく、浮谷は地面に倒れて動かなくなった。
「早……」
「きみはナイフを相手に格闘をするかい?」
「いえ。真っ平ごめんです」
 僕はすぐに彼女の元へ駆け寄った。
「塔野さん……」
 大丈夫だ。特に外傷は見当たらない。
「さてと、そろそろ警察に連絡しようかな。ふふっ、これであいつに貸しがまた一つ出来るぞ」
 嬉しそうに携帯電話を掛ける目田探偵。
「それにしても、そいつの目的って一体何だったんでしょうね?」
「出来ればその辺の事も聞きだしたかったんだけどね。その前に襲い掛かってくるなんて、全く短気な奴だ」
 あれだけしゃべってくれただけでも大したものだと思うが……。
「まあ、あとは警察に任せて――」
 そう言い掛けて目田探偵が身構える。
 目を向けると、浮谷がゆっくりと起き上がるところだった。
「くっ……こんなところで、計画が破綻するとはな……」
 その両手には、一つずつ薬瓶が握られている。その中身がどのようなものなのか分からないので、目田探偵も二発目のゴム弾を撃てないでいた。
「ふっ……賢明な判断だ。こうして俺が病院に入り込めるという事は、なんらかの薬品を手に入れても不思議では無いからな」
「……どうするつもりだ?」
 浮谷はこちらを牽制しながら、屋上の縁へと歩み寄る。
「ゲームに敗れた者には、罰が下される。それは俺自身も例外ではない……」
 そして瓶の蓋を外し、その中身を頭からぶちまけた。

 ――ジュウウウウウウッ!

 肌が、皮膚が、音を立てながら焼け爛れていく。何らかの強い酸性の薬物なのだろう。見る間に顔の形が崩れていった。
「定雄……おまえに成り代わって、その気持ちが良く分かったよ。今まですまなかったな……」
 浮谷啓介の最後の告白だった。
「さらばだ……名探偵。そして……俺の、花嫁。今度こそ……やり直したかっ――」
 そしてそのままフェンスから身を乗り出し、
浮谷啓介は闇の中へと吸い込まれていった。
「……どう見ても犯人です。ありがとうございました」
 こんな結末では、犯人にまんまと逃げられたようなものだ。目田探偵の決め台詞も様にはならない。
「ところで、彼は花嫁って言ったよね?」
「ええ……」
 僕は手元の塔野さんを見て頷く。
「やはりそういう事か。一族の遺伝子を調べて更に驚くべき事が分かったんだ」
「何です?」
「遺伝子的には、彼女は父親である塔野和由兄弟らの親に当たる」
「ええっ!? じゃあ――」
「そう。彼女もクローンだ。塔野浩和の妻、由紀のね……」
「だから花嫁って……あれ? でも葛西定雄……浮谷啓介は、塔野家の血筋とは関係無いって言いましたよね?」
「言ったよ。つまり殺された一族は塔野浩和の子では無いという事だ。おそらく彼は性的不能者だったんだろう。それでも子供が欲しくて、どこかの男に産ませたのだろうね」
「………」
 浮谷啓介の最後の言葉の意味が、少しだけ分かったような気がする。
「その事、和葉ちゃんに教えるんですか?」
「独自に調べたって言っただろう? クローン云々の事は私達しか知らない事だよ」
 それは浮谷啓介の遺言であると言えるだろう。彼は全ての秘密を抱えて、顔を潰してまで地獄へと堕ちたのだ。
「犯人は葛西定雄。表向きにはそうするさ。警察だってそれで納得するだろう」
「……そうですね」
 いずれ彼女が真実を知る時が来るかもしれないが、今は休ませてあげよう。
「さて、屋上は冷える。部屋に戻ろうか」
「はい」
 僕は彼女を背負い上げた。
「うわあ。おっぱいの感触を楽しんでいるよ、こいつ」
「ええ。華奢に見えて意外と大きくて……って、何を言わせるんですか!?」
「はっはっは。今回はきみのスケベ心がクローズアップされたね」
「最後の最後で変な事を強調しないで下さいよ! 妙なイメージが付くでしょうが!」
「騒ぐなって。彼女が起きるよ」
「……それにしても、このまま終わりでいいんですか? 事件本編の話とかは結局語らずじまいですよ」
「その辺は読者の御想像にお任せって事でよろしく。次回に乞うご期待。以上閉幕」
 最後の無責任さは相変わらずだった。

投稿者 緋色雪 : 3:05

桜の季節も近づいてきて

March 14, 2006

20060314.png

何となく描いたラフ。久しぶりに塗ると思いますが、ネタ不足のため生贄に~
花見とか関係無しに桜が好きなんですが、描くとなると面倒ですわ。
「櫻の下に死体」
ってエピソードも好きなんですが、そんな艶っぽく妖しげな雰囲気はあんまり描けない方なので
単純に春を喜んでるイメージでラフきってみました。
桜が散る前には完成させたいなぁ~と思っています。
(桜関係は2000年に描いて以来、毎年描こうと思ってたけど描いてませんでした~w)

投稿者 緋色雪 : 0:03

HIME祭りではダメっすね。

March 03, 2006

一ヶ月近く放置してしまいました。
あんまり人生において実入りの無かった一ヶ月にしてしまい猛省…
毎日ごろごろしながらラフ描いたり、キャラ練習したり、森や丘に狩りに出かけたり…
仕事らしい仕事全然進んでね~やべ~やばい~w

流石にエーテル関係が全部終わって気が抜けてしまっているらしく、
白い紙見つめてもなんも構図浮かんでこない。珍しい。
普段は適当に○描いたり、線引いてるとなんとなく全体図が浮かんでくるんだけどなぁ~
ちょっとダメっぽいですね♪

とはいえ…狩りに忙しいこの身、まだまだ仕事以外のイラストとか描く気は出ないんだろうなぁ
モンハンドス結構進んでおります。オフメインでやってるのでオン古龍は良くわかんないのですが…
テオやらクシャやらはなんとか卒無く討伐可能になりました。
無理矢理防御を230とかにしてますので、直撃しても痛くないようにしましたしw
どうやら、MHGやMHPの防御力の1.5~2倍くらいが適正防御なのかな~
まだまだ心折らずに頑張ります!
(こっちばかり頑張ってるとスケジュールが凄いことにw)

投稿者 緋色雪 : 1:03

Birthday To Me!?

January 18, 2006

なんか誕生日だったらしいですよ。
…世界の北野がw
といったわけで誕生日ですよ自分。
もうすでに四捨五入で三十台…自分は少しは成長したんすかね~疑問符だらけですがw

そんなこんなで、本日のやる気ない生活報告とか。

00:00~
イラスト仕上げ。線画トレス使用かなと思いつつ保留。
01:00~
溜めていたアニメ鑑賞。原作しらんせいか、かしましがちょっと面白そうとか思った。ゾイドはまだ保留。
03:00~
モンハンP…レイア・クック・グラビの村クエ処理。なぜか絶一門持っているってのにレイアで1死。恥w
オフグラビは5分くらいで終了。よわ!!
これで☆x5突入ですよ~
04:00~
寝落ち。採集クエで食事リセットしている最中でしたよ?
12:30~
三度寝位して、ようやく起床。
基本的にはこのリズムが一番あっているっぽい。ダメ人間だもん。
米を一合炊いて、鮭フレークで食事。おかず無しdeお茶追加。
新・風のロンドの小沢真珠?怖い。流石ボタバラ(古)
14:00~
仕事開始。昨日トレスしておいた2枚の原画を仕上げる。
まぁ~トーン化の実験やら、ブラシの調子合わせやらでてこずる。
ここら辺から深夜の馬鹿力聞きっぱなし。
本日は空手の真似しちゃダメってのとか。相変わらず聞き流し。
一応仕上げは2枚終わって、一枚くらい原画トレスしようかと
思いつつ、二日分のアドバンテージ利用することにして終了~
21:00~
本年初のスポーツジム。久しぶりにやるんで体が重い重い。
正月分が全部付けになってる感じで…なんかバラブロックとか増えてる!?
目指せ70前半!!
(見た目よりもずっと重いんですよ~自分w)
22:40~
近くのヨークマートにて明日の朝飯購入。
半額になったお稲荷さんです。(¥170-)
23:00~
この日記つけてます。
これからストレッチして、プロテインでも飲んでから
トレスするかどうか検討。モンハンPもやっておきたいかも。
あ~、例の関連書籍も読み進めないと~
なんとなく、ほんとは怖いですよw

こんな誕生日。走り出したい気持ちで一杯一杯。
夕日の方角はどこですか?
さぁ~明日からもゆるゆるといきますか~♪

…誕生日祝いのメッセとかくれた方々、
ありがと~でヤンスヽ(´ー`)ノ

投稿者 緋色雪 : 23:01

あけました。それなりにめでたくもあり…2006

January 05, 2006

と言ったわけで、2006年になりました。
去年の年末から怒涛の攻勢に飲み込まれてますが…これからが本番。
発表できるまでは何言ってんだろって感じですが、頑張りますよ~( >∀・)b

まずは目の前に控えている『エーテルの砂時計』監修作業だぁ~!!
最新の最終作、気合と涙と根性で作り上げてます。おもに永月センセが…
実際、自分のパートはほとんど終わらせてますので、後は周り次第。
みんながんばれ~♪

と言ったわけで、本年もよろしくお願いします。

投稿者 緋色雪 : 0:01

コミケより帰還しました。

December 30, 2005

■コミケ69お疲れ様でした~!
今回の新刊、14時位で完売しました。
いつもいつもありがとうございます♪

スケブとか断ってしまった方、申し訳ないッス。
結局今日は先着5名で締め切らせていただきました。
次回申し込み用紙買い忘れました。
まぁ何とかします…

では、残りわずかですがよいお年を~('∀`)ノ~~

投稿者 緋色雪 : 23:12

『E☆2』Vol.2にイラスト描きました。

December 17, 2005

20051217.jpg

■『E☆2』
12/16発売のVol.2にイラスト2点(カラー1、モノクロ1)描かせて頂きました。
今回は凄く普通のイラスト。だからこそ難しかったかなぁ~

機会あったらよろしくお願いしま~すヽ(´∀`)ノ

投稿者 緋色雪 : 16:12

モノアイ、赤く光るのね。

December 12, 2005

■新型二足歩行ロボット「KIYOMORI」
http://kiyomori.jp/main.html

「からくり~武者!!」ってキテレツにいたなぁ~
しかし、滑らかに動くなぁ~マジでかっこ良いね~これが現実ですよ!?
モノアイ?が赤く光るってのは、日本っぽくて最高ッス。
人間に近いモーションが研究進化する度に、義体への夢も膨らみますわ。
(障害者用の新義足などにも適応させるだろうし。)

投稿者 緋色雪 : 21:12 | コメント (2)

ちょっと宣伝。

December 03, 2005

■エーテルの砂時計公式ページ開設
そんなこんなで、CG監修やらせてもらってる
「エーテルの砂時計 -ANGEL TIME-」(© DreamSoft)の公式ページが開設しました。

まだまだ情報自体は少ないですが、良かったら興味持ってくれると嬉しいです。
大体のキャラ着色してます。(イベントとか8割?)
修正作業もほとんどに手を入れるつもりでもいますが~スケジュールが~w
(モーション関連、担当者は別におられます。)
発売目指してスタッフ一同頑張っておりますので、期待して大丈夫ですよ~♪

投稿者 緋色雪 : 14:12

モノクロームの100話まで…

November 24, 2005

■時間無くて全然確認できないけど…届いております。(私信)
実はあったりします。100話までの3話分。
しかも732KBなんていうアホかってくらいの文量。

結構多いモノクロームファンの皆様、もうしばらくお待ち下さい。
作者は頑張ってくれました。
夏の深夜、ファミレスでお願いした甲斐があったってモンです。
石などは緋色(管理人)にぶつけて下さい。

しかし…どうやって提示しましょ?多すぎてレイアウトとかも結構難しいですよ~

投稿者 緋色雪 : 2:11

冬コミ当選したッス~

November 07, 2005

20051107.jpg

■12/30 ラ-42a|MinusArtWorks
初めて創作(少年)ジャンルで受けてみました。なんとか受かってたみたいですね~
これで心置きなくラフの整理と、着色が出来るってもんです。
(さすがに…300点近いラフをなんとか全部入れようとか思ってると大変。
 真っ白なのもいやだからグレー着色してるのもあるし…)

現状では2000-2005の小イラスト集みたいにまとめたいな~と考えています。
(↑のイラはサークルカット。初めてアナログで描いた気がしますよ…
 実家で道具持ってなかったんですよ~w)

投稿者 緋色雪 : 23:11 | コメント (1)

更新忘れてた~と、宣伝。

November 01, 2005

■イラストとかの仕事連絡。
20051101.jpg

DNAメディアコミックス ToHeart2コミックアンソロジーvol.5(一迅社)
でカラー扉イラスト一点描かせていただきました。
なぜかちゃるよっち。

この二人が描きやすいと思う今日この頃~ちょっと色濃く出たのが残念ですが、
イラスト自体はいい感じでかけたと思います。先週ぐらいには発売した筈なんで、
良かったら見てやって下さい。

■近況
最近は…ほとんどの時間を「エー〇ル」の作監作業に充てていて、あんまり余裕ないッス。
冬コミとか他の関係とかでも描きまくって塗りまくって…また絵柄変わりそうですよ~

ゲーム全然やってないや。「FF7AC」は例に漏れず観ました。
まぁ~カッコ良い。技術見せ付けてくれるわ~うわ~ムカツク~悔しい~(笑)
レノ&ルードのトンネル前の会話が壺でした。
ティファは…声がアレだったけど、格闘シーン意外と凶悪でしたね~こえ~ッスw

本棚の関係で止めていたコミック衝動買いもなぜか再開。
最近は「陰の王」をまとめて買ってみました。壬晴の子悪魔ぶりがすきなんですが、おかしいでしょうか?
おかしいですか?あ…おかしいですか。すみません。

年越しまでは大忙し。早いとこ来年のスケジュール確定できるようにがんばりますか~

投稿者 緋色雪 : 15:11

シルクスの鍵って変化するんだよね…

October 05, 2005

■FF3DS版
なんか発表されたみたいね~新画面とか。

FFCCのキャラって言うか、世界観とかが似てる気もします。
3はゲームをやりこんだ初めてのタイトルだったんで、思い入れもなかなかにあります。
忍者とか賢者って熟練度99にするとなかなか頭の悪いキャパシティでジョブチェンジ出来ましたね~
かえるでクリアもやりましたよ~w(時間さえあれば簡単ですけどね)
実はアクションになってて、DSの通信機能を生かした感じになってたりしたら大笑い。
それはそれで楽しそうだけど、レボリューションのFFCCに期待しておきます。

シドじいさんはやっぱり壁の向こうまでジャンプできるのかな~

投稿者 緋色雪 : 23:10 | コメント (2)

業界飲み会行ってきた。

October 04, 2005

■業界飲み会
先週の土曜日(10/1)にエロゲ系業界飲み会に行ってきました。
毎日のように世話になっている独楽鼠さんに飛び込みお願いしていったんで、
リストにも載ってないって暴挙。スンマセン…

しかし、人多すぎ。マジで移動とか名刺交換とかする気力すら削いでいきますよ…
基本的に杉菜さんたちのInnocentGrey組と一緒にいましたが、
それでも持っていた名刺が半分くらいになってたんでOKなんですかね~
(個人的にはアイスばっかり食ってた気もしますが…)

自分は二次会のカラオケ部屋までの参戦でしたが、それでも大変楽しい時間でした。
mixiは導入するべきなのだろうか…検討中。

投稿者 緋色雪 : 1:10

『E☆2』Vol.1にイラスト描きました~

September 15, 2005

■『E☆2』
というわけで、9/21発売の新雑誌にイラスト2点(カラー1、モノクロ1)描かせて頂きました。
う~ん、他の作家さんの名前見てると存じてる方ばかり。

…俺、場違いじゃねぇ~?
剣と魔法ってテーマで渾身の作品を描いたつもりですので、ぜひ見ていただけると幸いッス

投稿者 緋色雪 : 11:09

お買い物。おかいもの。

September 08, 2005

最近はめっきり家にいれる時間が少ない感じですが…
自分で自分の首締めてるだけって状況です。
だって、自分があそこまでかかわってる作品だったら、
最良で極上なものを目指したいじゃないッスか。

うん。がんばり・・・ますよ?

今日は仕事と関係あるような無いような感じで発注された「木」を描いてました。
下から見上げた木なんですけど、色合い無茶しすぎたかなぁ~
最近はどんどん色とか質感増えてく傾向にありますが、
あくまで「絵画」的な範囲で止めておきたいかと。
基本はイラスト屋ですしね~(ゴリゴリ一枚のレイヤーで塗るの体力要りますね)

…で、物欲センサーにしたがってちょっと高めの買い物してみました。
Apple Cinema HD Display M9178J/A
23インチの液晶ディスプレイなんですけど、いや~作業域広いなぁ~すげー楽。
あとは元が取れるくらいに仕事するのみ。死なない程度に気張ります。

投稿者 緋色雪 : 0:09

なんだか先週末がイベント尽くし。

August 24, 2005

いや~コミケ後の土日だってのに、オタくさいイベント目白押しでした。 ■「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」の感想みたいな 土曜にハガレンの映画観にいった…なんかツマンネ。 辻褄やらなにやらに説得力出そうと努力してないね。 アメコミ級の勢い映画なくせして、エルリック兄弟以外ことごとく不幸な結末ってのはどうよ…w 映像的には丁寧で綺麗だったので、その辺りは参考になりました。 グラトニー最高。GJ!! ■ワンフェス 日曜にはワンフェスに行ってきました。なぞの規格外GEST!(版元チケットですよ) ワンフェスなはずなのに同人誌を結構入手。 大手ばかりなのでかなり満足ですな~。 (エウレカ本えろす。頂いたんですけどなんかすげえ。とらで¥4000~とかだよ…) コミケと違って、造形物や物販は見て回るだけで「満足」出来るのが良いですね~ 出展者じゃないってのも気分よく回れました…が、GFF買いすぎて結構イタイっす。 次回も行くぞ~!!(なんかストッパー吹っ飛んだ感じですね) なんか濃い週末。久しぶりに休日!って感じで良かったですよ。

投稿者 緋色雪 : 11:08 | コメント (1)

夏コミお疲れ様でした。

August 15, 2005

先日の夏コミ、スペースの方にいらしていただいた方、
ありがとうございました。
スケブとか…描けた人は雑でスミマセン。描けなかった人は普通に申し訳ない。

持込数が300もありましたんで、もう少しもつかなぁ~って思っていたんですけど、
13:30位で完売してしまいました…
今のところ再販などの予定は無いんで、手に入れられなかった人は申し訳ないです。
次のイベント予定は冬コミです。
オリジナルのラフ集と通年のCG集でももっていけたらなぁ~と考えております。

投稿者 緋色雪 : 14:08 | コメント (1)

決戦だ…が、ちとタイム。

August 13, 2005

■コミックマーケット68|三日目(日)ア30a [MinusArtWorks]

えー金曜朝にはコミケ準備もあらかた済んで、
あとはテーブルクロスの洗濯とアイロンがけだけってところで…

局所的大雨。

うが~干してった洗濯物ほとんど全滅~
再洗濯しても乾くんか~ぎゃぼ~!!
履いてく予定のスニーカーもビショビショ。ブーツ履いてくと、足が持たんし…
ゆっくりするはずだった本日、結構忙しいなぁ~w

で、軽く明日の連絡。

前回のコミケではずーっとスケブ描く羽目になりましたので…
今回は暇だったりした時、出来ると思った量位にしておきます。
断ったとしても恨まないで下さいな。

先ほど印刷さんから届いた予備本見る限り、仕上がりはなかなかうれしくなってしまう感じ。

基本的に午前中くらいは、ずーっと本人が売り子やっておりますのでヨロです。
(さすがに今回の部数がすぐなくなるって事は無いと思います。売れて~)

投稿者 緋色雪 : 17:08

お疲れさ~

August 09, 2005

ふぅ…イラスト二点提出~。
コレは秋くらいにしっかりと紹介できるかなぁ~

ファンタジー万歳!!
なんかやる気が違う~背景とクリーチャー最高!w
夏コミのイラスト本が、良い感じの修行効果を出してるみたいで、
塗ってて気持ちいい状態です。(すぐに眠くなるけど…)

さぁ~夏コミのディスプレイ用意しなくちゃ、です。

投稿者 緋色雪 : 3:08

ひぐらし…

August 04, 2005

いや、某四本指のじゃなくてリアルひぐらし。
すげーうるさい…25時になって鳴くなよ~

夏コミ関係の虚脱状態から立ち直って、エー○ルやら別件のイラストやらで頑張らなきゃあかんのに…
ソコデマタ、ナツバテデスヨ・・・

たらこスパと定食の食生活は比較的バランスいいと思うんだけどなぁ~
ビタミン剤もとってるし。
気力で乗り切らんと!!ビバ!シャンバラ!!(観たい!!)

■おね・たま
そういえば…背景のみですが手伝いました「おね・たま」(© dreamsoft)が発売しました。
岩とかモブとかお湯とか…仕事なのか微妙な範囲ですけどねw
余裕あったら、やってみてく下さいまし。

…本職は何かと、小一時間ほど問い詰めたい。(自分を)

投稿者 緋色雪 : 0:08

徒然に

July 31, 2005

ディスカバリーやら、少しだけ宇宙がうるさい感じの昨今。
カイパーベルトで発見された新惑星はちょっとワクワクしますね~♪
あんまり天体用語とか詳しくないけど、宇宙とか好きなもんで…

…普段は手前の空ばっかり愛でてますが…
あぁ、小宇宙を感じたいです。

…「女王の教室」怖すぎ。シアン入ると泣きそうw

投稿者 緋色雪 : 1:07

入稿完了!!

July 06, 2005

本日、夏の原稿を入稿。
16Pフルカラーで全部ToHeart2書き下ろし。
(まぁ、これ以外で描いてないからですが…)

いや~疲れた。
頭いたい、吐きそう、だるい…
夏風邪全開でひいてしまったようですよ。
ちょっとの間ゆっくりします。いろいろと細かいイラストとかラフとかは後回しで~

「先生…ジルオール&サガミンで遊び狂いながら、撮り貯めてあったアニメ見てだらだらしたいです…」
「…だめだな…」

投稿者 緋色雪 : 14:07

ここの小説について

May 25, 2005

■モノクローム
モノクロームは結構昔からこのサイトに掲載されています。
まぁ、作者が97話以降書かない状態が二年半程度過ぎましたのでアレですが…
(「深紅のイリス」って番外編は03年の夏コミで出しました。見事微弱ウィルス混入。猛省ッス)

最近、WEB拍手とかでしっかり載せろとリクがあるので、昔のデザインですが再掲載しました。
う~ん、このデザ自体は2001年位のnegativer's innのだから恥ずかしいです。
http://mawn.jp/monochrome/novel/index.htm

HPのデザインって結構がんばってみたいと思っているんですが、
カッコ良いと使い易い・見やすいの両立はやっぱりムズイです。

今のブログデザは結構見やすいを重視していますので、あまり面白みといった点は弱いですね~
第一期最後のHPデザ(サイドメニューがフローティングするのでした)は意外とどちらも出来ていたと思います。
…まぁ~あのタグ打ち完成させるのは最早、絵描きの仕事ではないと思いました。


今も変わらず基本は「タグ手打ち」ですよ!

投稿者 緋色雪 : 1:05

E3(Electronic Entertainment Expo)

May 19, 2005

アメリカで毎年やってるE3、今年はやりすぎな位に話題豊富ですね~
次世代ハードも三種出揃いました。

□Xbox360 …360の意味わからんですよ。

□PS3 …デザインちょっとカッコ悪いなぁ~他の家電と組み合わせ最悪っぽい。

□レヴォリューション …内蔵ドライブ?スマブラ新作が同時発売!もう購入決定じゃないですか!!

すげー簡単な感想でした。

ソフト関係もモンハンポータブルやプロジェクト・マナあたりが大分ワクワクさせてくれます。
今のうちにお金貯めなきゃいけないのかな~

■ACLR
ARMORED CORE - LAST RAVEN ~

新作のアーマードコア発表されました。
情報漏洩が激しかったのでACNBの前から知っていた気もしますが…

ストーリーはNXのイナゴ後。
システムは…NXベースじゃなきゃ良いんですけどね~せめてブレホ復活を!
剣豪プレイしかできない自分にとっては、銃なんて飾りです。
FCSはブレホ補正の為にあります。
レーダーなんて弾筋見切れば相手の位置なんて先行予測できます。
でもNXの切り返しの遅さ・熱の高さ・ブレホ廃止…
すべてがやる気を削いでくれましたからね~w

まずはファミ通の体験版でチェックしてみます。
目指せ総対戦数10000!!

投稿者 緋色雪 : 11:05

あ~だるい。おもに筋肉痛

May 16, 2005

せっかく更新しやすくしたのに更新してなかったです。
ちょっとバタバタしてて、自宅のメインマシンを移動させましたので、
その影響であまりネットつないでなかったんですよね~

どちらにしてもあまり更新するネタもないかな~

最近はフィットネスクラブに通い始めました。
一昨年くらいにも通っていたのですが、仕事が忙しくなりすぎてやめてました。
今回のところは閉まるのが結構遅いので、仕事あとでも全然通えるってのが強みです。

目指せ夏!!ってことで、そこそこ運動してます。
体脂肪10%以下が最終目標…まぁ~理想なんですけどねw

当面はプールで水泳とウォーキングを繰り返していきますよ。
がんばるっす@

投稿者 緋色雪 : 10:05

水を下さい…

April 28, 2005

■横の繋がりをもっと広げよ~!
今日は仕事上がりに別の会社の方々(って俺フリーだけど)と飲み会。
カルタグラ発売おめでとうッス
(まったく関わっていませんけどw)

意味も無くそれっぽいイラストを描いたり描かなかったり…
許可もらったらアップしますわ

…って、直接原画贈呈してきましたんで…公開無理ってことでw
杉菜さんにも楽しんでもらえたようで、何よりでした♪

個人的に応援しております。
大きな立場上はちょっとアレですね~「魔○ッ娘2」とか~

■サガミン
カクラム砂漠を永遠と遭難中。湖はどこ~ん…

最終試練とかオールドキャッスルとかはでました。
でも城の番人の吹雪x2で即効全滅します。
繰り返し出来るボスですけど、雑魚多くて無駄に時間だけかかります。

あ~早く二週目いきて~ッス

■サウンドトラック
OSTも買いました。さすがイトケン!
「熱情の律動」は俺の中で名曲認定ッス(何様だってばw)
ボリュームありすぎて…まだ一回も通して聴き終わってないです。

投稿者 緋色雪 : 12:04

あ~ま~ぞ~ん

April 23, 2005

■ロマンシングサガ ミンストレルソング

いまだアマゾンから届かず。
もうゲームはネット通販では買わないさ~

伊藤賢治さんのバトル曲を早く聞かせてくれ~
テンションあげるための必須条件!

土日はスケジュール無視でプレイ予定なんだから…さぁ~!

□12:37
ようやく到着。これよりゲームに没入いたしま~す。
あぁ、いい大人なのになぁ~w

投稿者 緋色雪 : 12:04

スタイルしーと

ようやくスタイルシートの記述が固まってきました~
ナンダカンダ言っても、灰色系モノトーンデザが大好きなのがモロバレですw

サイドメニューの方ももう少し充実させて、
ギャラリーの移植とかweb拍手とか、相互リンクの補完とかとか
結構やること一杯かも~

ブログにしたら小説の更新も少しは楽かな~

投稿者 緋色雪 : 0:04